安保法制とアーミテージ・ナイ「提言書」

 昨日の朝日新聞の一面トップ記事「安保法制、米提言に沿う」は、スクープと言っていいだろう。安倍政権が進める安保法制が、米国の知日派による提言書に沿ってまとめられているというのだ。

  15.3.30朝日・米提言に沿う
  (朝日新聞3月30日付)

 提言書は「アーミテージ・ナイ・リポート」と呼ばれる。リチャード・アーミテージ元国務副長官(共和党のブッシュ政権)とジョセフ・ナイ元国防次官補(民主党のクリントン政権)らが中心となって作った対日政策の提言書で、00年と07年に続き12年に発表した。日本政府が新たな防衛政策を作る時、常に「教科書」としてきたと言う。

  アーミテージ
   (リチャード・アーミテージ)

 第一次報告書(00年)では、「日米同盟を米英同盟並みに強化せよ」と迫り、米国兵器の露骨な売り込みが顕著だった。第三次報告書(12年)では、中国対策と日米同盟、TPPなどの経済・貿易、原発・エネルギーなど多岐にわたるが、軍事・財政両面で多難な米国の肩代わりを日本に強く求める内容となっている。

  ジョセフ・ナイ
   (ジョセフ・ナイ)

 日本の安全保障の専門家の大半は同報告書を重宝がる傾向がある。例えば、新潟産業大学の星野三喜夫教授のリポートでは、報告書をなぞって追認するだけだ。
 一方、寺島実郎・日本総合研究所所長などは、アーミテージは「安保で飯食うマフィア」だと喝破し、提言書などは冷戦時代の思考を抜けきっていないと手厳しい。

 いずれにしても、与党(自・公)で安保法制の枠組みを基本合意した以上、まず日米ガイドラインを改定してタガをはめる。5月下旬に安保法制案を国会提出して、国会を1か月ほど延長して一気に採決する算段のようである。

  安保法制
  (朝日新聞3月27日付)

 いよいよ、武力行使を前提とする海外派兵が現実のものとなってくる。自衛隊はすでに安保法制の行方を先取りして、戦闘で負傷した隊員の救命訓練に余念がない。防衛省内では、戦闘で死亡した隊員の処遇のあり方について検討しているはずだ。
 まさに、事態は抜き差しならない局面を迎えている。一人一人が反対の声をあげ、大きな世論をつくり出していきたい。

スポンサーサイト

シンガポール「建国の父」リー・クワンユー氏逝く

 東南アジアで知らぬ人はいない、シンガポール〝建国の父〟と呼ばれたリー・クアンユー元首相が他界した。

    リー・クアンユー
    (リー・クワンユー元首相)
 マレーシアから分離独立したのが65年。マレー半島先端のごく小さな島(東京23区より一回り広い。現在の人口450万人)で資源もない国を世界有数の富裕国にした。
 外資誘致と外国人材の活用、適格・大胆な産業政策を繰り出して、07年には一人当たりGDPは日本を抜いた。

 しかし一方では、人民行動党の一党支配体制を敷き、野党を抑え込み、言論・集会などを厳しく規制した。こうした開発独裁型の国家統治は「シンガポール・モデル」と呼ばれるが、「経済格差など社会問題を背景に批判的な有権者が増え、ソーシャルメディアは政府批判を増幅させている」(ユージン・タンシンガポール経営大准教授)。

    マハティール
    (マハティール首相、03年)
 リー氏と共に忘れてならないのは、マレーシアのマハティール元首相だ。「ルック・イースト」提唱で知られ「マハティール構想」(東アジア共同体)が有名だ。
 ARF(東南アジア諸国連合地域フォーラム)が創設されたのが94年。リー、マハティール両氏が中心となったのは言うまでもない。マハティール氏は徹底した反米主義者で、ARFから米国を除外するものだと米国は猛烈に反対したものだ。

