消える熱帯林と木材輸入大国・日本

 今から27年ほど前、ODA援助に係る問題について少し勉強したことがある。

 たとえば日本の場合、受け入れ国の自然環境とか人々の社会生活に与える影響を充分検証せず、途上国に資金援助してその資金の流れが不明瞭だと指摘されていた。
 また、開発援助が日本企業のための利益誘導の色彩が極めて強く、影の部分で大きな役割を果たすのはコンサルタント会社と商社だという。

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    (アマゾンの熱帯雨林)

 1987年、国際的に注目を集めた事例として、ブラジルのダム建設計画があった。ブラジル政府は、世銀と輸銀(日本)の融資により、2010年までにアマゾン川流域に136もの水力発電用ダムの建設構想を立てた。
 これが実現すると、2万5994平方キロメートルもの広大な熱帯林が水没し、50万人もの人々が強制移住となる。
 
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 そこで、世界各国の環境保護団体や人権保護団体は世銀に融資を行わないように圧力をかけ、ブラジル各地のインディオ部族をはじめ世界各地からも多くの人々が集まって、ダム建設に反対した。
 結局、1989年、世銀は電力部門への融資をやめて環境保護融資に切り替えたのだった。

 日本のODAなど開発援助のあり方はその後、国内外の厳しい批判に晒されて改善されたはずであった。
 ところが、「消える熱帯林、輸出先は日本」という見出しの記事(朝日新聞5/29付)が目に入った。

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    (朝日新聞 5/29付)

 ボルネオ島北部のマレーシア・サラワク州は、日本の輸入合板のほぼ半数を占める産地だという。30年ほど前まで手つかずの熱帯林が、今ではほとんど残っていない。サラワク州が輸出する合板の59%が日本向けだ。
 かつてフィリピンで乱伐された「ラワン」と同じフタバガキ科の木が「メランティ」の名で乱伐されているという。

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    (朝日新聞 5/29付)

 食料や薬草、住居など生活の多くを森林資源に頼る先住民は、伐採地の土地の権利を認めるよう求めて州政府と伐採企業を次々と提訴、その数は約300件にのぼる。
 日本にはこれまで、違法伐採された木材製品の流通を規制する制度がなかった。今月13日、流通を規制する初めての法律が国会で成立した。伊勢志摩サミットの首脳宣言にも「違法伐採の根絶」が盛り込まれた。
 しかし、「適切な合法性の確認義務を課さない日本の新法は、違法木材を排除できない」(NGO「FoEジャパン」)という。

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    (朝日新聞 5/29付)

 国際的に合意された違法伐採の定義はなく、実態もつかみにくい。また、現地の汚職や腐敗がからむこともある。
 しかし、放置するわけにもいくまい。CO2や地球温暖化が国際的に大きな問題となっており、その防止の観点からも「森林保護」は喫緊の課題ではないか。
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防衛大で酷い〝人権侵害〟ーー支援体制をつくり勝訴へ!

エリート自衛官を養成する防衛大学校で、人権侵害行為が組織的に行われ常態化していた。俄かには信じがたい現実だ。

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    (福岡高裁・地裁)

 一昨日、福岡地裁で「防衛大学校・人権侵害裁判」の第1回公判が開かれたので、傍聴と今後の支援に関する話し合いに行ってきた。
 事件の概要は、「訴状の概要」によると以下のとおりだ。

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    (訓練の光景)

―― 原告の防衛大の元学生Aさんは、2013年4月の入校式直後より、指導という名のもとに数々の傷害、暴行を受けた。
 13年6月から14年5月にかけて、原告に暴力行為を働いた被告B(上級生)は罰金20万円、被告C(上級生)は同10万円、被告D(上級生)は同10万円の略式命令に処せられた。
 教官は、これら一連の暴力行為を認識していながら、原告を救済せず、人権侵害行為の発生を予防する対策を怠った。

―― また、同学年の被告2人からも指導という名のもとに数々の暴行を受け、上級生と同様の対応を強要された。
 さらに、別の被告E(上級生)からはロッカー内をめちゃくちゃにされるなどの執拗な「いじめ」を受けた。
 また、暴力行為だけでなく、同じ中隊の2年生・被告F及びGからは、原告の写真を無断で「遺影」に改変してLINE上に公開されて精神的ダメージを受けた。

