カラシニコフと「武器輸出三原則」

 あのカラシニコフ氏が亡くなった。享年94歳。
 世界的に普及している「カラシニコフ銃(AK47)」を開発したロシアの銃器設計者として有名だ。第二次大戦で、ナチスドイツの武装・自動小火器に衝撃を受け、新しい銃器の設計を決意したという。戦後、開発した自動小銃「AK47」は、水や砂にも強いと言われるほど並はずれて耐久性に優れ、過酷な環境でも確実に作動して、軍人たちの信頼を得た。
         カラシニコフ、09年12月
           (カラシニコフ氏 09年12月)

 旧共産圏を中心に普及したが、コピー製品も大量に出回り、総数は1億丁を超えると言われる。多くの紛争やテロ攻撃にも使われ「史上最悪の大量殺戮兵器」とも言われたが、本人は「それは私の責任ではない。政治家の責任だ」と言ったという。
 また、「戦争がなかったら、農業労働を楽にする機械を作っていただろう」とも述べている。

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          (紛争で多用されるカラシニコフ銃)

 私がカラシニコフを知ったのは、朝日新聞の編集委員だった松本仁一氏の話しを聞いてからだった。彼は、日本でアフリカ報道の第一人者のジャーナリストで、07年度日本記者クラブ賞を受賞。カラシニコフが健在のうち(84歳の頃)に会いに行き、「カラシニコフ」という本を出版された(朝日新聞社、その後、続編も出版)。「アフリカ・レポート」(岩波新書)も実に興味深い。
 松本氏とは、彼が佐世保支局長の頃知り合い、私が衆議院議員の時に何度か食事を共にした仲である。

      松本仁一著「カラシニコフⅡ」
              (松本仁一著「カラシニコフⅡ」)

 カラシニコフ銃だけでなくすべての武器を輸出禁止にしたら、紛争やテロによる大量殺戮は半減するに違いない。兵器産業も儲けにならず武器製造から撤退するだろう。日本の「武器輸出三原則」は、国際社会においてもすぐれた原則である。

             韓国軍に提供された銃弾
              (韓国軍に提供された陸自の銃弾)

 安倍政権は、年明けにも「武器輸出三原則」を見直す方針だ。今回、南スーダンで陸自が韓国軍PKO部隊に銃弾を提供したのは「例外措置」と説明するが、なし崩しに武器輸出の既成事実をつくったのではないかとの疑いを捨てきれない。
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カレンダーと新年の模様替え

 今年もあとわずか、新年のカレンダーが書店などで所狭しと並んでいる。俳優・歌手、風景、アニメ、動物をはじめ実に多様だ。

       動物カレンダー1
        (朝日新聞より)

 先日、朝日新聞に「反核の願い込めた動物カレンダー」が紹介されていた。長崎出身のイラストレーター・かとおてつおさんと広告デザイナー・堀川治人さんの共同制作。
市民運動家の友人Mさんからは「チェルノブイリ28周年救援カレンダー」をいただいた(撮影は広河隆一氏)。

       チェルノブイリ救援カレンダー

わが家の定番は、滝平二郎と西島伊三雄で、長女は星野富弘である。滝平二郎は四季折々の詩情豊かなカレンダー。西島伊三雄は童のほのぼのとした画風のカレンダー。星野富弘は手足が不自由で筆を口にくわえて描いたカレンダー。この他に、いわさきちひろのカレンダーも欲しいけど、貼る場所がない。(星野富弘以外の3人はいずれも故人)

       滝平 - コピー
        (滝平二郎作)
       西島 - コピー
        (西島伊三雄作)
       星野富弘
         (星野富弘作)

月めくりカレンダーは、四季折々の風情を伴って部屋の模様替えの雰囲気を醸し出す楽しみがある。新年の衣替えにはそのほかに、置物、掛け軸、掛け絵などがある。
玄関には、その年の干支の置物(陶器の素焼きに絵付けしたもの)を飾る。床の間には、普段は山水画の掛け軸を飾っているが、新年は必ず「梅の木に鶯」に決めている。以前、友人から中国土産にもらった掛け軸には馬が九頭描いてある。「うまくいく」の語句に「馬九」を掛けていて、いかにもいい加減な掛け軸だ。私のニックネームが「馬さん」だからといって・・・。
        本田磨須
         (本田磨須作)

