憲法施行70周年ーー2020年制定めざす安倍首相

  改憲をめざす安倍首相の鼻息が荒い。
 憲法施行70周年を迎える5月3日を前に、読売新聞のインタビュー(4月26日)で自民党総裁としての決意を語った。

     17.5.3読売・首相インタビュー

――東京五輪・パラリンピックが開催される20年を『新しい憲法』が施行される年にしたい。
 (具体的な改正項目は)9条に自衛隊の根拠規定を設ける。「党の改憲草案にこだわるべきでない」と明言して、「私の世代は自衛隊を合憲化することが使命」との考え方を示した。
 また、日本維新の会が主張する「教育無償化」について、歓迎すると述べた。

  安倍首相は第一次政権の時「戦後レジームからの脱却」を掲げて、占領下で押し付けられた憲法を見直して天皇や国家を中心とした〝明治体制〟に戻る理念を示した。
  憲法第96条の三分の二突破が困難とみるや、第二次政権では「集団的自衛権の行使」を閣議決定するという奇略を断行して、「緊急事態条項」など〝各個撃破〟作戦に転じた。

     小林節

  元々、改憲派だった小林節氏(慶応義塾大学・名誉教授)は次のように語る。
――自民党の改憲草案は、国民主権を制限し、天皇や国家を中心とした明治憲法に戻ろうと戦前回帰を狙った内容になっている。
――自民党の改憲派は、現憲法は米国の押しつけで、人権は欧米の産物だという考え方が強い。「安倍一強」の時代となり、党内の反対者やメディアまで押し黙っている。
――私は、専守防衛を明確にするためにも、「自衛軍」と「個別的自衛権」は明記すべきだ。9条の精神を損なわないための改正が必要だ。

  自民党の上川陽子議員(衆院憲法審査会委員)は、「〝押し付け論〟を卒業して、基本的な議論を深めていきたい」と言っている。
  米国による「押し付け論」は事実に反するし、〝戦前回帰〟だとの批判を招くとの思いに至ったのだろう。
 「『押し付けだから気に入らない』というのでは、『いまの日本国憲法に内容的問題がない』と自白しているようなもの」と、木村草太氏(首都大学・法学系教授)は手厳しい。

     小熊英二
     (小熊英二氏)

  小熊英二氏(慶応義塾大学教授)は、「各党(自民・民進・公明・維新)が挙げる改正点は、環境権・地方自治・緊急事態対応・合区解消・教育無償化・首相の解散権。それらは改憲せずとも法律の改正で対応できる」と語り、ケネス・盛・マッケルウィン氏(東大社会科学研究所准教授)の解説を紹介している。

     17.5.3読売・マッケルウィン氏 - コピー
     (マッケルウィン氏)

――日本国憲法は字数でかなり短い。人権規定は多いが統治機構は少なく曖昧で、法律に委ねているものが圧倒的に多い(「法律でこれを定める」と書いてある条文は10カ所もある)。
 憲法は権力者が守るべきもの。憲法の規定が簡略すぎるのは問題だ。政権党や政府の裁量や解釈が入り込みやすい。

  ところで、憲法の「制定過程」については以前に書いたと思うが、再確認の意味で述べておきたい。
 最近、米国による「押し付け論」への反論として「幣原首相による提案」説が見受けられる。だが、幣原首相はマッカーサーからの「戦争放棄」の提案に消極的な発言をしたことを理由に反論もあり、9条の発案者を巡る論争は決着していないとされる。

     2016050505390000.jpg
 
  マッカーサーは「回想記」で幣原提案説を語っている。それは、帰国後、大統領選挙に出馬するにあたり日本の「非武装」を批判されたことへの反論の必要からだ。
  マッカーサーは日本の統治に天皇を必要と考え、天皇も「皇室存続」だけが関心事であり、アジア諸国にたいしても日本の「非武装」が不可欠だったのである。
 「幣原提案」説は当時の天皇を差し置いてありえず、天皇の命でマッカーサーに提案したと推測するのが妥当だろう。

     天皇とマッカーサー

  いずれにせよ、憲法は施行以来70年間一度も改正されることもなく、国民の間に定着しているのが現状だ。あえて改正すべき具体的事情がほとんど見当たらない。
スポンサーサイト

comment

管理者にだけ表示を許可する

最新記事
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

FC2USER537587ATX

Author:FC2USER537587ATX
今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)