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    (卒業式で訓示) 

―― 原告は、カウンセラー、教官に相談したが限界となり、14年8月から15年4月まで休学を余儀なくされ、15年3月に退学するに及んだ。

 原告の「意見陳述書」(16.5.23)によると、入校式の日に出席することなく迎えにきた家族と帰っていく学生が80人ほどもいたという。せっかく合格したのに入校式の日に大学を去るというのは、尋常ではない。
 防衛大といえば、いまも競争率の高い〝狭き門〟だ。入校すると「特別職国家公務員」の身分となり、学費と衣食住費用は国費負担で、毎月約11万円の手当と賞与約38万円を受け取れる。
毎年480人が入校し、卒業者は350~400人で、「任官拒否者」が増えているという。

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    (開校記念祭)

 原告は、「他の部屋では目も耳も覆うような出来事があり、私はその人たちの思いも込めて裁判に臨む」と述べている。
 訴状によると、本裁判では、加害学生(8人)に対する不法行為責任だけでなく、防衛大(国)の安全配慮義務違反による損害賠償(約2297万円)を求める、としている。
 また、防衛大では「学生間指導」を制度として導入しており、その運用における注意を怠ったという「組織的な責任」を根拠づけるものであることを明らかにしたいと述べている。
 
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    (「たちかぜ」裁判、東京高裁で勝訴判決。2014年)

 護衛艦「さわぎり」裁判勝訴から8年、護衛艦「たちかぜ」裁判勝訴から2年、この15年の間に自衛官の人権侵害裁判は全国各地に広がり、原告側の勝訴が相次いだ。
 防衛省・自衛隊はその都度、謝罪して「再発防止」を誓ったはずである。幹部や隊員らのメンタルヘルス教育にも力を入れてきた。
 しかし、陸・海・空自衛隊及び防衛大における「人権侵害」の根は深く、構造的な問題として浮かび上がっている。
 すでに今年3月「安保法」が施行され、参院選後、自衛隊の海外での「武力行使」に道が開かれる。これまで以上に自衛官の人権侵害が多発・深刻化しないか憂慮される。

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    (支援体制を話し合う弁護士や支援者)

 まずは、九州各県の平和フォーラムや平和運動センター、社民党などが中心になって支援する体制をしっかり作りたい。それを基点にして、すでに結成されている弁護団ネットワークや「家族会」などと連携して全国的な支援の輪を広げ、世論を喚起していきたいものだ。
 (※なお、原告は退学後別の大学で学んでおり、生活などに影響が及ばないように、名前は匿名にしています。)

吉田社民党党首の「民進党合流」提案は地方組織に冷や水だ!

  このところすっかり存在感がなくなった社民党が、新聞・TVでちょいと話題になっている。

  話題とは、「社民党の民進合流」のことだ。社民党の常任幹事会(5/12)で吉田忠智党首が「参院選が厳しい状況だ。民進党との合流も選択肢として考えられるのではないか」と述べたらしい。

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    (朝日新聞 5月13日付)

  先日、小林節氏ら憲法学者が設立表明した政治団体「国民怒りの声」への対応を党幹部らと協議。吉田党首は、選択肢として▽社民を存続したまま比例区候補が「国民怒りの声」の「統一名簿」に参加▽社民単独で戦う▽民進に合流――の三つに言及したという。

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  早速、他の議員から「参院選前はない」「政策が違うので民進には行かない」と反発が相次いだ。また党首の落選も現実味を帯びるなか、党内では「(吉田発言は)保身ととられないか」との懸念の声もあがっているらしい。

  一方、民進党では、「合流するとなれば1年以上かかる」「合流の際は民進の政策をのむということだ」との声があがっているという。
  こうした状況にもかかわらず、吉田党首は民進党の岡田克也代表と「非公式に協議」したとのことらしく、党内手続き的にも問題を残した。

    2013年参院選結果

    2014年衆院選結果
  ところで、社民党の国政選挙での衰退ぶりは目を覆うほどだ。比例代表の獲得票を見ると、09年衆院選・300万票、10年参院選・224万票、13年参院選・125万票、14年衆院選・131万票――と推移している。
  前回125万票で1議席しか確保できず、吉田氏が初当選の10年福島瑞穂氏の三分の一の得票だから、まさに「党首落選」という厳しい現実にある。

