渡邊恒雄・読売グループ会長の見事な戦争・靖国観

 靖国参拝における「合祀問題」の本質は、東京裁判(極東軍事裁判)の否定にある。靖国神社の宮司・松平永芳は「東京裁判を否定しなければ日本の精神復興はありえない」との信念で、A級戦犯の合祀に踏み切った。
 東京裁判は、昭和天皇の免罪を軸とするマッカーサーと昭和天皇の合作という意味合いがあった。だからこそ、昭和天皇は松平を痛烈に非難して、二度と靖国を参拝することはなかった。

   天皇とマッカーサー
   (マッカーサー元帥と昭和天皇の初会談)

 ところで、以前から憲法改正を唱え〝タカ派〟として著名な「ナベツネ」こと読売グループの会長・渡邊恒雄は、意外にも「靖国参拝」を痛烈に批判している。以下は、「集団的自衛権と安全保障」(豊下楢彦・古関彰一共著、岩波新書)よりの引用である。

――戦後60年以上にわたり、日本人自身が戦争と「戦争責任者」を自ら裁くことを怠ってきたところにこそ最大の問題がある。
 (渡邊自身が陸軍二等兵として徴兵され)人間が犬馬以下に扱われる社会が軍隊だった。これが、各戦地で兵士を大量に無駄死にさせる人命無視の基本的観念でもあった。

 野蛮性、非人間性は、特に陸軍にあってはかなり普遍的で、そのような精神的土壌から無謀な作戦が生まれた。特攻はあの戦争の美談ではなく、残虐な自爆強制の記録である。
 「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」という『戦陣訓』の思想から生まれた玉砕作戦も非人間的・非科学的であった。
政府もマスコミも『鬼畜米英』と言っていたが、玉砕、特攻こそ陸海軍最高首脳と幕僚たちの、前線の将兵に対する鬼畜の行為であった。

    Nabetsune[1]
  (〝ナベツネ〟こと渡邊恒雄・読売グループ会長)

 (こうした認識の上で)若い将兵たちは『被害者』であって、彼らを死地に追いやる作戦を立案し、実行した軍首脳と幕僚たちは『加害者』である。加害者と被害者を同じ場所に祀って、同様に追悼、顕彰することは不条理ではないか。(と、靖国問題の本質を見事に抉りだしている。)

   安倍首相の靖国参拝

 満州事変から日米戦争に至る昭和戦争について、植民地解放を大義とした戦争と言うことはできない。一部の極右思想家たちによって単なる自虐史観ととられるのは、納得できない。当時の政府、軍の非を明らかにしたうえでなければ、ことの道理から諸隣国の日本非難に応答できないではないか。(と、〝歴史の教訓〟の重要性を指摘しているのである。)
…… (以上は、「中央公論」2006年10月号に「『昭和戦争』に自らの手で決着を付けよう」との渡邊の論文)

 人は見かけによらない。やはり戦争体験者ならではの認識と言葉である。
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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)