「ザ・ペニンシュラ・クエスチョン」ー北朝鮮問題を読み解く

 現在、12後に迫った平昌冬季五輪への南北合同チームの是非を巡って話題が沸騰しているが、北朝鮮はその存在感を示すことに躍起だ。
 北朝鮮は冬季五輪の前日を「軍創設記念日」に定め、韓国は「五輪閉幕直後に米艦軍事演習を再開」と応酬する。

       ザ・ペニンシュラ・クェスチョン

 ところで、「ザ・ペニンシュラ・クエスチョン」という本がある。「朝鮮半島第二次核危機」と題する名著だ。作者は船橋洋一氏(元朝日新聞社主筆)で、米ブルッキングス研究所の協力を得て「六か国協議」の関係国を徹底取材したもので、2006年刊行。
 かなり分厚い本だけど、北朝鮮の核開発を関係国がどう見ているかが手に取るように分かる。

       六者協議2003年

 朝鮮半島の「第一次核危機」は、1994年、北朝鮮の核開発が判明して米朝間が緊張した時である。カーター元大統領が訪朝して金日成主席と会談し、核開発の停止と引き換えに「軽水炉提供」を約束して収まった。


 「第二次核危機」は、2006年7月、北朝鮮のミサイル発射である。米朝間の「枠組み合意」や日朝間の「平壌宣言」は反故になった。
 なぜ、北朝鮮は、ミサイル発射を行ったのか。――米国に真剣に関与させるため、中国の圧力を牽制するため、核保有国として扱ってもらいたいため、軍部が発言力を増大してきたためなどの理由が考えられる。クリストファー・ヒル米国務次官補は上院公聴会でそのような理由を挙げた。

       クリストファー・ヒル&金桂寛

 北朝鮮の核危機は、北朝鮮が世界の潮流から取り残され、歴史から取り残された深いアイデンティティ危機と体制の危機を内在させている。
 恐ろしいのは、北朝鮮が、その喪失感と疎外感の表出を核に求め、しかも、「恐怖競争」の面での優位性を信じているように見えることである。

 「9.11米国テロ」後は、テロと核との結びつきに対する戦いが加わってきた。北朝鮮の核危機は、世界の核状況危機の表れでもある。

       wor1702120009-p1[1]

 北朝鮮の核・ミサイル問題は「圧力」一辺倒では解決せず、米(韓)朝戦争への危険を孕む。結局、「六か国協議」を再開し、その場に北朝鮮を導く以外にないのではないか。
 折しも、読売新聞がジョン・メリル元米国務省情報調査局北東アジア室長にインタビューしている。ジョン氏は、元米政府高官や識者が北朝鮮高官と意見交換を行う「トラック1・5」の協議に関わってきた。
 話しのあらましを紹介しておく。

       18.1.19読売・北と対話、今こそ好機
       (ジョン・メリル氏。読売新聞1/19付)

――今我々が必要なことは、より永続的に機能するものを利用することだ。
正恩氏が最高指導者になった後、長続きはしないとの予測が多かったが、それから6年以上が経過した。正恩氏は権力を掌握し、戦略兵器を開発したが、まだ成し遂げていないのは、近隣諸国との関係改善だ。だから、今が対話を進める好機だ。
 米国は1941年に日本に圧力をかけ続けた結果、日本を対米開戦に追い込んだ。核ミサイル攻撃能力を持つ北朝鮮を同様の立場に追い込むべきではない。
 北朝鮮が対話姿勢を見せているが、米国の圧力策は一つの要素に過ぎない。正恩氏には行動計画があり、その計画に基づいて対話を進めている可能性がある。

       小泉=金会談

 小泉元首相は2006年、ブッシュ大統領に「北朝鮮のような国は、首脳間で直接対話しないと物事が進まない」と、北朝鮮の核・ミサイル問題解決に向け、高いレベルでの米朝直接対話を促した。二度にわたって平壌に乗り込み、拉致被害者を連れ戻してきただけに、実感がこもっていた。

日本は今こそ、米朝の橋渡し役を果たすべきだが、安倍政権は「圧力一辺倒」でその無能さをさらけ出しているのがいかにも情けない。
 
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「エンプラ事件から半世紀」に思う

  今年に入ってから、「エンプラ闘争50年」に関して私や「19日佐世保市民の会」関係者などへの取材が続いた。
 世界初の米原子力空母「エンタープライズ」が佐世保に入港したのは1968年1月19日。「パリ五月革命」など国際的なベトナム反戦運動が高揚していた時期。日本でも、「羽田闘争」など全国で100を超える大学紛争が起こっていた。
 当時の「エンプラ闘争」については、3年前のブログ(12月7日)に書いておいた。

