地下鉄サリン事件~検証の不在

 この連載記事はぜひ単行本にして欲しいと思った。毎日新聞で連載中の「出動せず」のことだ。筆者の滝野隆浩氏によると、戦後の日本人の安全保障観や危機意識をさぐるために、自衛隊の治安出動を題材にして考えているという。

  霞が関駅
  (事件の現場となった旧地下鉄霞ヶ関駅)

 25日の記事は、「地下鉄サリン事件」の最終回であった。教団による一連のテロ事件がなぜ起きたのか。国としての正式な検証報告が存在しないと指摘する。
 同事件が起きたのは、19年前の3月。死者13人、負傷者6300人を出した日本初の無差別テロ事件であった。

  麻原彰晃

  (オウム真理教の教祖・麻原彰晃)

 ところが、米国では民間がその検証を行なって「オウム真理教:洞察ーテロリスト達はいかにして生物・化学兵器を開発したか」(第2版)を作っているそうだ。リチャード・ダンジグ元米愛軍長官が中心となって、オウムが失敗を繰り返しながらも生物・化学兵器を手に入れていく過程を技術的・組織論的・心理学的に分析している。

 そのために、執筆者たちは東京拘置所にいるオウムの幹部(多くは死刑囚)にのべ25回も会いに行った。やがて彼らに信頼され、<化学兵器製造に至る年表>や<ボツリヌス菌製造のため使用したドラム缶発酵槽の図>といった当事者しか知りえない資料を送ってくれたのだという。「オウムは過去の歴史である。だが将来、他のテロリストが生物・化学兵器の使用を追求する可能性があると我々は考え、この調査を行った」と締めくくっている。

  オウム事件の検証報告

 これを読んだ陸自化学幹部は「これは、我々日本人がつくるべき報告書だ」と嘆いたという。宮坂直史・防衛大教授は「検証がないと若い世代に伝えられないし、同じ失敗が再び起こる」と語る。
 先の大戦がなぜ起きたのか、どこで間違いを犯したか、国としての検証報告はない。それは戦争をしないための教訓になるはずなのに」と滝野氏は締めくくっている。

 以前にも書いたが、インド洋やイラク派兵から自衛官の自殺事件に至るまで、国としての検証・総括報告はまったくない。こうした肝心の検証を抜きにして、いきなり「集団的自衛権」の行使など海外での戦争に執心するのは、あまりにも無責任ではないか! 
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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)