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DATE: 2018/09/24(月)   CATEGORY: 自衛隊&米軍
大災害と自衛隊
  今年は、例年にない気候変動で豪雨や地震などが相次いだ。
 その度に多くの犠牲者や被災者が生み出される。北海道地震(9月)、西日本豪雨(6~7月)、遡って熊本地震(16年4月)や東日本大震災(11年3月)など、まさに〝災害大国〟の様相だ。
 災害の度に被災者救援や復興支援に大挙駆けつけて活躍する自衛隊は、被災地の皆さん方にとってはありがたい〝救世主〟的存在だ。

    北海道
    (北海道・胆振東地区)

  先の北海道地震では、胆振東部地区で救援にあたった自衛隊の「装備」を巡って、救援には不釣合いではないかとの議論があった。
 自衛隊としては、「防衛目的で整備された機材」を使うとされている。車両、航空機、艦船、土木機材、つるはしやシャベルなどである。

  自衛隊の災害派遣の法的根拠は、自衛隊法第83条に定められている「自衛隊の行動」である。自衛隊の主任務は同法第3条1項「外敵侵略からの国土防衛」であり、災害派遣は第3条2項「主任務に支障をきたさない範囲で行われる」従たる任務とされる。
 阪神淡路大震災(95年)までの一時期、文民統制の原則から、都道府県知事の要請がなければ災害派遣行動はできないとされたが、村山連立政権の「初動の遅れ」が厳しい批判を浴びた。
現在では、「自主派遣」の基準が明確化されて災害派遣を行うようになった。

     大阪府北部
     (大阪府北部)

  もう一つの議論は、自衛隊のあり方についてである。
 自衛隊の基本原則は「専守防衛」であるが、日本を侵略しそうな「敵」は見当たらず蓋然性は極めて低い。
 国民が目にする自衛隊の活動は、「災害派遣」と「海外派遣」である。
 海外派遣では、南スーダンPKO派遣での「日報問題」で防衛省・自衛隊の隠ぺい体質が問題となり不評を買った。その後、南スーダンでは事実上「戦闘状態」にあり、上官の指示により自衛隊員は小銃で対応する態勢だったことが判明した。
 こうしたこともあって、平和運動や国民の間では自衛隊を「災害救助隊」に改編したらどうか、という要求が高まっているようだ。

 西日本豪雨1 西日本豪雨2
(西日本豪雨)

  この大事な論点に関しては、『平和基本法』(フォーラム平和・人権・環境編。高文研。2008年発刊)が大いに参考になる。
――「安全保障」の関心と課題が、これまでの<軍事力=勢力均衡>の関係式から「地球環境」「エネルギー」「食糧」「水」問題など「敵のない脅威」に移りつつある。
――そこで、これまでの護憲運動の「9条守る=改憲阻止」という段階から、「9条を具現化する」ための「対抗構想(オルタナティブ)」と「実施政策(ビジョン)」を準備すべきである。
 「平和基本法」の基本政策の原則は、➀非核三原則➁武器輸出三原則➂宇宙の平和利用限定原則➃集団的自衛権の禁止➄攻撃的兵器と軍事戦略の不保持➅文民統制及び市民監視の徹底➆非軍事的国際貢献の積極的推進➇「人間の安全保障」の具体的展開、を挙げて具体的な解説をしている。

    IMG_20180924_164407.jpg
    
  自衛隊の組織を「国土警備隊」「平和待機隊」「災害救助隊」に改編するが、ここでは、災害救助に関する項目の要旨を掲げておきたい。
――現在の自衛隊の一部を、大型地震、台風、津波、火山の噴火等の「自然災害」、有毒ガス等の「特殊災害」、及び航空機事故、大規模火災、戦争といった「人為災害」に対処する組織に再編する。
 「災害救助隊」は現在の「国際緊急援助隊」を常設化させて拡充し、JICA(国際協力機構)や各種NGOと協力しながら迅速かつ効率的に国内外の災害に対処する。
 いずれの場合も、国会による「文民統制」(シビリアンコントロール)の徹底が不可欠である。

    ラインホルト・ロッベ氏
    (東京新聞 2008年12月24日付)

  以上の内容に「軍事オンブズマン制度」を追加したい。
ドイツでは戦後まもなくナチスを教訓に、兵士の人権保障を徹底し、議会による軍の統制を図るために同制度を導入した。連邦議会の補助機関で、事前通告なしに軍の施設を調査する権限を持つ。
「民主国家では必須の制度」で、他の国々でも導入しつつある。
自衛隊では年間約80人の自殺者が出ており、その半数は暴力的「指導」と称する人権侵害が絶えない。
自衛官の人権確立を図り、防衛省・自衛隊の隠ぺい体質や不正事件など徹底調査して、国民の信頼を培うことが必要だ。

  以上の論旨について9条守る運動を続けてきた皆さんからは、「自衛隊は憲法違反ではないのか?」との批判も多い。
 自衛隊を必要としないためには、国際環境や国民の理解が不可欠だ。まずは自衛隊組織の抜本的改編に向けて具体的な構想を提示し、国会で徹底した議論が必要ではないだろうか。
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