『J婚』ーー〝日陰者〟から一転、自衛官のいま

 『J婚』――今年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた言葉だ。「J」は自衛隊、つまり自衛官の〝ダンナ〟を目指す婚活だという。

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 自衛官と結婚するメリットは、精神的・肉体的にたくましい、公務員なので収入も安定、社会貢献意欲が高い、などだという。防衛省の広報誌「MAMOR」も婚活中の自衛官を連載で紹介している。

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 昨年夏、防衛省・自衛隊の広報戦略はあなどれないと書いた。防衛省広報室によると、「国民一人ひとりの支持を得るため、ドラマ、ソーシャルメディアなどを使い分け、ありのままの姿を届けようとしている」という。

 昔は、「防衛白書」の刊行さえタブー視された時代がある。もっと以前、自衛隊が創設された頃、吉田茂首相は幹部自衛官に対して「君たちが〝日陰者〟である間は、国家・国民は安泰である。耐え忍んでくれ」と語ったエピソードは有名だ。
 
      空飛ぶ広報室

 いまや、隔世の感がある。雲仙普賢岳の大火砕流(91年)、阪神淡路大震災(95年)で一躍注目され、「自衛隊は新しい生き方を見つけた」。
 そして、東日本大震災(11年)後の世論調査では、「良い印象を持っている」が過去最高の91.7%に達した。

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 国民が好感を持つのは、まさしく「災害救助隊」としての姿である。安倍政権がひた走る武器輸出の解禁、「集団的自衛権の行使」など、海外での米軍支援と武力行使に、国民が好感を示すとは思えない。

 今年は、外交・防衛政策の大きな転機の年となった。来年の通常国会では、自・公で3分の2を占める中、一層の厳しい状況が待ち受ける。世論に訴え、反撃の態勢をつくる以外にない。
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FM局『おだがいさま』と原発再稼働に思う

 朝日新聞のシリーズ『プロメテウスの罠』は、単行本となってすでに8巻目を数える。実にすごい労作だと感心する。

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 いま、「おだがいさま」が連載中だけど、徹底した現場取材なのでとても惹きつけられる。福島原発事故で被災した人たち、あるいは各地での避難生活を余儀なくされている人たちに被災地の状況を知らせ、お互いに励まし合うためにFM局「おだがいさま」を開設した。

      おだがいさま
       (朝日新聞12月25日付)

 12月26日付の後半部分にこういう場面がある。――富岡高校の校長だった青木淑子(66)は、おだがいさまFM開局当初からのパーソナリティ。芸術専門学校生の吉野明日香(20)に出演を促し、毎週月曜の夜、二人で出演するようになった。ある日、青木の車の中で明日香が打ち明ける。「同級生に言われたんです。被災者だから、富岡の子だから、ラジオに出させてもらえていいねって」。青木は少し強い口調で返した。「いいじゃない、言わせておけば。つらい思いをしたぶん、明日香が手にできるすべてを得たって、いいじゃない」。明日香は、心のトゲがすっと抜けるような気がした。

      汚染水の海洋放出
       (朝日新聞12月25日付)

 こうした被災地や被災者・避難者の厳しすぎる現実をまるで無視するかのように、政府や電力会社は再稼働に躍起である。メルトダウンを起こした原子炉には手のつけようもなく、事故の検証や総括すらできていない。溢れかえる汚染水は「海に放出する」計画が検討され、約6千人の下請け労働者が被曝覚悟で働いている。
〝核のゴミ〟の処分は頼みの再処理工場が稼働できず、地下処分するにも候補地すら見つからない。

 今夏は「原発なき夏」だった。そしてこの冬も同様である。再稼働の一番手とされる川内原発だが、火山噴火を想定した対策など無きに等しい。「原発なき時代」にももちろん課題はあるが、ここはエネルギー転換の逃せない好機だと思う。

衆議院選挙で自・公3分の2議席獲得~先行きに暗雲

 師走の中の衆議院選挙は、事前の世論調査どおり自・公与党が3分の2以上を占める326議席(自民291・公明35)を獲得した。いくつかの特徴的な事柄を並べてみる。

        与党圧勝

 まず、自公・与党の圧勝という訳ではない。公示前に比べて自民党は2議席減、公明は4議席増にとどまった。しかも、前回(12年)、前々回(09年)に比べて獲得比例票は激減しているのに、獲得議席は大幅に増えている。

