再処理事業はやめられる!

 また、原発にかんする話題になる。
「再処理事業は中止できる」との記事が載った(朝日新聞 9月10日付)。主張しているのは弁護士の河合弘之さん。

 主張の主な内容は、次のとおりだ。――「六ヶ所村で使用済み核燃料を再処理してプルトニウムと高レベル放射性廃棄物にする工場の建設が進んでいない。」
 「工場は止められない」という最有力の根拠は、98年に青森県、六ケ所村と日本原燃が締結した「覚書」だ。これを根拠に「再処理事業をやめたら、今ある使用済み核燃料を全て各原発に返送せねばならない。しかし、各原発の保管場所は既に満杯に近く、返送受け入れは無理。だから再処理事業は継続するしかない」とする主張だ。
 現に野田政権(民主)はその主張にぶつかって腰砕けとなり、核燃料サイクルの中止を決断できなかった。

     六ヶ所村再処理工場
     (六ケ所村再処理工場)

 しかし、本当だろうか。覚書には「元の原子力発電所に戻せ」とは書かれていない。日本原燃が別の場所を用意すれば良いのだ。電力会社や国は覚書の当事者ではないから返送受け入れの義務はない。
 義務を負う日本原燃は、施設外への搬出ができなければ、損害賠償その他「必要かつ適切な措置」を講ずればよい。損害賠償で資金が不足すれば、国は貸し付けなどの支援をすべきだ。賠償額は巨額になるだろうが、再処理事業を続ける青天井の額に比べればずっと少額で済む。
 また、金銭賠償だけでなく、青森県や六ケ所村に自然エネルギーなどの代替産業の整備が必要で、県民や村民が明るい展望をもって繁栄できるようにするべきだ。

     核燃料サイクル

 ところで、再処理にかかる費用はどれほどだろうか。
 再処理工場の総費用11兆円、放射性廃棄物管理などバックエンド費用を合わせると約19兆円。――六ケ所再処理施設にかかわるコストについて、電気事業連合会(電事連)が公表した(04年1月)金額だ。

 原子力資料情報室(CNIC)で核燃料サイクル問題を担当する澤井正子氏の説明はこうだ。
――もともと公表されていたのは、再処理工場の建設費だけで着工当時7600億円(93年)だったのが2兆1400億円(99年)と膨れ上がった。そして04年の発表で唐突に「19兆円」が現れた。「これほどコストがかさむと思っていなかった電力会社が、『受益者負担』として国民に転嫁するために慌ててはじき出したのでしょう」。

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     (澤井正子氏)

――だが、事業計画自体が六ケ所再処理工場の処理能力は年間800トンで、06年から40年間〝無事故でフル稼働〟する計画だった。
 ところが、稼働原発からは毎年1000~1100トンの使用済み核燃料が発生していた。再処理できず過去の蓄積分と合わせると46年までに3万4000トンが中間貯蔵に回るとはじき出された。その上操業終了以降の再処理や中間貯蔵のコストは算出されていない。

――驚く点はほかにもある。再処理費用が発生する期間の設定が、05年から369年までと実に360年間にも渡っている。「未来に先送りしつつ〝広く薄く〟徴収することにして、現役世代から『負担が重い』との批判をかわすためだろうか」。
 再処理工場の操業可能期間としている40年間で「19兆円」を完済するとなれば、今とは比べ物にならないほど負担が増大するはずだ。

――福島原発事故を受けて、内閣府の原子力発電・核燃料サイクル技術検討小委員会資料(12年6月11日付)に、興味深い試算が載っている。
 使用済み核燃料の「全量再処理」と、再処理せず「直接処分」した場合、それぞれ併存させた場合の3パターンについての費用が計算された。
 直接処分の費用が最も低かった。電力総需要の原子力比35%でも、全量再処理が18兆4100億円なのに対して、直接処分は14兆8100億円だ。

     14.1.11朝日・核燃とプルトニウム - コピー

――直接処分すれば安くなるのは当然で、核燃料サイクルを諦めれば負担を最小限に抑えられる。再処理工場の運転、MOX燃料加工工場、TRU廃棄物のコストが不要となり、19兆円のうち7割を削減できる。
 「もんじゅ」は操業再開のメドが立たず、プルサーマル発電は国民感情が許さない。本格稼働させれば費用が「右肩上がり」で膨らむ。それでも国が「全量再処理」の方針を捨てきれないのは、「核のゴミ」の貯蔵プールとしての役割が欲しいからではないか。

 こんなに矛盾に満ちた「再処理」に係る問題。国民のことなど全く念頭になく、税金を湯水のように使い捨てる国や電力会社に、鉄槌を下したい!

