米国による〝安倍降し〟が始まった?

 「米国による〝アベ降し〟が始まったのじゃないか」--今朝、唐突にある友人から電話があった。

     16.8.17朝日・核の先制不使用、首相が反対
     (朝日新聞 8月17日付)

 今月17日、「安倍首相が米太平洋軍司令官に、核の先制不使用政策に反対だと伝えた」との新聞報道があった。(4日後に安倍首相は否定しているが)
報道の源は米国のワシントンポスト紙だ。同紙はウォーターゲート事件をスクープして一躍有名になった。

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     (航空機「トライスター」)

 田中角栄・元首相が「ロッキード事件」で逮捕され(76年)、それがもとで脳梗塞となり亡くなった。--戦後最大の疑獄となったこの事件は「コーチャン証言」という米国発情報だった。角栄は〝トラ(米国)の尾を踏んだ〟と指摘された。米国の頭越しに日中国交正常化を図ったことを指す。

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     (サンデー毎日 02年6月2日号)

 今回の米紙報道は、安倍政権とバックの日本会議が密かに「日本の独自核武装」を狙っているとの懐疑を抱いた米国の画策ではないか、と言うのだ。
 安倍首相は元々「独自核武装」が持論で、私が議員時代に大きな週刊誌沙汰にもなったものだ。
 韓国でも最近、北朝鮮のミサイルに対抗すべく「独自核武装」論が増えている。

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 全くあり得ない話しではないと思う。ある友人という人物は、あらゆる分野を研究している実績があり、単なる思いつきではない。
米国の「9.11テロ事件」の首謀者とされたウサマ・ビン・ラディンだって、元々は米国が援助して旧ソ連と戦わせ、用済みになったらテロ事件の首謀者だとして殺されたのだった。

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     (英国の特殊部隊)

 昨日報道された「各国の特殊部隊」(TBS系)では、最も莫大な利益をあげているのは米国の軍需企業だと詳しく報道されていた。
 例えば、ISの連中に資金を与えて世界各地でテロを起こすように仕向けるのは朝飯前だ。イスラム過激派によるテロ対策と称して、莫大な利益を得ることができるという訳だ。
 安倍政権の行方をこういう視点からも見ていく必要がありそうだ。
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脱原発の論理~故・藤田祐幸氏を偲ぶ

 鹿児島県の知事選挙で、川内原発容認の現職に挑んだ候補が予測を裏切って勝利し、  〝脱原発〟知事が誕生した。
 この現実は、九電だけでなく政府や電力会社に大きな影響を与えていくことだろう。
 そこで今回は、原発容認派と反対派の代表格の論理を検証してみることにした。引用するのはいずれも、月刊「世界」(13年)への論考である。少々長くなるが、ご勘弁願いたい。

     16.8.27朝日・川内原発停止、知事が要請 - コピー
     (瓜生道明・九電社長に要請書を手渡す三反園訓・鹿児島県知事)

 <寺島実郎の原発論>

*菅直人・元首相から手紙が届いた。「新自由主義の拒否と脱原発を結束軸に活動を続ける」という内容で、市民派政治家の限界を知らされるものだった。

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     (寺島実郎・日本総合研究所所長)

*世界のエネルギー地政学は地殻変動の局面にある。まず、石炭需要の急増である。次に、米国のシェールガス・オイル革命が新局面に入り、中東依存からの脱却という構造が見えてきた。
*世界の原子力の動向も新たな局面にある。IEAの展望では、原子力発電は35年には580基で10年の394基の5割増とみられ、「国際的核管理と安全の制御」が課題となっている。

