ボノボとベラウの女性優位社会

 昨日の朝日新聞で、サルの記事が興味深かった。「ボノボ」――チンパンジーと並んで人間に最も近い動物で、アフリカ・コンゴの熱帯雨林に生息し、絶滅危惧種に指定されている。熊本県宇城市の京大野生動物研究センターで4頭の飼育が始まったという。

          ボノボ
           (ボノボ 朝日新聞13年12月4日付)

 チンパンジーはオス優位の群れを作るが、ボノボはメス優位の社会を築くらしい。ふと思い浮かんだのは、太平洋のベラウ共和国(パラオ諸島)のことだ。地球上で最後に残る「母系社会」と言われる。
 20年前の93年1月、原水禁九州ブロックの第九次ベラウ交流調査団(団長:慶田盛泰八、12人)の事務長として参加した。私の帰国報告(読売新聞、93年2月19日付)から抜粋してみる。

          パラオ諸島

 ベラウ共和国(パラオ諸島)は、約200の島々から成り総面積5百平方キロで淡路島より狭く、人口は約1万5千人。日本の委任統治領だったが、戦後、米国の信託統治領となる。

        集会場「アバイ」
         (「アバイ」と呼ばれる男性の集会所)

 80年7月、三度の投票の末に世界で初めて「非核憲法」を制定する。日本の憲法第九条を参考に起草されたもので、あらゆる核・生物・化学兵器及び廃棄物の実験・貯蔵・廃棄をいっさい禁じた。米国にとっては甚だ不都合な内容だった。

          ベラウ・キッタレンの女性たち
           (キッタレンの女性たち)

 私たちが交流したのは、ベラウの非核・独立を求める住民組織「キッタレン」の人々であった。米国の強大な圧力の下で、二人の大統領が銃弾に倒れた。私たち調査団との会見に気さくに応じてくれた日系二世のクニオ・ナカムラ大統領は「わが国に軍隊はなく、非核・平和こそ尊い」と率直に語った。(※翌94年10月、米国と「自由連合協定」を結んで独立する)

        ペリリュウ島の戦車
         (ペリリュー島に放置された旧日本軍の戦車)

 コバルトブルーに輝く美しい海に魅せられて、多くの日本人観光客が訪れるミクロネシア。そこは、敗戦までの30年間、「南洋群島」と呼ばれ、日本の植民地支配を受けた地域でもあった。ペリリュー島には、錆びついた戦車や高射砲の残がいが散在し、激戦の傷痕をしのばせていた。

 これら諸島は、戦後補償の対象から外された。今日、日本の観光資本による開発、遠洋漁船による乱獲、ODA援助などによって、伝統的な文化・慣習が壊され、経済的自立を妨げられてさえいる。

          キッタレンの人たちと交流団
           (キッタレンの人々と交流視察団)

 ヤシの木が生い茂るトタン屋根の下で、交流したキッタレンのメンバーは全員女性で、男性は缶ビールを飲みながら交流の様子を周りで覗っている。女性優位の社会は、なんとなく落ち着きと平穏を感じて、楽しいひと時だったことをしみじみ思い出す。
 戦前・戦後の女性解放運動の指導者だった平塚らいてうの「原始、女性は太陽であった」という有名な言葉が重なる。

          平塚らいてう
            (平塚らいてう)

 頑なに「非核憲法」を守り抜くベラウの人々とは対照的に、憲法九条を無きものにしてアジア太平洋に新たな野心を抱く❛大国ニッポン❜の姿と、70年前の暗い歴史が重なって見える気がしてならない。
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)