     もんじゅ
     (高速増殖炉「もんじゅ」)

<追記>
 なんと!政府が「もんじゅ」の廃炉も含めた検討に入った――今朝、各社が報道した。20年以上ほとんど運転していない施設に数千億円をさらに拠出することに国民の理解を得るのは難しい、と判断したようだ。

      渕上隆信・敦賀市長
      (「もんじゅ存続」を政府に要請する渕上隆信・敦賀市長)

 福井県や敦賀市は廃炉に猛反発しているが、カネや地域経済よりも県民、国民の命と健康を優先すべきではないか。
 再運転には新規制基準に適合する必要があり、施設の改修などに数千億円かかる見通し。
 いよいよ、核燃料サイクルの破たんが明白となり、原発再稼働を止めて古い原発や活断層沿いの原発から廃炉にしていく局面を迎える。

〝脱原発〟派の首長潰しを許すな!

 新潟県の泉田裕彦知事が8月30日、知事選への立候補を突然撤回した。泉田知事はこれまで、柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢をとり続けてきた。

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     (不出馬を表明する泉田知事)

 撤回の理由として、県が関連する事業に関する船の購入契約トラブルを巡る新潟日報の報道姿勢を挙げた。
 自分が退くことで、「原子力防災を争点化した上で選ばれる知事が誕生して欲しい」との期待を示した。

 知事は、川内や伊方原発が再稼働する中、柏崎刈羽原発について「福島第一原発事故の検証が先だ」と訴えてきた。
 また、「福島事故の検証と総括を続けていく中で、重大な問題が浮かび上がっている」と指摘し、原発の新規制基準は「国際水準に達していない」と批判した。
 住民避難についても「新潟県の場合、どうやって約44万人が2時間で避難できるのか」などと国の指針に疑問を呈した。

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     (週刊金曜日 9月9日号)

 「週刊金曜日」(9月9日号)によると、――「対抗馬の森民夫前長岡市長は高齢で知名度も低く、泉田知事に及ばない」。そこで、「一部の自民党が『新潟日報』と組んで泉田知事へのネガティブキャンペーンを仕掛けたようです。東電も同紙に全面カラー広告を出して援助」したというのだ。
 同じようなケースは原発立地・青森県でも見られた。同県の『東奥日報』は、脱原発派の鹿内博青森市長に対して、第三セクターの赤字問題を執拗に批判し、鹿内市長が辞意を表明した。

 泉田知事は後継指名はしないとの態度だが、是非とも原発再稼働に反対する新知事を誕生させてほしいものだ。

核廃棄物の管理10万年という「超現実」方針

 先月27日、当ブログに故・藤田祐幸先生の「脱原発論」を詳しく紹介しておいた。
 その内容を裏付けるような事態が相次いでいる。

 一つは、原子力規制委が原発廃炉に伴う制御棒など放射能レベルが高い廃棄物について処分の基本方針を了承した(8/31)。
地震や火山の影響を受けにくい場所で70メートルより深い地中に埋め、電力会社に300~400年間管理させる。その後は国が10万年間、管理するという。
 電力会社の管理期間を「数万年とするのは現実的でない」とし、国による処分は地下300メートルより深い場所で10万年間管理する。

     放射性廃棄物の処分イメージ

 規制委は、冗談が過ぎる。
 人類が生まれたのが約20万年前。400年先まで電力会社が存続しているのか?10万年先に日本政府が、いや地球や人類が果たして存在するのか、絶滅していないか?
 藤田先生は指摘する。――「地下に溶け落ちた炉心の放射能は100年や1000年経ってみても、とうてい手に負えるものではない」。「10万年間管理するというが、その技術と安全性について検証のしようがない」。

 いま一つは、凍土壁の致命的欠陥が露呈したことだ(9/1)。凍土壁で遮蔽された下流のエリアの地下水位が、台風10号による降水量以上に上昇していた。東電は、上流の放射性物質で汚染された地下水が凍土壁を抜けて流れ込んだとみている。
 規制委の外部有識者からは、「計画は破綻している」との指摘も出ている。

     img056.jpg

 誰しも「責任」を負うことができるのは生きている間である。400年先とか10万年先なんて、責任をとりようのない話しではないか。
 政府や電力会社の「超現実的」な方針に愕然とする。あまりにも非常識かつ無責任である!!