     16.4.26朝日・主な国の原発

  さらに、中国は14基から80基へ、韓国も24基から36基を目指しており、100基以上の原発が北東アジアに林立するだろう。
その中で、日本が専門性の高い技術基盤を保有して主導的役割を果たせるかが重要だ。
*「脱原発」の論理を整理しておく。第一に、原子力は安全性を保障できない制御不能な技術である。第二は、原子力は等身大の技術ではなく「反倫理的」である。
  抱え込んだ原子力という魔物を制御できるシナリオはないのかという視座が必要だ。だが、「脱原発」の論理には、感情の次元を超えた政策科学の議論が欠けている。
*不可欠な二つの視点。一つは、原子力の技術基盤を維持し、発言力、貢献基盤を失うな。
  二つは、技術の進化への的確な認識である。第一世代の福島原発と異なり、2.5世代からの原発は着実に安全設計が進化している。
*「国家が責任を持つ」制度と組織が肝要だ。二つの提案をしたい。
  一つは、すべての電力会社から原子力事業を切り離し、「原子力統合会社」として一体運営すべきだ。
  第二は、国家としての原子力行政体制を統合することだ。
*この7年間で、原子力産業の位相はすっかり転換した。東芝はWHを買収し、日立とGEは合弁事業を設立、「日米原子力共同体」というべき構造が形成されている。アレバと提携する三菱や世界の原子炉格納容器の圧倒的シェアを持つ日本製鋼所など、日本企業が原子力産業の中核主体になっている。
*果たして、日米同盟を解消することなく、「脱原発」は不可能である。
 であれば、日本の原子力技術基盤を生かして影響力を最大化し、「非核のための原子力」へ向けて前進すべし。
――(月刊「世界」13年12月号より)

<藤田祐幸の脱原発論>

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     (藤田祐幸・元慶応大学助教授)

*福島原発事故で熔けおちた原子炉の底を流れた地下水が、毎日300トンも海へ流れ出していた事実を東電が認めた。私はその水量に圧倒された。
*地下に遮水壁を建設したところで、山から流れる地下水を止めることはできず、行き場を失った汚染地下水は地上に溢れ出てしまうだけ。
  地下に溶け落ちた炉心の放射能は100年や1000年経ってみても、とうてい人の手に負えるものではない。
*11年11月、「阿武隈川から海へ500億ベクレル」という記事が新聞に載った。この放射能は原発の地下水汚染とは別の重大問題をはらんでいる。

     汚染水があふれた状況

  環境省が13年6月に汚染状況重点調査地域の地図を公表した。市町村ごとの空間線量(毎時0.23マイクロシーベルト)は一般人の被曝限度の二倍の被曝を強いられる地域だ。
山林の汚染された土壌は、川底に堆積しあるいは河口部の海底に沈積する。日本の国土の70%以上は山林であり、この山林の腐食土壌に沈着した放射能を除去することなどあり得ない。
*福島原発事故では、二つの幸運が日本を破局から救った。同原発が日本列島の東側に位置しており、辛うじて原子炉の蓋が吹き飛ばずに済んだため、膨大な放射能の大部分は太平洋に流れて、深刻な汚染は北関東から南東北の一部にとどまった。
しかし、原子炉の底が抜けたことで、事態はいっそう深刻だ。核燃料は本来、10万年の間、環境から隔離すべきもの、つまり水との接触を断ち切るということだ。
まさに「海のチェルノブイリ」ともいうべき事態が、今も深刻に進行している。
*政府は、使用済み核燃料を10万年間、環境から隔離するとしているが、その技術と安全性について検証のしようがないのが現実だ。
  地球は1万年ほど前に氷河期が終わり、温暖化の時代が始まって、今の私たちがいる。福島で起こったことはこの1万年の歴史に対する冒涜ではなかったか。
  目先の利害にとらわれることなく、未来に対する判断をすることこそが、今求められているのではないか。
――(月刊「世界」13年10月号より)

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     (福島第一原発)

 寺島氏の論理は、こうだろう。――原発技術は進化しており、世界の原発は増えていく。原子力産業は「日米原子力共同体」というべき構造が形成され、日本が中核主体になっている。日本の原子力技術基盤を生かして影響力を駆使すべきだ。
 福島原発事故の原因を、安全設計に欠けた「第一世代」に求めているのには、驚かされる。「脱原発」派への反感が顕著で、「政策科学の議論」とはとても言えない。
 加藤周一氏に次ぐ〝知の宝庫〟と称される寺島氏だが、政府に取り込まれるとこのザマかという思いだ。もっとも、彼のバックが三井資本だから所詮限界があるのかも知れない。
 一方、藤田氏の論理は、何よりも「現場検証」に基づいており、説得力充分だと思う。
 福島とその周辺の状況は、土壌や川も海も放射能で汚染されて手の施しようがない。原発の汚染水対策もままならず、海に放出されているのが現状だ。(その後、「凍土壁」を造ってみたが上手くいかない)
 私は、イラク特別委員会で参考人として出席された藤田氏と質疑を交わした思い出がある。またその後、西海市(長崎県)に移り住まれて、何度かお宅を訪ねたこともある。
だからといって、身びいきで両者を評価している訳ではない。

