相模原殺傷事件と全盲・全ろうの学者

 障がい者施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件(19人刺殺、26人負傷)を受け、関係閣僚会議で安倍首相は「措置入院後のフォローアップ」を検討課題として挙げた。
 これに対して多くの新聞が、「犯行の原因などが明確でない段階で制度見直しに突き進むのは拙速だ」と指摘しているのは、当然だ。

     津久井やまゆり園
    
 特に、毎日新聞は全盲・全ろうの福島智・東大教授の「今回の事件から考えた原理的な問題」という原稿を紹介している。少し抜粋してみると……
――「重度障害者は生きていても意味がない」という容疑者の供述で連想したのは、「ナチス、ヒトラーによる優生思想に基づく障害者抹殺」という歴史的残虐行為である。
 今回の容疑者は、ナチズムのような何らかの過激思想に感化され、麻薬による妄想や狂気が加わって蛮行に及んだのではないか、との思いが心をよぎる。

     植松聖容疑者
     (植松聖容疑者)

――無抵抗の重度障害者を殺すということは二重の意味での「殺人」と考える。
一つは、人間の肉体的生命を奪う「生物学的殺人」。もう一つは、人間の尊厳や生存の意味そのものを、優生思想によって否定する「実存的殺人」である。
 こうした思想や行動の原潜がどこにあるのかは定かではないものの、今の日本を覆う「新自由主義的な人間観」と無縁ではないだろう。

――労働力の担い手としての経済的価値や生産能力で人間を序列化する社会。そこでは、重度の障害者の生存は軽視され、究極的には否定されてしまいかねない。
 つまり、ごく一握りの「勝者」「強者」だけが報われる社会だ。すでに、日本も世界も事実上その傾向にあるのではないか。
私たちの社会の底流に、こうした思想を生み出す要因はないか、真剣に考えたい。

     福島智・東大教授
     (福島智・東大教授)
     
 それにしても、すごい学者がいるものだ。小学生で全盲となり、高校生のときに聴覚も失う。母が、両手の指の関節を点字の突起に見立てた「指点字」というコミュニケーション方法を考案し、よどみなく会話ができるようになった。盲ろう者として初めて大学に入学して、現在、東大の教授、全国盲ろう者協会理事、世界盲ろう者連盟アジア地域代表などを務めている。〝日本のヘレンケラー〟と言うべきか。

障害者を支援するというのでなく、障害者とともに生きる社会をつくっていくということを肝に銘じておきたい。そうした視点から今回の事件をじっくり検証してみたいと思う。
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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)