さて、大掃除をして新年の模様替えに取りかかるとするか。

時代錯誤の安保戦略と防衛大綱

 きょうの新聞各紙は、安倍内閣が昨日閣議決定した「国家安全保障戦略」と「新防衛大綱」「新中期防」を一斉に報道した。
 「新防衛大綱」については9月14日に一度書いているが、今一度、安保戦略も併せて要点のみ論じておきたい。

   13.12.18朝日・安保戦略の初策定
   (朝日新聞 2013年12月18日付)

 新聞報道とくに解説に関して結論を言えば、まるで防衛省の「広報部」みたいな解説になっている。
 例えば、著名な小川和久さんは「中国軍増強のスピードは速く、九州・沖縄の防衛力強化、拠点化は避けられない」とのコメントだ。自衛隊出身の優秀な軍事アナリストだが、政府機関に深く関与している立場からくる限界だろうか(失礼)。

    海兵隊&陸自訓練3
     (カリフォルニア沖合で米海兵隊の指導で訓練する自衛隊・西普連)

 安倍政権が進める戦後防衛政策の大転換~「日本版NSC」「秘密保護法」、「国家安保戦略」「武器輸出解禁」「集団的自衛権の行使」~という一連の流れの中で部隊編成や装備導入を解説すべきであろう。

 最近、外洋進出が目立つ中国海軍や、「防空識別圏(ADIZ)」設定を理由にして、「水陸機動団」の創設や水陸両用車両、オスプレイ機、無人偵察機などを導入するとしている。
 冷戦時代の「ソ連脅威論」に基づく北海道重点配備の検証・総括が欠落しているから、こんどは二番煎じの「中国脅威論」を恥ずかしげもなく掲げる始末だ。米軍と軍需産業にとっては大歓迎だろう。(現に、米海兵隊幹部は朝日新聞に「島国にとって、『水陸機動団』は不可欠だ」とのコメントを寄せている)

       水陸両用車
         (52両導入予定の水陸両用車)

また、「防空識別圏(ADIZ)」への無理解から、中国機から撃墜されるというトンチンカンな論評が出回っているのも見過ごせない。(元自衛官・数多久遠氏のブログが詳しい)
 「南西の島を奪われる」というおよそありえない想定をして、新部隊を配置したり新装備を導入して訓練を重ねるなど、詐欺行為に等しい。
大体、日本のような島国はミサイル飛び交う本格的戦争に耐えうる地形条件がない。「水際戦」で済むはずもなく、米国頼りの中国包囲網など、米国にとっても大迷惑だろう。

       オスプレイ
        (17機導入予定のオスプレイ機)

 日・米・中の相互関係を「冷戦時代」の感覚で捉えていたら大間違いで、日・米両国はもとより各国にとって、中国抜きに国際関係は語れない時代である。
過去の戦争責任すら認めず「軍事大国」をめざす安倍政権に対して、アジア諸国から冷笑が浴びせられている現実を直視すべきだろう。

(※)「国家安全保障戦略」については、参議院調査室の「立法と調査」をぜひご覧ください。

「秘密保護法」~情報隠しと告発者処分

 防衛省・海自で「秘密保護法」を絵に描いたようなケースが現実化している!
 海自護衛艦「たちかぜ」の乗組員の自殺に絡み、いじめを示す調査文書(乗組員へのいじめを調べたアンケート)が隠されていると内部告発した3等海佐に対し、海自が懲戒処分の手続きを始めたという。(朝日新聞 2013年12月8日付)

13.12.8朝日・海自、内部告発者処分へ「被疑事実通知書」
  (朝日新聞2013年12月8日付)

 「たちかぜ」裁判とは――2004年10月、横須賀配備の護衛艦「たいかぜ」の乗組員Tさん(1等海士、当時21歳)が上司の執拗ないじめを受けて自殺。06年4月、Tさんのご両親が損害賠償責任を問う訴訟を横浜地裁に提訴。
 11年1月、横浜地裁は、「上司の暴行・恐喝が自殺の原因」と認め、国の賠償責任も認めながら、「自殺の予見は不可能」という不当判決。

  「たちかぜ」裁判を支援する会パンフより
   (「たちかぜ」裁判を支援する会パンフレットより)

 翌月、ただちに東京高裁に控訴。昨年4月、3等海佐が「海自は調査文書を隠している」との陳述書を提出。彼は、一審で国側指定代理人だった人で、国(防衛省)は驚愕したに違いない。海自は、遺族や3佐らの情報公開請求に対し、「すでに破棄した」と回答したが、その後「原本が見つかった」と発表し、謝罪した。