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 延べ十万人を超える闘争参加者やメディアでも大きく取り上げられた闘いは前後に例をみない。あれほどの闘いから半世紀が経ち、当時を記憶する人々も稀になった。
 メディアでも、長崎新聞の連載記事(4回)を除いて大きなニュース・記事にはならなかった。「市民の会」や地区労などの講演会でも、若い参加者たちは当時の映像に興味を示さず居眠りする有様だった。

 「エンタープライズ」は6年前に前線任務から外されて、原子炉の抜き取り・解体作業を経て、昨年2月に「除籍」された。
 米議会では、「テロとの戦い」に大型空母は不要との議論もあるが、米政府は「技術者の確保と造船所の維持のために空母建造が必要」だと弁明している。
(※空母の建造はニューポート・ニューズ造船所。原潜の建造はジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボート) 

     佐世保に入港する「ワスプ」
     (佐世保に入港する強襲揚陸艦「ワスプ」)

 ところで、佐世保の米軍や自衛隊の現況を簡単にふれておきたい。
今月14日、佐世保に配備されていた強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」が交代した。新艦は「ワスプ」である。
 同艦は、甲板を拡大・強化して戦闘機F35Bを運用できるようにしたほか、LCAC(水陸両用艇)やオスプレイも運用できる。
 佐世保には現在、強襲揚陸艦1隻・ドック型輸送揚陸艦1隻・ドック型揚陸艦2隻・掃海艦4隻である。
 ステルス・ミサイル駆逐艦(ズムワルト級)や沿海域戦闘艦配備の情報もあったが定かではない。

 自衛隊では、話題の「水陸機動団」が3月末に発足する。規模は約2100人で司令部のほか2個の水陸機動連隊を置く。
 日米両政府は、在沖海兵隊の一部がグアムに移転した後に三つ目の連隊(約600人)をキャンプ・ハンセンに配置する基本方針を確認しているという。(朝日新聞17年10月31日付)

     崎辺
     (工事が進む崎辺の水陸両用車配備地)

 先日、元TV記者や大学教授と共に水陸両用車の配備予定地(崎辺)を視察に行った。
 計画では隊舎や訓練施設・体育館などが建設されて、来月末に完了するはずの工事が半年も延びているとのこと。主な原因は、元々埋め立て地だったことから建設地盤に大量の海水が浸透していること。さらにダンプなど大型車の頻繁な往来に難色を示す周辺住民の説明会に時間をとられたと、工事現場の責任者は語っていた。

 いずれにしても防衛省は、冷戦時代の「対ソ戦略」から一転して、外洋展開著しい中国への米対抗戦略に沿う形で佐世保や沖縄・南西諸島への自衛隊配備を進めている。
 明日から始まる通常国会で野党はこうした軍備増強に対して徹底した論戦を展開してほしいと思う。

リニア新幹線は談合と利権まみれの無駄な事業だ!

 昨年、「崩壊した企業の『信用力』」と題して相次ぐ不正事件を書いておいた。(12/12)

 今度は、リニア新幹線を巡る「談合事件」について触れておきたい。
 リニア中央新幹線は、まず27年に東京(品川)―名古屋間、45年に大阪までの全面開業を目指す。
 東京(品川)―名古屋間は総延長286キロで最速40分で走り切る。東海道新幹線の同区間より走行距離を2割短縮する。

       ゼネコン4社の受注状況1

 リニア中央新幹線の建設工事を巡るゼネコン大手4社の談合事件で、東京地検特捜部は、大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設の各本社を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で捜索した。大成建設の元常務と大林組副社長が中心的な役割を果たしていたことが判明している。

 容疑の対象はリニア関連工事でこれまでに発注された22件すべての工事。4社はこのうち3~4件ずつ計15件を受注しており、それぞれ自社が希望する工事などについて事前協議をし、受注調整をした疑いが持たれている。
 リニア中央新幹線のルートが正式発表された2011年以前から、品川駅、名古屋駅、南アルプストンネルの主要な建設工事で、4社が受注分担を協議していたという。

       捜索容疑になった大林組名城非常口の工事現場12.18
       (朝日新聞12/18付)

 トンネル工事は高い技術力が必要とされ、品川―名古屋間の路線の8割以上がトンネルとなっている。
 南アルプストンネルを、土木工事を得意とする鹿島と大成建設が受注することに争いはなかったとみられる。
 一方、駅工事は各社の競合が激しく、捜査当局は、価格を抑えようとするJR東海との交渉を有利に進めるためにも、4社が談合したとみている模様だ。