       野党多弱

 一方の野党は、民主が11増の73議席を得たものの海江田代表が落選して辞意表明の憂き目に遭った。維新の会が3減の39議席。次世代は17減の2議席、生活の党は3減の2議席で「政党要件」に欠ける結果だ。
  社民党も、かろうじて2議席を維持(沖縄1、九州比例1)したが、2年後の参院選で2議席確保できなければ「政党要件」を失う、まさしく〝風前の灯火〟の状態だ。

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       (辞任表明する海江田・民主党代表)

 こうした「野党多弱」の中で、ひとり気炎を吐いたのが共産党で8からいきなり21議席の倍増以上で、独自に法案提出資格を得た。

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       (満面の笑みを浮かべる志位・共産党委員長)

 今度の選挙で海外の反応をみると、--「有権者の無関心と野党の弱さが自民党勝利につながった」(AP通信)「強い野党が存在せず、有権者の大半は自民党以外に選択肢がなかった。日本の民主主義を懸念している」(ドイツのGIGA研究所のパトリック教授)「特筆すべきは自民人気ではない。戦後最低レベルの投票率に表れた、政治に選択肢を失った国民の失望だ」(英シェフィールド大・ヒューゴ教授)といった具合だ。

 さて、24日の特別国会で第3次安倍内閣が発足する。年明けの通常国会では、集団的自衛権行使に関連する法改正、原発再稼働、日米ガイドライン改定など相次ぐ関門が待ち受ける。そして、安倍首相の念願である「憲法改正」に着手することになろう。選挙前に新聞社が行ったアンケート調査によると、回答した当選者が475人でそのうち458人が改憲賛成(84.9%)、集団的自衛権行使に賛成が69.4%だったという。

  抜き差しならない新たな局面を迎えている。

「特定秘密保護法」の施行~やはり廃案にすべき

 「特定秘密保護法」が、今月10日に施行された。昨年末、国会では充分な審議もせず同法案を強行採決したのだった。

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     (2013年12月5日。参院国家安全保障特別委で強行採決)

 施行にあたり政府は、二つの監視機関(国立公文書管理監、情報保全監察室)を設置してチェックするので問題はないと言うが、監視機関は官僚でがっちり固められている。国際的な指針「ツワネ原則」に照らしても極めて不十分だ。

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 先日、朝日新聞のインタビューに応えた松尾邦弘・元検事総長の話しが核心をとらえているので、少し紹介してみる。
 ――私は、秘密漏えいが起きても、従来ある法律で十分対処できると思っています。重罰規定を持つ法律をなぜ新たに作る必要があるのか、政府は国民に丁寧に説明していない。
――記者が公務員に秘密漏えいをそそのかした罪に問われた唯一の例が西山太吉さん(元毎日新聞記者)の事件です。特定秘密保護法違反が起きた場合の捜査や公判のポイントは、この密約事件と同じだと思います。
――結果として、『密約』という国の嘘を暴いた西山さんの有罪は確定したまま、嘘をついた方はお咎めなしという事実だけが残ったのです。国家権力は、場合によっては、国民はもちろん、司法に対しても積極的に嘘を言う。そういうことが端無くも歴史上、証明されたのが密約事件です。

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      (松尾邦弘・元検事総長)

――(秘密保護法22条には国民の知る権利や報道の自由に十分配慮する、とありますが)漏えいした秘密が極めて重大なものであった場合、記者のそそのかしに対する評価も変わってくる可能性があります。民主主義社会にとって報道の自由が保障されることは極めて重要です。そういうことも含め検察は一層慎重に判断することが求められます。

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      (村上誠一郎・衆議院議員)

 昨年、国会採決で自民党で唯一「特定秘密保護法案」に反対した村上誠一郎・衆議院議員は、「国会議員の多くが『歌えないカナリア』になっている。『秘密保護法』のように基本的人権に抵触するような法案を審議するときには、慎重な上にも慎重に審議を進めるべきです。」と語っている。
 
 衆議院選挙の結果は明日にも判明するが、仮に自・公の与党で3分2議席を確保したとしても、私たちは粘りづよく廃案を求めていくことが肝要だ。

桃太郎の鬼退治のお話し

 やっぱり池澤夏樹の『終わりと始まり』はおもしろいね。「桃太郎と教科書」という批評(朝日新聞12月6日)は、目から鱗(私の不勉強)だった。

 池澤さんが書いた「狩猟民の心」というエッセーが高校教科書「国語Ⅰ」(H10~14年度)で使われたことに、義家弘介・前衆院議員が「子供たちに供するにふさわしくない内容だ」と噛みついた。