  いずれにせよ、地方組織の意見を集約したうえで今月末に結論を出すとしているが、吉田氏の発言が、戦いのさなかにある地方組織に冷や水を浴びせたことは確実だ。

憲法学者らの「国民怒りの声」設立に戸惑う

 今夏の参院選に向けて、憲法学者の小林節氏らが政治団体「国民怒りの声」を設立すると表明した。「反安倍政権」を掲げ、10人以上の擁立を目指すという。

    16.5.10朝日・「国民怒りの声」設立
    (朝日新聞 5月10日付)

  設立理由について小林氏は、「安倍政権の暴走を止めたいが、民主党政権の失政は許せず、共産党に投票する気にもなれない多数の有権者の代弁者として第三の旗を立てる」と述べている。

  野党各党には懸念が広がっている。小林氏が掲げる政策は野党の訴えと重なる部分が多く、民進幹部は「野党票が割れてしまう」と危機感を示している。
  現在、「一人区」での野党共闘は22区からさらに増えつつあるが、こうした動きに水を差しかねない。

    16.1.1朝日・衆参の勢力図
    16.1.1朝日・主な参院選結果

  安倍政権の狙いである「憲法改正」を阻止するためには、グラフに示すとおり野党側が改選議席で「36」を超える必要がある。
 政権・与党側からすれば、改選議席で「86」を確保する必要があり、野党共闘の進行具合いに相当の危機感を抱いている様子だ。

  ここ当分は、参院選情勢の動向から目が離せない。

憲法公布70年~「緊急事態条項」を考える

  きょうは「憲法記念日」、そして同時に「東京裁判」の開始日でもある。
 「憲法改正」――安倍首相の悲願だ。尊敬するおじいちゃん(岸信介・元首相)のなし得なかったことを成就したい。

    帝国議会で新憲法制定
    (新憲法を制定した帝国議会)
  
  法理論上の論議とは違って、「政治問題としての憲法改正」はかなりやっかいだ。自民党の「改憲草案」を、安保関連法などの政治状況との関係で評価する必要がある。
  安倍首相らの改憲の最大の理由は、「(米国からの)押し付け憲法論」である。
この点については、堀尾輝久・東大名誉教授の論考「憲法九条と幣原喜重郎」(月刊「世界」16年5月号所収)をぜひ参照して欲しい。

  さて、改憲を考える際に重要なのは「憲法の『出自』」でなく、改正した場合の「効果・機能」である。
自民党の「改憲草案」では、13条の「個人の尊重」という文言を「人の尊重」に変更したり、「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」と宣言する97条を削除したりしているのも、「立憲主義」という政治構想自体が気に入らないのだろう。

    立憲主義の成り立ち1

  安倍首相らは「九条改正」の正面突破が困難とみて、96条の「改憲発議要件」を試みたがけっきょく断念した。
  その挙げ句、「集団的自衛権」の限定的使用を容認する閣議決定を行った。「立憲主義」を真っ向から否定する暴挙であった。(14年7月)

  そして今、改憲の糸口を開こうとしているのが、「緊急事態条項」の提起である。
  有事や災害の時に、国に権限を集中して国民の自由・権利を制限するのは当然だという理屈だ。民進党など野党の大半も同意してくれそうだし、本丸「九条改憲」へ向けての突破口になるはずだ、との邪まな思惑がある。

    16.1.22朝日・改憲「現実的段階に」 - コピー
    (朝日新聞 1月22日付)

  しかし、多くの識者は、有事の際には「国民保護法」があり、災害では「災害対策基本法」などがあって充分間に合っている、と指摘している。
  先日のTV(4/30 報道特集)で、東日本大震災を経験した奥山恵美子・仙台市長はこう語っている。「災害などでは、現場を抱える自治体の権限を強化してほしい。国は財政や制度面での支援をして欲しい」。
  また、大船渡消防局の新沼永悦・庶務課長は「ガソリンなど燃料は災害用の緊急供給で不自由はなかった」と断言している。

    奥山・仙台市長

  今回の熊本大地震に際しても、果たして「緊急事態条項」が必要であっただろうか?その答えは歴然としている。
  安倍首相よ、これ以上時間の浪費はやめて、被災地の皆さんの救援と復興にこそ全力で取り組んで欲しいと思う。

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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)