脱原発の論理~故・藤田祐幸氏を偲ぶ

 鹿児島県の知事選挙で、川内原発容認の現職に挑んだ候補が予測を裏切って勝利し、  〝脱原発〟知事が誕生した。
 この現実は、九電だけでなく政府や電力会社に大きな影響を与えていくことだろう。
 そこで今回は、原発容認派と反対派の代表格の論理を検証してみることにした。引用するのはいずれも、月刊「世界」(13年)への論考である。少々長くなるが、ご勘弁願いたい。

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     (瓜生道明・九電社長に要請書を手渡す三反園訓・鹿児島県知事)

 <寺島実郎の原発論>

*菅直人・元首相から手紙が届いた。「新自由主義の拒否と脱原発を結束軸に活動を続ける」という内容で、市民派政治家の限界を知らされるものだった。

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     (寺島実郎・日本総合研究所所長)

*世界のエネルギー地政学は地殻変動の局面にある。まず、石炭需要の急増である。次に、米国のシェールガス・オイル革命が新局面に入り、中東依存からの脱却という構造が見えてきた。
*世界の原子力の動向も新たな局面にある。IEAの展望では、原子力発電は35年には580基で10年の394基の5割増とみられ、「国際的核管理と安全の制御」が課題となっている。

     16.4.26朝日・主な国の原発

  さらに、中国は14基から80基へ、韓国も24基から36基を目指しており、100基以上の原発が北東アジアに林立するだろう。
その中で、日本が専門性の高い技術基盤を保有して主導的役割を果たせるかが重要だ。
*「脱原発」の論理を整理しておく。第一に、原子力は安全性を保障できない制御不能な技術である。第二は、原子力は等身大の技術ではなく「反倫理的」である。
  抱え込んだ原子力という魔物を制御できるシナリオはないのかという視座が必要だ。だが、「脱原発」の論理には、感情の次元を超えた政策科学の議論が欠けている。
*不可欠な二つの視点。一つは、原子力の技術基盤を維持し、発言力、貢献基盤を失うな。
  二つは、技術の進化への的確な認識である。第一世代の福島原発と異なり、2.5世代からの原発は着実に安全設計が進化している。
*「国家が責任を持つ」制度と組織が肝要だ。二つの提案をしたい。
  一つは、すべての電力会社から原子力事業を切り離し、「原子力統合会社」として一体運営すべきだ。
  第二は、国家としての原子力行政体制を統合することだ。
*この7年間で、原子力産業の位相はすっかり転換した。東芝はWHを買収し、日立とGEは合弁事業を設立、「日米原子力共同体」というべき構造が形成されている。アレバと提携する三菱や世界の原子炉格納容器の圧倒的シェアを持つ日本製鋼所など、日本企業が原子力産業の中核主体になっている。
*果たして、日米同盟を解消することなく、「脱原発」は不可能である。
 であれば、日本の原子力技術基盤を生かして影響力を最大化し、「非核のための原子力」へ向けて前進すべし。
――(月刊「世界」13年12月号より)

<藤田祐幸の脱原発論>

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     (藤田祐幸・元慶応大学助教授)

*福島原発事故で熔けおちた原子炉の底を流れた地下水が、毎日300トンも海へ流れ出していた事実を東電が認めた。私はその水量に圧倒された。
*地下に遮水壁を建設したところで、山から流れる地下水を止めることはできず、行き場を失った汚染地下水は地上に溢れ出てしまうだけ。
  地下に溶け落ちた炉心の放射能は100年や1000年経ってみても、とうてい人の手に負えるものではない。
*11年11月、「阿武隈川から海へ500億ベクレル」という記事が新聞に載った。この放射能は原発の地下水汚染とは別の重大問題をはらんでいる。

