「秩父事件」と菅原文太

 「秩父困民党事件」のことは、詳しくは知らなかった。
 朝日新聞のシリーズ「みちものがたり」で、『俳優・菅原文太と秩父事件』という記事に目がとまった。

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 菅原文太と言えば、映画「仁義なき戦い」や「トラック野郎」シリーズに主演する東映の看板スターというイメージが強い。
 その菅原さんと「秩父事件」に接点ができたのは、1980年放映のNHK大河ドラマ「獅子の時代」にさかのぼるらしい。以下、朝日新聞の記事を追ってみたい。

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 同ドラマは山田太一さんのオリジナル脚本で、主人公は会津藩と薩摩藩の架空の下級武士二人。偉人ではなく、民衆の側から幕末・明治の激動の時代の光と影を浮き彫りにした。
 ドラマの終盤で菅原さん演じる会津藩士・平沼銑次は秩父事件に身を投じる。「自由自治元年」の旗を掲げた銑次が一人で鎮台兵に斬り込んでいく強烈なラストシーン。
 
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 それから31年後の2011年12月、菅原さんが東馬流集落(長野県)のはずれにある「秩父暴徒戦死者之墓」を訪れた。翌年1月にNHK・Eテレで放送されたシリーズ「日本人は何を考えてきたのか」の第2回「自由民権、東北で始まる」のロケ現場の下見のためだ。
 菅原さんは出演にあたって注文した。「自由民権を今の問題として考えたい」「東日本大震災の被災地に行きたい」、そして「ぜひ秩父事件もとりあげたい」。

 菅原さんは墓石をそっとなでた。その場面に、本人のナレーションがかぶせられた。「歴史の中で長く『暴徒』とされた困民党の人々こそ、自由民権の志を最後まで貫いた志士たちではなかったか」。

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 「獅子の時代」放送翌年の1981年は「自由民権百年」。同年11月、横浜市で開かれた「自由民権百年全国集会」には延べ7千人が参加した。出席した菅原さんは、日本が「どこからか戦争の足音が聞こえないでもない」状況だとして「銑次が現代に生き続けて民衆のために戦っているとすれば演じがいがある」と発言。「銑次はゲバラじゃないかと考えながら演じていた」とも語っている。

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 権力に抗い、志半ばで倒れた者たちへの熱い共感。俳優・菅原文太の原点はどこにあったのか。
 仙台市で生まれ、戦争中は一迫町(現・栗原市)で過ごした。父・狭間二郎は戦前に一時期、プロレタリア詩人として活躍、戦後は画家となった。底辺労働者たちの苛酷な境遇を憤る父の詩には、菅原さんの反骨精神へと通じるものがある。
 仙台一高の1年後輩で、終生の友だった憲法学者の樋口陽一さんは、「権勢や流行にあらがって自分の信じるところをゆく。文ちゃんは、借り物ではない自分の言葉をもっていた」。
 約250本の出演映画で演じたほとんどが社会の底辺や裏で生きる人たちだった。

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 晩年、戦争を知る世代として、身を削るように反戦、護憲、反原発、沖縄の基地問題について訴え続け、各地を飛び回る姿は、銑次そのものだった。
2014年11月1日には、沖縄県知事選で辺野古基地建設に反対する候補の応援に駆け付けた。対立陣営に向けて「弾はまだ残っとるがよ」と、「仁義なきー」の決めゼリフを放ち、地響きのような歓声がわいた。

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 困民党が終わりを迎えた11月9日、菅原さんの姿は秩父市にあった。「秩父事件130周年」の記念講演のためだった。
「今、日本はおかしくなっていますね」、「なぜ怒りの声があがらないのか」。「秩父事件をみると、かつての日本では、一人一人の力は弱くても、権力の理不尽なことには団結して抵抗する底力があった」。

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 なぜ長年、秩父事件と困民党に「愛着」をもち続けてきたのか。――「『天朝様に逆らうから助っ人しろ!』と悲痛な覚悟で官憲に突っ込んでいった若者がいたと聞いて感銘深くてね。天皇制が絶対の時代に、そんな日本人もいたんだと」。

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 菅原さんが亡くなったのは11月28日。秩父での講演から19日後のことだった。
 あまりにも惜しい人がこの世を去ってしまった。あらためて心よりご冥福をお祈りいたします。  合掌

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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)