核兵器事故「ブロークンアロー」

 『ブロークンアロー』……久しぶりに目にした言葉だ。朝日新聞に載った「核関連事故」の記事にあった。「59年、韓国で訓練中の米戦闘機は福岡県・板付基地所属」(2/1付)。「61年、米東海岸にB52爆撃機が空中分解、落下事故」(2/5付)。

    ブロークンアロー
    (朝日新聞 2/5付)

 Broken.Arrow――米国防総省の核兵器事故の暗号名で、直訳すると「折れた矢」。
前記記事は、朝日新聞が入手した米公文書による。後記記事は、米国が80年代に公表した32件の重大核兵器事故の一つだ。
 せっかくの機会なので、若干の記憶を呼び覚ましながら、メモ的に書きとどめておきたい。

 私は思わず、梅林宏道氏(核問題研究家)の著書『隠された核事故』(創史社、1989年刊)を思い起こした。米ソ冷戦が終焉する4か月前に出版された著書である。

    隠された核事故

 同著によると、米国防総省も次の五つのコード名で呼ばれる核事故を想定している。
①ニューク・クラッシュ(核の閃光)……偶発的または命令のない核爆発で、米ソ間の戦争を誘発する可能性のあるもの。
②ブロークンアロー(折れた矢)……a.前記の事故で戦争誘発の恐れのないものb.核兵器の燃焼や非核爆発c.放射能汚染d.核兵  器や部品の強奪、盗難、紛失e.公害あるいはその可能性のある事態。
③ベント・スピア(曲がった槍)……核兵器の重大事故もしくは未然の事故で、前記以外のもの。
④ダル・ソード(切れない剣)……核兵器の事故で重大でないもの。
⑤フェイデッド・ジャイアント(萎えた巨人)……海軍の原子炉事故ないしは放射能事故。
 実際、冷戦時代から米・ソ両国の核兵器事故は何度も起きている。原潜が丸ごと海底に沈んだケースもある。
 上記のノースカロライナ州での核事故から4年後、奄美大島沖で、米空母から水爆搭載機が水中に落下する事故が発生。いまなお深海に水没したままになっている。

    引揚げられた水爆。スペイン
    (スペイン沖から引揚げられた水爆)

 さらに、日本に寄港する米原子力艦で原子炉の事故や搭載核兵器(今なお米国は核搭載について「否定も肯定もしない」との政策だ)の事故被害に関する「デイビス・レポート」が有名だ。横須賀・呉・佐世保に対する想定事故シナリオの定量的分析で、風下10キロの住民が遺伝障害も含め約15万人が死亡するとの分析結果は、関係自治体に大きな衝撃を与え、内閣府中央防災会議の資料にも引用してある。

    16.2.1朝日・福岡の米軍機、核関連事故
    (朝日新聞  2/5付)

 佐世保や横須賀では、12年前から年に1回、米原子力艦の事故を想定した避難訓練を実施しているが、米軍は「事故はあり得ない」との立場で訓練に参加を拒んでいる。
 さらに佐世保では、原子炉から約200メートルほどの岸壁に原潜が停泊を繰り返しているのは、米国の原子力規制法に違反しているということは何度も指摘したとおりだ。
 日本政府は、こうした事実を知りながら「一切承知しない」としらを切り、「安全保障上に影響を及ぼす」として肝心の情報を公開しない。

    核兵器事故を報じる各紙
    (『隠された核事故』より)

 目下、国際的にも問題となっている北朝鮮の弾道ミサイル発射に関して、国連や米・中両国も打開策を見い出せないでいる。本来なら、東アジアの「非核地帯」構想について関係各国が具体的シナリオを協議して、相互の信頼醸成を通して北朝鮮の核保有を断念させるべきなのだ。
 日本が米国の「核の傘」に安住しているようでは、そうした構想もおぼつかないと言うほかない。
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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)