 また、「東南アジア友好協力条約」(76年)では、紛争の平和的解決や武力の威嚇・行使を禁止すると定めており、現在では日・米・中・ロ・EUなど28か国・組織が加盟するに至っている。
 東北アジアでも朝鮮半島の和解と平和的統一が実現すれば、「東アジア版連合」も決して夢ではなくなる。

 何はともあれ、アジアの巨人・リー・クアンユー氏のご冥福を祈りたい。

佐世保にオスプレイ初飛来の意味するもの

  きょう、佐世保に米軍の輸送機「オスプレイ」が初飛来し、赤崎貯油所のヘリポートに到着した。

   NEC_0212.jpg  
   NEC_0213.jpg
   (NBC報道特集より)

 政府の計画では、在沖海兵隊のオスプレイを佐賀空港に移し、加えて陸自が導入予定のオスプレイも佐賀空港に配備する予定だ。いずれも、佐世保の米海軍や陸自「水陸機動団」(予定)と近距離にあるとの理由だ。しかし、米軍は佐賀空港への配備に難色を示している。
   サン・アントニオ級輸送揚陸艦
   (新型輸送揚陸艦「グリーン・ベイ」)

 佐世保では、オスプレイなどを搭載できる米海軍の新型揚陸艦「グリーン・ベイ」が先月配備された。また、洋上戦闘より陸地への戦力投射を主任務とする「沿海域戦闘艦」も配備される予定だ。一方、陸自西普連(相浦)は新設される予定の「水陸機動団」の中核となる。その装備である「水陸両用車」の配備先は崎辺地区とされる。

   img225.jpg

 安倍政権が強引に進める「安保法制」とは、要するに武力行使を前提とした海外派兵である。安倍首相の訪米前に「日米ガイドライン」が18年ぶりに改訂されるが、米軍が待ち望んだ海外での武力行使を反映したものとなる。

    14.12.9朝日・オスプレイ展開

 すでに12都道県でオスプレイの飛来や訓練が行われており、今回の佐世保飛来もそうした政治的意味合いがありそうだ。

〝原発全廃〟の時代をめざせ!

  五つの原発の廃炉が決まったという。――運転40年を超えた敦賀1号、美浜1、2号、島根1号、玄海1号だ。
 原発のスタートは63年。現在、48基の原子炉(商業用)のうち20基は運転30年を超えている。

   玄海原発1号機

 九電の瓜生道明社長は記者会見でこう述べた。――「最初から廃炉を検討していたわけではない。新安全基準に適合するには、追加の投資額を回収するのが難しいと判断した。廃炉を円滑に進めるための会計制度が施行されたことも、大きなきっかけになった」。
(使用済み核燃料の中間貯蔵施設は)――「建設時期や場所は何も決まっていない」(その後、原発施設内を検討すると報道)。
(地元自治体への影響は)――「国が廃炉措置の検討を進めているので、その結果を待ちたい」。

    瓜生道明九電社長

 要するに、福島原発事故の教訓は全く視野になく、専らコストのことしか念頭にないのだ。いわば、玄海1号を〝いけにえ〟にして、川内1、2号や玄海2号の再稼働を進めるという訳である。他の電力会社も全く同様だ。
 最近は、「新世代の原発は旧世代のものに比べて、安全性ははるかに高まっている」と推進派の学者などは主張している。
つまり、残る43基の原発は「安全ではない」と言っているに等しい。

   核廃棄物の処分法

 もっと深刻なのは、使用済み核燃料の処理や高・低レベル放射性廃棄物の最終処分場が見込めないことだ。六ヶ所村の核燃料サイクル施設は事実上破たんしており、原発内の使用済み核燃料もほぼ満タンである。
 先日来日したメルケル・ドイツ首相は、福島原発事故がきっかけで再稼働を止めて「2022年までに原発全廃」を決断したと語った。

   日独首脳会見

 政治の決断次第で原発は全廃できるのだ。〝第二のフクシマ〟が生起する前に、原発全廃への政権交代が不可欠だ。

学校や自衛隊に横行する〝暴力的指導〟

 学校での「体罰」が社会問題となった頃の記事を思いだした。
慶応大の片山杜秀准教授が「軍隊での暴力的指導は日露戦争を転機としている。日本は人口も武器弾薬も工業生産力も足りない。結局、期待されたのは『精神力』だ。…戦後、自衛隊に暴力的指導の伝統は残存した」と指摘している。