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 まずは、池澤さんの分を紹介する。――<桃太郎の物語。あれは一方的な征伐の話だ。鬼は最初から鬼と規定されているのであって、桃太郎一族に害をなしたわけではない。しかも桃太郎と一緒に行くのは友人でも同士でもなくて、黍団子というあやしげな給料で雇われた傭兵なのだ。更に言えば、彼らはすべて士官である桃太郎よりも劣る人間以下の兵卒として(略)、動物という限定的な身分を与えられている。彼らは鬼ヶ島を攻撃し、征服し、略奪して戻る。この話には侵略戦争の思想以外のものは何もない>

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          (岡山駅前の桃太郎像)

 これに対して義家氏は、<作家がどのような表現で思想を開陳しようとも、法に触れない限り自由である。しかし、おそらく伝統的な日本人なら誰もが唖然とするであろう一方的な思想と見解が、公教育で用いる教科書の検定を堂々と通過して、子供たちの元に届けられた、という事実に私は驚きを隠せない>

 ところが、池澤さんと同じことを明治期の偉人・福沢諭吉が言っていたという。諭吉が自分の子供のために書いた『ひゞのおしへ』で、桃太郎のふるまいは<ただただ欲のための仕事にて、卑劣千万>なのだと言う。

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 もう一つ、新聞の全面広告で何度か見たことがある。鬼の子が泣いている絵の上に「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」というつたない子供の字のコピーがあった。東京コピーライターズクラブの2014年度TCC最高新人賞を受賞した作品だ。

 池澤さんは言う。<教育というのは生徒の頭に官製の思想を注入することではない。一つのテーマに対していかに異論を立てるか、知的な反抗精神を養うのが教育の本義だ>

 ほんとうに〝目から鱗〟である。

衆議院選挙の世論調査を憂うる

 衆議院選挙が公示されて4日が経過した。新聞などの世論調査では、自民党が300議席に迫る勢いだという。

 消費税増税の先送り、原発再稼働、集団的自衛権行使に係る関連法改正をはじめとして、自民党議席の「目減りを最小に」抑えるとして安倍首相らはいきなり衆院解散に踏み切ったのだった。

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      (朝日新聞12月5日付)

 与党(自・公)の過半数は238議席、絶対安定多数は266議席であるが、自民単独で圧倒的議席を確保する情勢だという調査結果だ。
 もっとも、こんどの衆院選に関心があるという有権者は21%ほどで、前回の投票率(59.32%)を下回る可能性すらある。

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     (朝日新聞12月5日付)

 自民党が有権者の圧倒的支持を得ている訳ではない。対抗すべき野党の現状があまりに惨め過ぎるのだ。民主党は定数議席の半分に達する候補者を立てきれなかった。維新の会やみんなの党など前回旋風を巻き起こした「第三極」は、分裂などを繰り返して議席確保は激減する有り様だ。

 安倍首相の政治手法はあまりに乱暴で問題が多いが、今度の選挙は、国民にとって自らの暮らしと社会の行方を定める思い決断が求められている。
 急速に進む少子高齢化と人口減、1千兆円を超える国の借金。負担の分配が避けられない社会の厳しい現実がある。

 また、福島原発事故の汚染水対策や核燃料処理などのメドが全く立たない中で、川内原発をはじめとして、再稼働と原発輸出が進められている。
 さらに、秘密保護法の施行(12/10)や集団的自衛権の行使など、戦後70年の「平和国家」の枠組みが軍事のしばりを解く方向で崩れつつある。

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       (朝日新聞12月5日付)

 今度の選挙結果次第では、安倍長期政権のもとで「憲法改正」が本格的に可能となるだろう。最短の改憲シナリオは、――16年の通常国会で改憲案を発議し、その夏の参院選と同時に国民投票にかける。あるいは、16年の参院選を衆参同日選挙にして、その前後に国会で改憲案を発議し、国民投票にかける。

 もちろんまだ諦める必要はない。投票日まで9日ある。性根をすえて反撃に転ずるべきだ。
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)