 藤田氏は、残念ながら7月18日ガンで亡くなられた。享年73歳、あまりにも早すぎる最後であった。
 その意思をしっかり受け継いで、「脱原発」を目指して前進したいと思う。

天皇の「お言葉」と生前退位に思う

 今月8日、天皇陛下自らが象徴天皇のあり方を問いかけるビデオメッセージ(約11分)が公表された。

 天皇は数年前から、自らの「身の処し方」や「象徴天皇のあり方」について思索を重ね、皇太子や秋篠宮と食事を共にして自らの考えを伝えていたようだ。
 3年前には、自分の「最後」に際して火葬や陵の見直しなどを宮内庁に伝えていた。これまでの天皇にはなかったことだ。

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 今回の「お言葉」で天皇は、公務を減らすつもりはなく、摂政を置くことを事実上否定し、儀礼の簡素化などかなり踏み込んだ内容になっている。
 「戦前的、権威的な面があった昭和天皇に対し、平成天皇はここ十数年、開かれた皇室と皇室外交、戦争の犠牲者への慰霊追悼という平和希求、国民とくに弱者に寄り添うという四つの柱を立てて、象徴天皇として内実を築くのに大きな役割を果たしてきた」(吉田裕・一橋大教授)。

     憲法と皇室典範の条文

 天皇がその位を生前に皇太子に譲る「生前退位」の意向を示されたと、新聞報道されたのは先月14日だった。
 譲位継承を実現するには、「皇室典範改正」が必要となる。現天皇に限って例外的に特別立法をつくるのは将来に禍根を残しかねない、との指摘がある。
 皇室典範改正に現政権は消極的と言われる。女性・女系天皇についての議論が再燃しかねないからだ。

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 こうした「天皇制」に関して、国民の大半が支持している。しかし、左翼や平和運動家、労組活動家などは否定的である。共産党も「国民的合意に基づいて廃止する」と綱領に書いている。また、「皇室に関心はない」という人たちも少なくない。

 私の率直な感想――終身天皇って想像以上に大変なんだ。天皇・皇后が「私人」になれる時はどれほどあるんだろうか?
 「私人として過ごすときにも自分たちの立場を完全に離れることはできません」(68歳)。「私は(結婚する前)家庭生活をしてこなかった」(75歳)。「天皇という立場にあることは、孤独とも思えるものです」(80歳)。(いずれも天皇の会見より。「天声人語」8/9付)

     南阿蘇訪問の天皇
     (南阿蘇の被災者を慰問する天皇)

 今日、最大の「憲法擁護」者は天皇ではないかと思う。「象徴天皇制」(第一章)と「非武装」(第九条)はワンセット。つまり第九条は、「天皇免責と皇室存続」の〝担保〟となっているのだ。
 最近、「米国による憲法押し付け」論への反論として「第九条の発案者は幣原首相だった」との説が流布している。しかし、幣原首相が天皇の頭越しに第九条提言(対マッカーサー)などできるはずがなく、真相は昭和天皇が「命じた」はずである。
 現天皇は、皇室にとって憲法が何より重要であるということを、昭和天皇よりしっかり受け継いでいるのである。

     「岸時代の調査会」肉声発見

 いずれにしても、自民党の「憲法改正草案」で謳う「天皇元首化」など論外で、皇室にとっては甚だ迷惑な話しであろう。
 皇室典範改正ともなれば数年がかりの煩雑な作業となり、憲法改正は当分棚上げせざるをえないのではないか。
 

原爆投下から71年目の夏ーー「黒焦げの少年」の正体判明

 広島・長崎に原爆が投下されて71年目の夏。
広島の死者数は約14万人、長崎は約7万4千人。涙も枯れ果てるほどの悲劇は枚挙にいとまがないが、その一つに爆心地付近で全身黒焦げで亡くなった写真がある。故・山端庸介さんが撮影した「黒焦げとなった少年」(1945年8月10日)である。

     黒焦げの少年

 これまで長い間身元不明だったが、長崎平和推進協会の調査で、少年が旧制中学1年の谷崎昭治さん(当時13歳)である可能性が高いことが分かった。
 同協会が昨年7月に長崎市で開催した原爆写真展で2人の妹が気づいたのがきっかけだった。

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     (右・西川美代子さん。左・山口ケイさん)