 また、作家の丸谷才一さんは朝日新聞のコラム「袖のボタン」で、「半藤一利さんの話によると、日本海軍の軍艦が5隻も爆沈している。精神科医の中井久夫さんによると、その半数は制裁のひどさに対する水兵の道連れ自殺という噂が絶えない」と書いている。

   13.2.19朝日・軍隊の精神論
   (朝日)新聞13年2月19日付

 先月の朝日新聞(2月17日付)で、坂上康博・一橋大学教授が「規律重視は兵士養成のなごり」という話をされている。その要旨を紹介してみたい。
 ――日本の体育の起源は幕末にさかのぼり、明治以降は軍隊で行われた。学校教育にも体育が導入された。欧米に比べて体格が劣るので、「強兵」をつくるため男子の体格・体力の向上が必須と考えられた。
 ――戦前の学校体育の科目名は「体操科」で、集団行動や規律の訓練にもなるので、軍事的な価値を持つようになる。やがて、軍隊式の集団訓練が入ってきて「軍事教練」と呼ばれ、陸軍将校が配属される。
 体操や軍事教練に対し、スポーツや武道は遊戯という扱いだったが、共産主義思想に影響される学生が増えると、対応策としてスポーツを思想教導の手段と見なすようになる。

   坂上康博さん
   (坂上康博・一橋大学教授)

――戦後、軍事教練や武道必修は廃止されたが、兵士養成のために重視された集団性や規律は、民主的な社会形成に必要だとして生き残った。
注目すべきことは、特に部活で精神主義や暴力的な指導が目立つようになった。戦前の遺物というより、戦後になって一般的になったものだ。軍隊経験をもつ指導者が、短期間で強くするために軍隊のやり方を部活に応用した。
根性主義も戦後の産物で、60年代とりわけ東京五輪前後からだ。

   学校軍事教練

――日本人のスポーツ観が集団主義的、根性主義的だというのも一面的だ。スポーツは本来、強制されるのではなく自発的に行うべきものだ。日本では、学校を卒業して初めて本来のスポーツのあり方を楽しむようになるという特殊な状況が続いてきた。
海外ではスポーツは文化となったが、日本ではそうなっていないと言われるゆえんだ。

学校での「体罰」や自衛隊での「いじめ」が横行する現実を、あらためて深く考えさせられた思いだ。

3.11東日本大震災から4年~「トモダチ作戦」に係る米兵訴訟

 きょう夕方のTBS報道特集で、「トモダチ作戦」に従事した米兵らの訴訟に関する報道があった。

 「トモダチ作戦」とは、4年前の東日本大震災の時、米海軍が被災者支援にあたった時のネーミングである。米原子力空母「ロナルド・レーガン」(母港:サンディエゴ)の乗員(4843人)たちが、東北地方の沿岸海域で被災者の捜索や救援物資の輸送など、約80日間にわたる救援活動を行った。
 
   Ronald_Reagan_(CVN-76)[1]
   (米原子力空母「ロナルド・レーガン」)

 しかし、東電が米軍に福島原発の事故で放出された放射性物質の降下範囲などを正しく伝えなかったとして、2012年12月、乗員8人が東電に対して総額1000万ドルの損害賠償などを求める訴訟を起こした。
 ところが、サンディエゴ連邦地裁は翌13年11月、この訴えを却下した。そこで原告団は14年2月、提訴内容を変更して新たな訴訟を起こした。その後、他の兵士や家族も加わり原告の数は約250人まで増加した。
 また、東電だけでなく原発メーカーの東芝やGEなども被告の対象に含めた。
 
   米空母レーガンで救援物資を積み込む兵士
   (空母「レーガン」艦上で救援物資を積み込む兵士)

