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外国人労働者と「入管法改正」問題を考える・その③

  前回報告した島原・加津佐の縫製会社での「中国人実習生問題」から11年を経た現在、「入管法改正法案」が国会で審議されている。

 すでに、衆院法務委員会では同法案が強行採決されて、本会議で与党や維新の会などの賛成多数で採決された。「重要広範議案」と言いながら、審議時間は〝カラ回し〟も含めて僅か17時間であった。
「来年4月より遅れれば、万単位の実習生が帰国してしまう」(山下貴司法相)との理由で、現在、参院で審議されており、今国会中での成立を急いでいる。

   ・入管法改正案の主な論点
   (朝日新聞)

 それにしてもお粗末極まる法案だ。「技能実習制度」は、途上国に日本の技能や知識を伝える「国際貢献」を目的に、1993年に始まった。2009年には在留資格「技能実習」が創設され、労働関係法令が適用されるようになった。
 しかし、その後も賃金不払いや長時間労働が後を絶たず、2016年には「技能実習適正化法」が成立。実習期間も経済界の要望で3年から5年に延び、受け入れ職種も拡大した。
 国内で働く外国人は過去最高の128万人(2017年10月、厚労省統計)。その内、昨年末の技能実習生は約27万人余で、約80職種で働いている。

   ・在留資格と特定技能の関係(18.11.16)
   (朝日新聞 2018.11.16付)

 今回の法案で新設されるのは、「特定技能1号」(相当程度の技能)と「特定技能2号」(熟練した技能)だが、その水準や測定法もはっきりしない。
 政府は、「14業種で初年度最大4万8千人、5年間で35万人」とする試算を発表したが、根拠は不明瞭だ。
 また政府は、新設する「特定技能」の資格で働く人として、技能実習生からの移行組を50~60%と見込んでいる。

 しかし、立場の弱い実習生につけ込む人権侵害も絶えない。実習生が受け入れ企業先から失踪する例が昨年だけで7千件を超え、問題になっている。
 法務省が調査した技能実習生2870人の失踪理由は「低賃金」が約67%、そのほかに「労働時間が長い」「指導が厳しい」「暴力を受けた」が続いている。
 失踪前の月給は「10万円以下」が1627人と過半数を占める。
 また、実習生の大半は来日前、母国の送り出し機関に100~150万円もの契約や借金をしており、転職や移動が制限されている実態がある。

   ・失踪した実習生への聞き取り調査(18.11.20)
   (朝日新聞 2018.11.20付)

 日本語教育や生活支援策、社会保障制度、治安対策といった「受け入れ態勢」も不透明なままだ。
 社会のありようを大きく変える可能性をはらむ政策転換であるのに、安倍首相は「今後示す」「検討している」と繰り返すばかりだ。
 法成立後に、簡単な手続きで改廃できる省令などで定める事項が多いと言われる。政府に白紙委任せよ、国会など無用だと言わんばかりの姿勢だ。

   ・法成立後に法務省令で定める主な項目

 法案の中身は移民政策そのものだ。受け入れの目的に応じて規模や期間、条件など、細部にわたり制度設計が必要だ。
しかし、政府・与党は「移民政策ではない」と言い切る。このことに関して、朝日新聞社のコラム『日曜に想う』(2018年11月11日付)に興味深い記事が載っていた。
――日本を多民族が共生する「移民国家に転換」しよう、そのために「今後50年で総人口の10%程度の移民を受け入れるのが相当」で、「国家行政機関として『移民庁』を設置」するべきだ――。

 10年前すでに、当時の福田康夫首相にそんな提言書を出した政治家たちがいた。自民党の議員約80人でつくった外国人材交流推進議員連盟である。
 「人材開国!日本型移民政策の提言」と題され、副題は「世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて」。
 単に労働力不足を論じているのではない。すさまじい高齢化や人口減少を国家の危機と捉えている。
 提言が呼びかける「50年で1千万人の移民」は年間にすると20万人。現に今、移民はその水準で増え始めている。

  介護業、外国人材の受け入れの積算根拠
   (朝日新聞)


 安倍首相は国会で、国民の人口に比して一定程度の外国人や家族を受け入れて「国家を維持していくことは考えていない」と述べた。外国人に求めるのは労働力という姿勢だ。
 提言は、この国が必要としているのは労働力より新たな国民だという現実を直視していた。
 野党の「入管法改正法案」に対する批判は的を得ている。中身がスカスカの同法案は廃案にすべきだ。では、提言に言う移民政策と国家のあり様について果たして覚悟があるだろうか。
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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)