 妹の西川美代子(78)さんと山口ケイさん(76)は、写真展で大きく引き延ばされた写真を見たとき、「じっちゃん(谷崎さんの愛称)だ」と直感した。
 二人は原爆関連写真を調査している深堀好敏さん(87)に面会。深堀さんが九大法医学者に鑑定を依頼し、顔の特徴などから少年が谷崎さんの可能性が高いという鑑定結果を得た。

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     (左端・谷崎昭治さん。右端・西川美代子さん)

 谷崎さんは爆心地近くに下宿しており、投下後、父親は何度も下宿を訪れ、母親も谷崎さんが送った最後の手紙を肌身離さず持っていた。
 二人の妹は昨年秋、少年の写真を手に両親の墓前に報告。山口さんは取材に「両親もほっとしたと思う」とほほ笑み、西川さも「どこかで生きているのではと思い、気持ちの整理がつかなかった。やっと会えて安心した」と語った。(以上、JIJI.COMの記事6.18付より)

     弟を背負った少年
     (死んだ弟を背負い荼毘に臥すのを待つ少年。)

 ところで、オバマ大統領が初めて広島を訪れて、犠牲者の慰霊と「核兵器廃絶」を誓ったことが話題となった。しかし、安倍首相はオバマ大統領に「唯一の被爆国」としての確固たる意志を伝えることは微塵もなかった。
 日本は長年、ひたすら米国の「核の傘」にしがみつき、米国の核兵器削減に必死で抵抗し、核兵器の先制使用に反対することもできない。
 こんなぶざまな姿こそ、原爆の犠牲者、被爆者に対する最大の侮辱であろう。

〝リベラル〟結集の野党再編と戦略部門の確立を!

 参院選の結果が判明した後、自民党の戦略・広報部門はどんな顔ぶれなのか知りたかった。8月2日付の朝日新聞で「政治とメディア」という特集記事があった。
 小口日出彦氏――パースペクティブ・メディア社の経営者で、09年~13年の間「情報参謀」として自民党のメディア戦略に携わった。今回の参院選でも、党幹部から何度か助言を求められたという。

 自民党の情報戦略

 小口氏は「テレビやネットから集めた情報を用いた分析で、世論が政治をどう見ているかを示すことができる」とアピール。
以後、自民党は小口氏がつくる分析リポートをもとに、党本部で情報分析会議を毎週開いて、広報戦略を練り上げたという。
 自民党は、10年秋からネット情報の収集分析も開始。13年の参院選では、党や立候補予定者に関するネットでの書き込みを分析・監視するなどITを活用した。また、候補者にタブレットを配って、演説で取り上げるテーマなどを細かく助言したという。

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 ずいぶん以前、中選挙区制下で自民党の派閥が幅をきかした時代、総裁選などでライバルを蹴落とすのに週刊誌を使ったものだと聞いたことがある。
 私が議員時代、直に経験があるのは辻元清美議員の「秘書給与問題」を巡ってである。当時、鈴木宗男議員を「疑惑の総合商社」と厳しく追及していた辻元議員を、自民党の重鎮で鈴木氏の親分である野中広務議員が、「タダでは済まさん!」とTVで凄んでみせた。
 実際、その後、「週刊新潮」が辻元議員のことをかなりデタラメに報道して、議員辞職に追い込んでしまったのだった。
(※今回の都知事選で、鳥越俊太郎候補に対して「週刊文春」が「女性問題」を報道したのも、同様の汚い手口であったように思う)

     16.8.2朝日・民進代表選、うごめく党内 - コピー

 ところで、資金力の圧倒的差があるとはいえ、民進党など野党の戦略・広報はあまりにも貧弱すぎるのではないか。
岡田克也・代表辞任に伴う民進党の代表選を巡り、「野党共闘」の是非を問うているようでは、次期衆院選も野党敗北は必至だろう。
 野党の中核であるべき民進党は、前原誠司・細野豪志氏や長島昭久氏、江田憲司氏(旧維新の党)など〝改憲派〟が多く、この状態で「政権交代」など無理な話しだ。

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 社民党や生活の党なども含めて「リベラル」結集のための野党再編が不可欠だと思う。その上で、自民党に負けない戦略・広報部門をしっかり確立すべきだと思う。

今こそ「イラク戦争の検証」をすべきだ!