 東電は、日本の裁判所で審理を行うべきだと主張したが、ジャスニ・サマルティーノ判事は原告の健康上の理由から米国で行うことが合理的と判断して、東電の訴えを退けた。
 救援活動に従事した空母「レーガン」の兵士たちの間では、身体に様々な症状が現れているようで車イスに乗った兵士の映像もあり、救援活動中の被曝が原因だと訴えている。

 米国防総省は、空母「レーガン」は福島原発から100海里離れて航行したので「被曝が原因ではない」と説明しているが、乗員の中には「原発にもっと近づいていた」と証言する兵士もいる。

   米空母レーガン上の北澤俊美防衛相
   (空母「レーガン」艦上の北澤俊美・防衛相)

 この「トモダチ作戦」は、〝美談〟として語られたが、マイケル・シファー国防次官補代理は米議会で「アジア太平洋地域に前方展開兵力を持つ意義を示した」と評価し、「日本に日米同盟の意義を再認識させ、中国やロシアに対して米国の存在感を示す意図もあった」と述べている。
 被害者となり人権を踏みにじられた兵士たちがいい迷惑だろう。東日本大震災では、10万人以上の自衛隊員も被災者支援などにあたった。その後、PTSDに罹患した隊員も多いと聞くが、防衛省はどれくらい調査・検証したのだろうか?

「政治とカネ」問題が噴出~企業・団体献金を廃止すべきだ!

 国から補助金を受けた企業からの献金問題が、まさにドミノ式だ。ついに安倍首相にまで及んだ。

   15.2.24朝日・西川農水相、辞任 - コピー
   (朝日新聞 2月24日付)

 これまで分かっただけでも、西川公也・農水相(辞任)、望月義夫環境相、上川陽子法相、甘利明経経済再生相、林芳正農相、安倍晋三首相、野党では岡田克也・民主党代表である。
 共通する言い訳は、「補助金を受けていたとは知らなかった」「違法な献金とは思っていない」というものだ。

 「国の補助金の交付決定通知を受けて1年間、企業に献金を禁じる」との規定が導入されたのは、1975年。国との関係を強固にしようとの狙いで献金し、結果として補助金(税金)の一部が政治家に還流するのを防ぐという目的だった。
(※関連条文)
・国から補助金、負担金、利子補給その他の給付金(試験研究、調査、災害復旧にかかるもの、性質上利益を伴わないもの、政党交付金を除く)の交付の決定を受けた会社その他の邦人は決定の通知を受けた日から1年間、政治活動に関する寄付をしてはならない(第22条の3第1項)
・何人も、第1項の規定に違反してされる寄付であることを知りながら、これを受けてはならない(同第6項)


 ところが、補助金企業が献金すれば直ちに同法違反となるのに、政治家側は違法な献金と知らなければ罪に問われない。例えば、「外国人献金」の場合、政治家が知ろうが知るまいが受け取れば違法だ。あまりに不公平ではないのか。

   主な献金のパターン
   (朝日新聞より)

 以前にも書いたが、リクルート事件や佐川急便事件など政治腐敗が相次いで、93年に「政治改革」を掲げた細川政権が誕生した。政治改革は「選挙制度改革」にすり替えられたが、5年後には「企業・団体献金」を原則禁止する。その見返りに95年、「政党交付金」(約320億円、国民一人あたり年250円)の仕組みが導入されたのだった。

   15.3.4朝日

 あれから20年、政治家個人への献金は禁止されたが、所属政党支部への献金という形で温存されたのである。この際、「企業・団体献金」を原則禁止して、「個人献金」とすべきだ。自民党など保守政治家は、平均12人の秘書を抱えており、企業などの支援に依存している。
 また、選挙になると、自民党議員は社民・共産議員などとは一桁違って億単位のカネを使う。だから、当選すると利権あさりに奔走してカネの回収に没頭するという悪循環だ。
 もういい加減に企業・団体献金を廃止して「個人献金」のみとすべきだ。
最新記事
カレンダー
02 | 2015/03 | 04
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

FC2USER537587ATX

Author:FC2USER537587ATX
今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)