     汚染水があふれた状況

  環境省が13年6月に汚染状況重点調査地域の地図を公表した。市町村ごとの空間線量(毎時0.23マイクロシーベルト)は一般人の被曝限度の二倍の被曝を強いられる地域だ。
山林の汚染された土壌は、川底に堆積しあるいは河口部の海底に沈積する。日本の国土の70%以上は山林であり、この山林の腐食土壌に沈着した放射能を除去することなどあり得ない。
*福島原発事故では、二つの幸運が日本を破局から救った。同原発が日本列島の東側に位置しており、辛うじて原子炉の蓋が吹き飛ばずに済んだため、膨大な放射能の大部分は太平洋に流れて、深刻な汚染は北関東から南東北の一部にとどまった。
しかし、原子炉の底が抜けたことで、事態はいっそう深刻だ。核燃料は本来、10万年の間、環境から隔離すべきもの、つまり水との接触を断ち切るということだ。
まさに「海のチェルノブイリ」ともいうべき事態が、今も深刻に進行している。
*政府は、使用済み核燃料を10万年間、環境から隔離するとしているが、その技術と安全性について検証のしようがないのが現実だ。
  地球は1万年ほど前に氷河期が終わり、温暖化の時代が始まって、今の私たちがいる。福島で起こったことはこの1万年の歴史に対する冒涜ではなかったか。
  目先の利害にとらわれることなく、未来に対する判断をすることこそが、今求められているのではないか。
――(月刊「世界」13年10月号より)

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     (福島第一原発)

 寺島氏の論理は、こうだろう。――原発技術は進化しており、世界の原発は増えていく。原子力産業は「日米原子力共同体」というべき構造が形成され、日本が中核主体になっている。日本の原子力技術基盤を生かして影響力を駆使すべきだ。
 福島原発事故の原因を、安全設計に欠けた「第一世代」に求めているのには、驚かされる。「脱原発」派への反感が顕著で、「政策科学の議論」とはとても言えない。
 加藤周一氏に次ぐ〝知の宝庫〟と称される寺島氏だが、政府に取り込まれるとこのザマかという思いだ。もっとも、彼のバックが三井資本だから所詮限界があるのかも知れない。
 一方、藤田氏の論理は、何よりも「現場検証」に基づいており、説得力充分だと思う。
 福島とその周辺の状況は、土壌や川も海も放射能で汚染されて手の施しようがない。原発の汚染水対策もままならず、海に放出されているのが現状だ。(その後、「凍土壁」を造ってみたが上手くいかない)
 私は、イラク特別委員会で参考人として出席された藤田氏と質疑を交わした思い出がある。またその後、西海市(長崎県)に移り住まれて、何度かお宅を訪ねたこともある。
だからといって、身びいきで両者を評価している訳ではない。

 藤田氏は、残念ながら7月18日ガンで亡くなられた。享年73歳、あまりにも早すぎる最後であった。
 その意思をしっかり受け継いで、「脱原発」を目指して前進したいと思う。

九電・株主総会と脱原発

 この時期、企業の株主総会のシーズンだ。
私は、川内、玄海両原発を抱える九州電力の株主総会の様子が気になった。
 以下、朝日新聞の報道(6月29日付)より拾ってみる。

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 見出しは、「原発不安『問題ない』一蹴~九電、玄海再稼働に全力」とある。
瓜生道明・九電社長は総会後の記者会見で、「(原発に対して)さらなる不安感が募ってきたのかなと思っている」と話した。

    15.6.26朝日・九電、株主総会 - コピー
    (総会会場に入る株主たち)

 一方、総会では、「災害時の避難はパニックになる」「川内原発を今すぐに止めてほしい」(熊本での被災女性)。「震災になったら計画通りの避難などできるわけがない」(自宅が半壊した神谷杖治・元熊本大助教)。
 「避難計画が必要になるような原子力エネルギーを提供していること自体が、社会的責任を放棄している」「震災が起きれば屋内退避は不可能。原発事故の避難計画は役に立たない」「九電や国は避難計画を自治体任せにしている」(水俣市の九電株主)。
 なかには、「いつだって地震は起きる。科学でいかに地震を乗り越えるかを考えるべきだ」(佐賀県小城市・男性74歳)との意見もあった。

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 こうした不安や異議について、瓜生社長は「安全性について何ら問題ない」「より一層原発の安全性をお伝えして参りたい」「ご意見として承ります」と答弁し余裕をみせた。
 あらためて思う。九電などの電力会社の経営陣にとっての関心事は「経営状態」であり、原発自体の危険性や住民の不安などは問題外である。

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    (総会後に記者会見する瓜生道明社長)

 現在、鹿児島では、原発の是非を巡って県知事選挙が行われている。なんとか一矢報いてほしいものだ!
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)