「駆けつけ警護」閣議決定ーー「交戦するPKO」下での陸自派遣は無謀だ

 政府はきょう、南スーダンPKOに派遣する陸自部隊に、新任務「駆けつけ警護」付与を含む実施計画を閣議決定した。
 「改正PKO法」に基づく新任務付与は、安保法の本格運用の第一歩となる。

 しかし、南スーダンでは7月に政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘が発生。このため政府は、出動範囲を首都ジュバ周辺に限定し、「他国軍人を『駆けつけ警護』することは想定されない」と強調。実施計画では新たに撤収規定を設けるなど、活動要件を厳格化する方針だ。

     駆けつけ警護のイメージ

 ここでは伊勢崎賢治氏の見解を参考に示しておきたい。(朝日新聞 11/15付)
伊勢崎氏は〝武装解除人〟と自他共に認めるとおり、アフガンなどで紛争処理に力を尽くしてきた。
――1992年にPKO法が成立してから約四半世紀がたち、国連PKOの役割が様変わりしたことが十分考慮されていません。
 いまPKOの最も重要な任務は、紛争現場で武器を使ってでも住民を保護することです。100万人もの犠牲者を生んだルワンダ虐殺(1994年)をきっかけに、1999年、アナン国連事務総長は、任務遂行に必要ならば、PKOが「紛争の当事者」になって「交戦」することを明確にしました。
 もはや停戦合意の有無は関係なく、住民保護のためには中立の立場を放棄することもあるし、武器使用も必要最小限とは言えなくなりました。
 「交戦するPKO」の登場で、日本の5原則は意味をなさなくなったのです。

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     (伊勢崎賢治氏)

――南スーダンの自衛隊は、施設部隊です。「駆けつけ警護」が付与されても、国連司令部が自衛隊に、歩兵部隊がやる能動的な警備任務をさせることはまずありません。
 しかし自衛隊の宿営地に南スーダン政府軍に追われた住民が助けを求めたら、住民を追ってきた政府軍と交戦になるでしょう。
 自衛隊員が、過って住民を撃ってしまったらどうなるのか。憲法9条は交戦権を認めていないので、日本には軍法も軍事法廷もありません。自衛隊員の責任をどう問うのか、国際問題になるでしょう。

――交戦するようになったPKOの現場に「交戦できない」自衛隊を送る。憲法とPKOの矛盾を取り繕うことは、もはやできません。
 憲法と矛盾しない代替策が必要です。まず国連PKOへの財政支援、また非武装の軍事監視団に自衛隊幹部を派遣することも必要でしょう。文民警察も派遣して、PKO支持を明確に打ち出すことです。

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     (山本洋氏)

 いま一人、最初に陸自が南スーダンに派遣されたとき、「中央即応集団司令官」として統括責任者を務めた山本洋氏の意見も引用しておく。
――駆けつけ警護について誤解を恐れず言えば、過去のPKOの活動でも、それに近い状況はあったのです。現場の指揮官が法的に許されるぎりぎりの範囲で悩みながら判断してきました。
 自衛隊を海外に派遣する以上、法律の不備を残したまま送り出すのはやめてほしい。

     駆けつけ警護の画像
     (駆けつけ警護の訓練)

――駆けつけ警護は、新たな「任務」の付与と言われますが、過去の経緯に照らせば「権限」の付与ととらえる方が実態に近いと思います。要請があっても、隊員の安全が守れないと判断すれば行かないこともありうるからです。
 自衛隊が国際社会から高い評価を受けているのは、道路や水道などのインフラ整備の任務です。
 南スーダンの情勢は悪化しており、情報収集を強化しUNMISS(国連南スーダン派遣団)司令部と連携して最大限の配慮をすることを政府に求めたい。

 政府はこうした意見に耳を貸すことなく、閣議決定に基づいて陸自部隊を今月20日に派遣する予定だ。
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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)