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天皇制のあり方を考える

  新元号「令和」と新天皇の即位。――本来、何かが変わるわけではないのに、メディアや日本会議などの〝フィーバー〟ぶりもあって、〝歓迎ムード〟一色に包まれた観がある。

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 安倍首相は「令和」の典拠となった万葉集を、「天皇や貴族だけでなく、防人や農民まで幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められていろ」と述べた。
 しかし、万葉学者の品田悦一・東大教授は、「貴族など一部上流層にとどまったというのが現在の通説」で、「明治国家の要請に沿って人為的に作り出された幻想だった」と異議を唱える
 「4500首余りの殆どは男女の交情や日常を歌っているのに、数十首の勇ましい歌が、昭和の戦争期には拡大解釈されたことを思い起こすべき」、「忠君愛国と万葉集は切っても切れない関係にある」と言う。

  16.8.9朝日・天皇のお気持ち表明 - コピー
  (朝日新聞 2016年8月9日付)

 天皇の代替わりを機会に、憲法と象徴天皇制、天皇・皇室のあり方、自衛隊の役割や文民統制などについて国民的議論をすべきではないか。
 天皇の「人権」については4月1日付で書いた。法哲学者の井上達夫・東大教授は言う。――統治者たる『われら人民』を一体化させるシンボル(記号)として、特定の血統をもった天皇・皇族を利用しているのが『象徴天皇制』です。天皇・皇族は政治権力どころか人権まで剥奪され、表現の自由や職業選択の自由もない。皇位継承が男性に限られ、女性の皇族だけが民間人と結婚したら自動的に皇族離脱するのはひどい女性差別で、憲法14条違反です。

  南阿蘇訪問の天皇
  (南阿蘇訪問の天皇 朝日新聞より)

 憲法と象徴天皇制を巡って現在では、「第1条(象徴天皇制)と第9条(非武装)はワンセット」との認識が共有されている。
 この点に関して、憲法制定過程に詳しい憲政史家の古関彰一・元獨協大学法学部教授は、「天皇制の維持と平和の推進が一対であることに最も早く気づいていたのは昭和天皇だと思う。マッカーサーの狙いと一致していた」と語っている。
(※天皇の戦争責任を問う声が根強い中、皇室を存続させるためには非武装も厭わない天皇。日本(国民)を統治するために天皇の権威を必要としたマッカーサー・GHQ総司令官)
 古関氏は「憲法九条はなぜ制定されたか」(2006年。岩波ブックレット)で、政府が「憲法改正草案要綱」を公表した際、昭和天皇は『勅語』を出している(1946年)。この勅語が出される過程を調べていたら、第1条と第9条の関りが次第にわかってきた、というのだ。
 以上の経緯から、昭和・平成そして令和天皇が「日本国憲法をしっかり守り……」と表明するのは、至極当然のことであった。

  アンガウル島に拝礼
  (アンガウル島に拝礼 朝日新聞より)

 天皇を巡る論点の一つは、安定的な「皇位継承」だ。秋篠宮は「兄が80歳になった時、私は75歳。皇位継承は無理」という趣旨を述べている。現在の皇位継承資格者は、秋篠宮、悠仁、常陸宮の3人のみだ。
 だが、女系天皇や旧宮家の皇籍復帰など継承資格者を増やすための議論は停滞している。
 また、「公務負担の軽減」の問題もある。平成天皇は「国事行為や象徴としての行為を縮小することには無理がある」と、退位を示唆した。公務の〝スクラップ・アンド・ビルド〟が必要ではないか。
 河西秀哉・名古屋大大学院准教授は、「国民の間で象徴天皇像の共有がない」。「女系・女性天皇や、慰問を公務から外すなどの工夫が必要」と語っている。

  国事行為として行う儀式
  (国事行為として行う儀式 朝日新聞より)

 一方、社会の統合を「皇室頼み」にすることの危うさを指摘する意見もある。原武史・放送大学教授は言う。
――平成天皇と皇后は、昭和天皇が手をつけなかった慰霊や被災地訪問を通し、償いや弱者に寄り添う姿勢をアピールしてきた。知識人や歴史学者の間にも天皇シンパが増えて、ますます分断する社会を統合しようとしてきた感さえある。
 本来政治が果たすべきその役割が、もはや天皇と皇后にしか期待できなくなっているとすれば、民主主義にとっては極めて危うい状況ではないか。

  19.5.1朝日・令和、新天皇即位 - コピー
  (新天皇即位 朝日新聞 2019年5月1日付)

 また、渡辺治・一橋大学名誉教授は指摘する。
――安倍政権の下で政治が改憲や軍事化の方向に突き進もうとしているとき、天皇が「歯止め」として期待されるようになった。だが、天皇の行為の憲法からの逸脱は正すべきだ。
 戦争を繰り返さないこと、戦争責任を明確にすることは、国民が自らの主体的責任で解決すべき問題であり、天皇の「おことば」や訪問で代行すべきではない。

 第9条に係る自衛隊の「役割拡大」と「文民統制」については、機会をあらためて論じてみたい。

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生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)