  米国が主導したイラク戦争(2003年)から13年、日本でも遅まきながら同戦争の検証が始まった。

 今年5月末、市民グループ「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」主催の「イラク戦争公聴会」が開かれた。元防衛官僚の柳沢協二氏が証言した。

     「対テロ戦争」の死者

 戦争の犠牲は大きかった。国際NGOの推計では、米英軍の侵攻後に亡くなった民間人は16万人を超す。
 なぜ開戦の根拠がない戦争をおこしたのか。(以下、朝日新聞7/7付より抜粋)
米国は、04年「独立調査委員会」を発足させ翌年3月の報告書では、専ら情報機関の不備を指摘し、政権側の情報操作などについては明らかにならなかった。

オランダの独立調査委員会は10年、「イラク戦争は国際法違反だった」との報告書を出した。
豪州は、04年7月の報告書で「(大量破壊兵器情報は)あいまいで不完全だった」と結論付けたが、政府による情報操作の疑いは否定した。

     イラク戦争と各国の検証

英国では04年、二つの独立調査委員会(「ハットン委員会」「バトラー委員会」)が報告書を出したが、肝心のイラク戦争に踏み切った理由や、その後の占領政策に疑問をもつ世論に応えるものではなかった。
そこで09年、「チルコット委員会」では、開戦前から撤退までの8年間を検証対象として、ブレア元首相ら120人以上を喚問した。今月6日に260万語に及ぶ膨大な報告書を公表した。

     ルコッジョン・チルコット委員長
     (英国・チルコット委員長)

 ――開戦当時のブレア首相が、米ブッシュ政権の対イラク強硬策に根拠なく追従した経緯を詳細に描写した。従来の「封じ込め」から「フセイン政権打倒」に変質した時期は02年4月の米英首脳会談。
 ブレア政権内で、開戦前の重要な計画や準備について閣僚全体で明確に監視していなかった、と指摘。
 「米英関係」について、「国益や判断が異なる部分で無条件の支持を必要とするものではない」、とブレア政権の姿勢を批判した。

――また、復興政策や駐留の準備が欠けたままイラク占領を続けた英政府の「戦後」の姿勢も厳しく批判している。「イラクで軍事行動をとれば、アルカイダなどテロ組織の脅威が高まり、イラクの兵器がテロリストの手に渡る可能性がある」、と情報機関がブレア氏に対して03年2月に示した警告を掲載している。ISのテロが続く世界の姿を予期したような筆致だ。(在英アラブ紙「ライ・ヨウム」は「米英のイラク侵攻でイラクが失敗国家にならなければ、ISは組織されていなかったはず。ブレア氏とブッシュ氏には、混乱の種をまいた直接の責任がある」と批判した。)
 キャメロン英首相は6日、報告書発表を受け、下院で「最も大事なことは、将来に向けた教訓を得ることだ」と述べた。

     イラク復興支援活動行動史2
     (「イラク復興支援活動行動史」)

 さて、日本政府の場合はどうか。
 自衛隊のイラク活動終了後、09年に報告書を国会に提出したが、「戦争支持の是非などを一切省いたおざなりの内容」(柳沢協二・内閣官房副長官補)だったが、特段の議論もなかった。
 民主党政権下の12年、外務省が「検証結果」を発表したが、わずか4ページで聴取した対象者名も伏せた。

 では何故検証しないのか。
 「英国で検証が可能なのは、検証を個人攻撃や政局の道具に使わない暗黙のルールがあるから」(細谷雄一・慶応大教授)。
 「日本では国家は間違わないという神話が根強く、官僚も政府の過ちを認めない」(中野晃一・上智大学教授)。
 
 昨年7月、国会で「安保法制」を審議中に野党の追及で防衛省は陸自の報告書「イラク復興支援活動行動史」を提出した。その内容は、「イラク特措法」の範囲を超えた活動となっていたことが判明した。
 その後、「安保法制」が成立して、海外で自衛隊が米軍などと緊密に連携して行動する可能性が大きくなった。過去の政策の検証を欠いたまま同盟路線をひた走るのは危険が大きすぎる。

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     (記者会見で「安保法制」に反対表明する山崎拓氏)

 当時、小泉首相に開戦を支持するよう進言した山崎拓幹事長も、「ISの製造責任は、イラク開戦に賛成した日本にもある。その意味では検証は必要だ」と語る。
 米国と最も絆の太い英国ですら、米政権の暴走をいさめることができず、戦争に引きずり込まれてしまった。日本にとっては重い教訓を含んでいる。
 秋の臨時国会ではまず、政府から独立した調査委員会を設けて「イラク戦争の検証」を行うべきだ。
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)