 JR東海はリニア建設費用を内部留保資金と借金で賄い、運賃・料金収入で回収するとしているが、全線開通時の借金は5兆円に膨らむ見通しだ。実際は法制・税制面での優遇を受けており、9兆円の総事業費には公的資金を原資とした3兆円の低利融資も含まれる。
事実上、国との共同事業(JV)だ。
 こうした大型事業の場合、実際の建設費用は見積額の2~3倍になるといわれており、
最大27兆円にも膨らむ可能性がある。
 また、リニアの消費電力は通常新幹線の3倍といわれており、JR東海が「原発再稼働」を急ぐように訴えている理由である。

      清水建設の捜査に入る係官12.19
       (朝日新聞12/19付)

 今回の談合事件で、リニア事業や他の大型事業への影響を懸念する声が出ている。談合が認められれば、大手ゼネコン各社は巨額の課徴金を求められ、軒並み入札の指名停止処分を受ける異例の事態になる可能性があるからだ。

 大林組はすでに価格調整など談合を認めている。独禁法では、公取委の本格的な調査が始まる前に最初に違反を申告すれば、課徴金も刑事告発も免れることができる。
 早く違反を認めた方が得だという心理を狙った「課徴金制度」だといわれる。

 こうしてみると、談合や利権が絡みあう〝無駄な巨大公共事業〟であると言わざるを得ない。

新年あけましておめでとうございます。

 新年あけましておめでとうございます。
 
       18年の年賀状_色変換済 - コピー

 今年こそは良い年になればと願うけど、先行きは暗雲が立ち込めているようだ。
安倍首相は、昨年の〝国難突破〟選挙で与党が三分の二議席を確保して、「今年は憲法改正に本腰を入れたい」と年頭所感で述べた。
 各紙も「憲法改正」に関する特集や連載記事を載せていた。

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 自民党は、年内に国会で改憲発議して、来年の天皇退位と新天皇即位前に国民投票で改憲を実現する予定だ。自民党内には石破元防衛相らが「憲法改正草案」を基に、9条3項に自衛隊を明記することに異論を唱えているが、安倍首相案に収束する見込みだという。
 与党内では、公明党が創価学会などの反対論を背景に慎重な構えだ。
 野党では、立憲民主党を筆頭に民進・共産・社民・自由などが「安保法制」違憲との立場から「安倍改憲」に反対している。
 同じ野党でも、希望の党や維新の党などは「憲法改正」に積極的である。

 私も「憲法改正」を頭から否定するつもりはない。どうしても憲法を変えないと現実に対処できないときに、初めて改正の必要が生じる。そうした切実な事態に基づいて議論され、合意形成がなされていくべきものだと思う。
 ところが、安倍首相などは、「押しつけ憲法だから、変えること自体に意義がある」と「戦後レジームからの脱却」を訴えている。
 この主張は憲法制定の経緯をはき違えており、現憲法は戦後の運用の中で実効性をもって定着しているのが常識だ。
 
 改憲ありきの政治家たちは、「自衛隊の明記」や「教育の無償化」、「緊急事態条項」などを主張するが、本当に改憲しないと対応できないという事態ではなく立法での対応で済む問題だ。
 具体的な不具合ではなく「変えるため」に合意を得やすい部分を探すような議論は、ためにする改憲と言うべきだ。

 「安保法制」については当ブログで何度か言及してきた。
 ご承知の通り、安倍政権は「集団的自衛権」は違憲だとする歴代政府の憲法解釈を変えて、「一部容認」を閣議決定して「安保法制」を成立させた。
 安倍首相は、9条に第3項を加えて自衛隊を明記すると言う。第2項と矛盾するなら、「後法優位」の原則から2項は死文化し、フルサイズの集団的自衛権を認める道が開かれかねないという。(高見勝利・北海道大名誉教授)

 自衛隊のあり方についても、当ブログで何度か言及してきた。
 果たして「シビリアンコントロール」は機能しているのか?この数年、「北朝鮮の脅威」を理由にして、きわめて高額な武器を米国から導入してきた。その選定にあたっては「制服組」の言うがままだ。
 「武器輸出三原則」を事実上捨て去り、他国との武器開発にばく進し、「攻撃的兵器」へと触手を伸ばしている。
 かつた、後藤田正晴・元官房長官は、「アリの一穴から大堤防も決壊する」と警鐘を鳴らしておられた。現状は後藤田氏の指摘通りである。

 政府・防衛省は、「専守防衛」原則を超えていっそう米軍との一体化(従属物)を進めている。自民党の政治家たちは、自衛隊員の人権保障などまったく眼中にない。
 立憲民主党をはじめ野党は、「安保法制」に反対するだけでなく、自衛隊の改革・再編と自衛隊員の人権確立(「軍事オンブズマン制度」)について具体的構想を示さなければならないと思う。

 9条改憲の陥穽にはまることなく、国際社会との協調と国民生活の安全に向けて、日米安保の見直しや自衛隊の諸原則復元を図ることこそ政治に求められていると考える。
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)