〝トランプ旋風〟ーー「対米従属」から脱却の好機だ

 このところ少しばかり『サンデー毎日』の記事から目が離れない。
 特に、最新号(2/12)の「サンデー時評」(倉重篤郎)に登場した松竹信幸・元共産党安保外交部長の取材記事が興味深い。
 トランプ旋風が吹き荒れる中、マティス米国防長官が官邸を訪れ安倍首相と会談した。「尖閣諸島は安保条約第5条が適用される」との国防長官の言葉に、首相はすっかり満足した様子だ。涙が出るほど笑ってしまう。
     マティス&安倍
     (マティス米国防長官と安倍首相)

 歴代政権は、日米安保にビルトインされた「対米従属」から脱却する意図も術もなかった。安倍政権にしても「戦後レジームからの脱却」を謳いあげながら、日米同盟の根源的見直しはおろかますます「対米従属」の度合いを強めている。
 そんな折、松竹氏の新著「対米従属の謎」(平凡社新書)という本が出た。著者はジャーナリスト兼編集者の松竹信幸氏(元共産党安保外交部長)である。松竹氏は従属をどうすれば解消し、どうしたら日本は自立できるのか、その道筋を模索しているという。
     
サンデー毎日2.12号
     (「サンデー毎日」2.12号)

 ここでは「サンデー時評」の記事を要約しておきたいと思う。
――日米安保に潜む不平等・対米従属性について、『戦後史の正体』(孫崎享著・創元社・12年)、『永続敗戦論』(白井聡著・太田出版・13年)、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部宏治著・集英社インターナショナル・14年)という3作から松竹氏は影響を受けたという。
 松竹氏はまず「従属の現実」として、公務中の在日米軍人の事件・事故について、実際に裁判にかけられたケースが皆無に近いこと、地位協定についても、ドイツが改定し、イタリアが主権を前面に出して原因の徹底究明を求めたのに比し、日本が一貫して及び腰である。

 「従属の原点」について、日本とドイツの占領形態の違い、占領を受け入れた政治家の対米自主度の差に求め、さらに「従属の形成」「従属の展開」として、日本が世界史に前例のない形で裁判権を全面的に放棄したこと。安保改定により双務性を強化しながら、その自主判断権を棚上げし、米国との一体化を追求することで従属を慣行化させてきた。
 鳩山元首相は、政権崩壊の一因として同盟強化派官僚の背信を挙げたが、「抑止力信仰」こそ崩壊の真因である。

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――では、抑止力とは何か。歴代政権は、米国の核抑止力への依存、つまり核の傘に入ることを自国の外交・安保政策の大前提としてきた。
 NATO加盟国が核戦力使用について米国と事前協議する仕組みがあるのとは全く異なっている。
<対米従属解消の方策> NATOを見習う形で核に関する日米間の戦略協議を実現する。将来的には専守防衛政策を世界に普遍化させる。 
<方策を担う政治主体> 今なお抑止力信仰が続く民進党が国民の不安に応えられる安保・防衛政策づくりに挑んでいけるかが課題。
<民進、共産両党を軸とする野党共闘のあり方> 政権からの『野合』批判を受けないためにも、やはり基本政策の一致が必要だ。

――松竹氏のユニークな活動と生き方について。
ところで、松竹氏の経歴も興味深い。学生時代に共産党系全学連委員長をつとめ、その後、06年まで12年間共産党政策委員会の安保外交担当部長をつとめていたという。
転機は、自衛隊の位置づけで志位和夫委員長との間で深刻な意見対立が生まれたことだったらしい。松竹氏が「共産党は自衛隊容認と自衛隊解消という両者を理解できる立場」との論文を発表したら、同党中央は「党は解消論に重点がある」と言って自己批判書提出を求められ、結局離党を余儀なくされたという。

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     (箕輪登・元政務次官)

 その後、京都の出版社の編集者となり、最初に手掛けたのが『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』という本の出版だった。箕輪登・元政務次官と元防衛官僚二人が護憲への思いを語った内容だ。

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     (柳沢協二・元内閣官房副長官補)

 松竹氏はこうした出版活動をとおして、柳沢協二・元内閣官房副長官補、伊勢崎賢治・東京外大教授、加藤朗・桜美林大教授との出会い、憲法9条の枠内で自衛隊を活用する道を求めて、「自衛隊を活かす会」(代表:柳沢氏)を結成したというのだ。

     防衛費の推移

 米国新大統領〝トランプ旋風〟で日本の「対米従属」は一層深まる可能性もある。
九条の理念を大切にすることはもちろん大事だが、政治の世界では現実的な解決策が求められる。
 きわめて困難な道ではあるが臆することなく、安保・同盟体制からの脱却の道を探っていきたいものだ。
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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)