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外国人労働者と「入管法改正」問題を考える・その②

  前回に続き久保田達郎氏のレポートを続ける。
会社に交渉を申し入れたのは、参議院選挙明けの7月30日。会社は「素直」に交渉に応じた。こちらがあらかじめ示していた質問事項に沿って、実態の説明を行った。
➀中国人は協同組合(同業者5社)が受け入れている。➁労働時間は年間260日出勤(2080時間)を協定。➂賃金は、月平均(21.66日)の労働時間に最賃(611円)を乗じた10万6000円を支給。➃残業を1時間400円とし、「内職賃金」として計算。本来の残業時給との差額360円余が「未払い」となる。➄「内職」の実態は月100時間前後。月36000円、年3万円余が未払いとなる。➅会社の説明では、実習生の送り出し機関(中国)も残業400円を了解し、本人たちも合意しており、「内職」はそのための「便宜」であると言うが、「違法」は免れない。

 「これは帰国する17人だけでなく、残りの1年生2年生にも影響する。協同組合全体にも関わる問題。メーカーからの単価は切り下げられる。昨年の決算は赤字。銀行への返済は延ばせない。日本人労働者40人にはボーナスも我慢してもらっている。なんとか穏便に解決してほしい」――社長の「哀願」は切実である。
この種問題で語られる「女工哀史」だけでは説明できない現実を痛感してならない。

 会社は、一定の金額を「退職慰労金」として支払う意向を示した。
が、今度は、17人が納得しないのである。「会社は儲かっている」、「法律どおり支払ってほしい」。異口同音に言う、それは絶叫であった。
 なんとも変な交渉になっている。実習生の意向を実現すべき交渉が、実習生に妥協を求める交渉。そこには、「違法状態」を承知の上で就労させねば成り立たない地場縫製業の実態がある。
違法を摘発し、法に基づき監督署が処理すれば、精算が命じられ、不可能ならば倒産だ。
こうした違法な状態は、監督署も、行政も、JITCO(国際研修協力機構)も十分承知のはず。にもかかわらず「黙認」し、内部の「解決」に任せる、この無責任さ。事なかれ主義の典型。

 この問題はますます深刻な事態になってきた。堂々巡りの議論を打ち切り、この労働相談を持ち込んだ連合・岐阜に事態を報告した。
 ここにきて懸念される事態が二つ生じた。一つは、17人が就労を拒否し寮に立てこもったことだ。出入国管理局にばれると、強制帰国させられる(※中国側の送り出し機関に「保証金」などを納入していれば、即没収である)。
もう一つは、彼女ら(17人)の背後で誰かが「指導」(扇動)している。相談者は交渉が行き詰まれば、あちらこちらに「直訴」する。受けた側は自らの経験と判断で「指導」して、変な誤解と幻想を抱かせてしまう。

 日本では、金銭解決を前提とした事案は、何回かの交渉で一定の妥結点を見出せる。だが、今回は雲行きが違う。17人は一人100万円を譲歩する気はない(※中国の家族からは「100万円取ってこなければ家に入れない」との話しもあるという)。
17人の帰国(8月28日)まで時間が迫っている。ところが、24日、実習生4人が全国一般・長崎地本の事務所にやってきた。倒産したK社に就労していた時、親切にしてくれた「おジーちゃんに送ってもらった」のだと言う。
 「100万円はあきらめるので50万円をお願いします」という。

   失踪した実習生への聞き取り調査(18.11.20)
   (本記事とは無関係のグラフ)

 再度、交渉をやり直して、「退職一時金」は24万円(実質30万円)、17人で500万円強の支出は会社にとって厳しい、暗澹となる社長が気の毒でならなかった。
 社長は、「福岡から上海便で帰すことにしたので、お金は久保田さんから渡してください」と言う。
福岡までの車中で社長は、「少し高かったが授業料と思い、今後に生かしたい」。「これを機会に、会社や協同組合の相談にも乗ってほしい」と要請される。
 「いや、私は組合のアドバイザーですから」とやんわり断る。

   中華街・中国人実習生らと
   (長崎中華街で中国人実習生らと)

 空港の国際線ロビーには、化粧をし、着飾った17人の実習生が待っていた。「何時になく綺麗だ」と言ったら、「私たちいつも綺麗」と即座に反論された。
最後に、「社長もいろいろ無理してこの金を作った。お礼を言って帰れよ」と頼んだ。即座に「いやだ!」ときた。

 この「事件」を機に、久保田氏は中国語教室に通い始めた。これから、もこうした実習生問題が生起するに違いないと予感したからである。
 この予感は、11年後の現在、見事に的中した。中国人だけでなく、現在はベトナム人の「実習生」が日本にやってきている。
 長崎県内で中小零細企業で働く人たちの労働相談を一手に引き受け、労働委員会や裁判所での「争議」では弁護士より詳しくて、誰よりも頼りにされた久保田氏は2年前の11月に帰らぬ人となった。

 次回は、今国会で審議中の「入管法改正」問題について書いてみたい。
                                          (2018年11月23日)
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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)