「従軍慰安婦」と歴史認識について

  呆れ果てて、怒りを通り越して情けなくなる。橋下徹大阪市長のいわゆる「従軍慰安婦」をめぐる発言のことである。

新聞報道
(朝日新聞、2013年5月14日付)

 彼の理屈はこうだ。――戦う兵士を休息させ、軍の規律を維持するために「慰安婦」は必要で、各国にも慰安婦制度があった。日本だけが非難されるのは不当だ。「慰安婦」の強制連行が本当にあったのかどうか(疑問だ)。

橋下徹記者会見
(記者会見する橋下徹・日本維新の会共同代表)

  ⇒自由を奪われ尊厳を踏みにじられた元「慰安婦」の皆さんたちの数々の証言こそ真実ではないのか。

元「慰安婦」
(沖縄集会に出席した元「慰安婦」の金福童さん)

 日本維新の会の石原慎太郎・共同代表も「軍と売春はつきもので、歴史の原理みたいなもの」と橋下氏をかばった。さらに、西村真悟・衆議院議員は「韓国人の売春婦はまだうようよいる」と発言した。
 ⇒きょうの投稿欄に、旧陸軍2等兵だった方(87歳)が自分の実体験に基づいて「戦時中の日本人の意識の底に朝鮮人らへの蔑視があった」「『慰安婦』は多民族蔑視の制度だ」と語り、「政治家が多民族への蔑視に無神経な発言を繰り返せば、日本は世界で孤立してしまう」と警鐘を鳴らしている。(朝日新聞、2013年5月22日付)

石原慎太郎
(衆議院本会議場で談笑する石原(右)・平沼(左)両氏)

 また、沖縄を訪れた橋下氏は、在沖縄海兵隊司令官に「(米兵の性犯罪対策として)もっと風俗業を活用してほしい」と勧めた。――この発言に対し、米国防総省報道官は「言語道断で侮辱的。我々のポリシーや価値観からかけ離れている」と強く批判した。
 国内外から批判が相次いだのも当然だが、橋下氏は、「(自分の意見を)曲解して報道している」とメディアへ責任を転嫁した。

沖縄の米兵

 こうした発言の背景には、歴史認識に関する「河野談話」や「村山談話」の見直しを求める国会議員の言動があると思う。高市早苗・自民党政調会長は「侵略という文言を入れている村山談話は、私自身はあまりしっくりきていない」と語った。安倍首相も「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」「(村山談話を)そのまま継承しているわけではない」と国会答弁している。
  (※1「河野談話」…1993年8月、河野洋平官房長官は、慰安所の設置や管理
     及び慰安婦の募集に軍の関与を認めて、「おわびと反省」を表明した。)
  (※2「村山談話」…1995年8月15日、終戦50周年にあたり、村山富市首相が
     閣議決定に基づき発表した声明。「わが国は、遠くない一時期、国策を
     誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略
     によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害
     と苦痛を与えました」「(このことは)疑うべくもない歴史の事実」として明確
     に認め、謝罪した。)


 いずれにせよ、元「慰安婦」の皆さんの筆舌に尽くしがたい苦痛をまったく無視し、女性の人権と尊厳を踏みにじる言動を決して許すことはできない。ましてや、こうした非常識きわまる発言が、東京・大阪という最大都市の首長(現・元)や閣僚・国会議員からなされるとは、まさに❛万死に値する❜と言うべきだろう。
 「過去に眼を閉ざす者は、未来に対しても盲目となる」とのヴァイツゼッカー元西ドイツ大統領の演説の一節を想起すべきである。

ヴァイツゼッカー元大統領
(ヴァイツゼッカー、1920年~)

マックス・ウェーバー(ドイツの社会・経済学者)によれば、政治家にとって決め手となるのは「判断力」と「品位」だと言う。判断力もなく品位に欠ける政治家は、この際退場願おう。

マックス・ウェーバー
(マックス・ウェーバー、1864年~1920年)

(追記)「従軍慰安婦」という呼称は、70年代に作家・千田夏光による造語とされ、80年代に広く使われるようになった。しかし、強制連行を問題視する女性団体などから、「従軍」いう語感に「自主的というニュアンスがある」との批判が出た。また、「慰安婦」という言葉遣いは実態を反映しておらず、「(戦時)性奴隷」と言うべきとの意見もある。
 私は、以上の点も踏まえた上で、「従軍慰安婦」という表現を使った。
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侵略戦争

「侵略」という文言にしっくりこない高市某や、「侵略の定義うんぬん」と言う安倍首相は、もっと正確に言うべき。
「日本は欧米の帝国主義と競ってアジア諸国を侵略したが、アメリカとの戦争は帝国主義間の、すなわち強盗同士のぶんどりがっせんとしての戦争であった」と。
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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)