「福島第一原発事故」に関する識者の論評

  今月はどうしても「原発問題」を取り上げざるをえない。
  現在、原発が再稼働しているのは川内原発1、2号機と高浜原発3、4号機の4基だ。
そのいずれもが事故時の放射線測定の性能不足であることは、フェイスブックにも書いておいた。

     全国の原発の現状
     (全国の原発の現状。 朝日新聞3/10付)

  ここでは、「3.11福島第一原発事故」に関する識者の示唆に富む論評を、朝日新聞の記事から〝つまみ食い〟的に紹介しておきたい。少々長くなることをお許し願いたい。

    塚原
    (弁護士・塚原朋一氏)

――まずは弁護士・塚原朋一氏(94年、女川原発1、2号機の建設・運転差し止め請求訴訟担当)。伊方原発訴訟の最高裁判決「看過し難い過誤、欠落の場合、原子炉設置許可処分は違法」ではハードルが高すぎる。そこで、「社会通念上無視しうる程度にまで管理」という表現を用いた。チェルノブイリ原発事故などは起きていたけど、「日本では起きない」と信じていた。(3/3記事)

    河合
    (弁護士・河合弘之氏)

――次に弁護士・河合弘之氏(脱原発弁護団全国連絡会・共同代表)。裁判官たちは「原発安全神話」に毒されている。そんな裁判官たちの姿勢が3.11大震災と福島第一原発事故の後、変わった。その象徴が、福井地裁の関電大飯原発の運転差し止め判決(14年)と、高浜原発の運転差し止めの仮処分(15年)だ。
関電は大飯原発の判決を出した樋口裁判長に決定をさせまいとして裁判官忌避を申し立てていた。最高裁は裁判の中身に直接介入することはないけど、人事を通じて介入してくる。一連の人事は、「原発再稼働へと突き進む安倍政権に配慮する最高裁の姿勢は固い」という印象を与えたと思う。(3/3記事)

    飯田
    (飯田哲也氏)

――飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)。大津地裁の仮処分決定は画期的で、原発をめぐる議論へのインパクトは強い。とはいえ、守旧的な動きも強く、自民党と電力会社・経済界と経産省による反動だ。
 世界では、この10年で自然エネルギーの本流化が急速に進んでいる。風力発電は10年前、世界で5千万㌔ワット(原発50基分)だったが、昨年だけで原発64基分が新たに生まれた。太陽光も10年前には原発3基分だったのが、昨年だけで原発59基分ができた。
 あれだけひどい大震災と福島第一原発事故を経験して、なぜ再稼働への動きが進むのか。「思考停止」だ。お陣にとってはおかしいと思っていても、全体を変えられないという意識がある。
 私は、原発廃止のルールと時間軸を国民的に合意した上で廃止すべきという考えだ。核廃棄物の総量規制と福島第一原発事故の教訓を反映した安全規制の強化がカギだ。

    武田
    (評論家・武田徹氏)

――評論家・武田徹氏(恵泉女学園教授)。原発問題は「原発以外の問題」でもある。経済成長に労働人口を提供して過疎化した地方にとって、原発受け入れは新規の雇用や税収、交付金確保を求める切実にして現実的な選択だった。原発を前提として様々な社会構造が固定化されていった地域に、その経緯を無視して「全原発を即時廃炉」といっても無理がある。
 障がい者や病者と立場を反転させても納得できる電力の使い方、電源の確保を考えていく必要があったはずだが、そうした議論は今に至るまで存在しない。
 原発をめぐる構造を変えていくとすれば、まず原子力委員会や規制委員会のあり方を見直すべきだ。時の政権とは独立した組織と、その決定に実効性を持たせる制度設計が必要だ。(3/10記事)

    小林
    (小林傳司氏)

 小林傳司氏(大阪大学副学長)。震災により科学者への信頼は大きく失墜した。日本社会が「専門家主義」から脱却できていない。震災で専門家の視野が狭いことが露見したにもかかわらず、「大事なことは専門家が決めるから、市民は余計な心配をしなくてよい」という姿勢が今も色濃い。
 もう一つ重要な視点が「見逃しの構図」と呼ばれるものだ。阪神大震災後、一部の科学者が原発における安全神話の危うさを警告したが、専門家集団の主流派は相手にしなかった。そもそも問題の検討に最適な専門家を本当に集めているのか。
 まずは、市民が意思決定を専門家に任せすぎず、自分たちの問題ととらえることだ。原子力のような巨大技術ほど「科学技術のシビリアンコントロール」が必要だ。
 専門家は明確に言える部分と不確実な部分を分けて説明する責務があり、最終的には「社会が決める」という原則を受け入れなければいけない。「インフォームド・コンセント」の思想だ。
 日本社会は、自分の専門を超えて物事を俯瞰的に見られる科学者を育ててこなかった。広い意味での「教養」が重要だと思う。(3/10記事)

    IOC総会で安倍首相
    (IOC総会で演説する安倍首相 13年9月)

  安倍政権は、このような貴重な意見・提言を全く無視する。安倍首相が五輪誘致に臨んだIOC総会での「原発はアンダーコントロール」発言に始まり、再稼働に批判的なメディアやニュースキャスターなどへ圧力を加えてきた。
  汚染水対策はままならず、核廃棄物の最終処分場も決まらず、住民の避難訓練もいい加減で、「再稼働」と「原発輸出」に猛進する安倍政権にとどめを刺さないと、国民の命と健康が損なわれ、国際的信用も失墜してしまいそうだ!
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)