 3佐の異議申し立てを受けた内閣府の「情報公開・個人情報保護審査会」は今年10月、「組織全体として不都合な事実を隠ぺいしようとする傾向があった」と厳しい指摘をしている。
 また、3佐の進言に応じなかった元幹部は朝日新聞の取材に、「昔の海自は確かに『どうやって隠すか』という組織だった」と答えている。さらに、アンケートの原文を職場で発見したという別の現役事務官は、東京高裁に陳述書を提出。それによると、上司に相談したら「あれは『ない書類』だ。あってはならないので、捨てろ」と言われたという。

     内部告発による「たちかぜ」関係資料
      (「さわぎり」裁判元原告Hさんが入手した「たちかぜ」の調査資料)

 別段秘密でもないのに、「都合の悪い情報は隠し、告発者は罰する」――「秘密保護法」が施行されると、こうした事が❛合法的❜に横行するのではないのか。
 防衛省は、自衛隊でのいじめ問題などに対処するため「メンタルヘルス教育」という冊子を階級毎に分けて全国の陸・海・空部隊の幹部たちに配布している。ところが、肝心の現場で活用されている形跡が見られない。

     メンタルヘルス・システム
       (防衛省のHPより)

 NHKキャスターから海自・臨床心理士に転身して話題となった、佐世保総監部で隊員のメンタルヘルスを担当している山下吏良さん。彼女の著書「海上自衛隊メンタルヘルス奮闘記」には次のような記述がある。「自衛隊では『いじめ』があったという例は極めて稀です。」「(暴力沙汰やいじめらしきものでも)些細なことで騒いでいるだけ。」

         山下吏良

 私は、ビックリして腰が抜けそうだった。こんな調子では、悩める自衛官の相談相手になれるはずがない。
やっぱり、私たち自身が「秘密保護法」などに怯えず自衛官の訴える声に耳を研ぎ澄まして相談・救済活動をやる以外にない。

          全国の自衛官人権裁判
           (「たちかぜ」裁判を支援する会パンフレットより)

 「たちかぜ」裁判は、来年1月27日に最終弁論(結審)、年度内判決も予想されている。まず全面勝訴を勝ち取り、自衛官の人権を守るためには「情報公開」と「告発者保護」が不可欠であることを国民に知っていただきたい。
 併せて、有害無益の「秘密保護法」の施行を許さない闘いを粘り強く続けていきたいと思う!

 (※「たちかぜ」裁判を支える会 TEL&FAX 046-827-8570)

ボノボとベラウの女性優位社会

 昨日の朝日新聞で、サルの記事が興味深かった。「ボノボ」――チンパンジーと並んで人間に最も近い動物で、アフリカ・コンゴの熱帯雨林に生息し、絶滅危惧種に指定されている。熊本県宇城市の京大野生動物研究センターで4頭の飼育が始まったという。

          ボノボ
           (ボノボ 朝日新聞13年12月4日付)

 チンパンジーはオス優位の群れを作るが、ボノボはメス優位の社会を築くらしい。ふと思い浮かんだのは、太平洋のベラウ共和国(パラオ諸島)のことだ。地球上で最後に残る「母系社会」と言われる。
 20年前の93年1月、原水禁九州ブロックの第九次ベラウ交流調査団(団長:慶田盛泰八、12人)の事務長として参加した。私の帰国報告(読売新聞、93年2月19日付)から抜粋してみる。

          パラオ諸島

 ベラウ共和国(パラオ諸島)は、約200の島々から成り総面積5百平方キロで淡路島より狭く、人口は約1万5千人。日本の委任統治領だったが、戦後、米国の信託統治領となる。

        集会場「アバイ」
         (「アバイ」と呼ばれる男性の集会所)

 80年7月、三度の投票の末に世界で初めて「非核憲法」を制定する。日本の憲法第九条を参考に起草されたもので、あらゆる核・生物・化学兵器及び廃棄物の実験・貯蔵・廃棄をいっさい禁じた。米国にとっては甚だ不都合な内容だった。

          ベラウ・キッタレンの女性たち
           (キッタレンの女性たち)

 私たちが交流したのは、ベラウの非核・独立を求める住民組織「キッタレン」の人々であった。米国の強大な圧力の下で、二人の大統領が銃弾に倒れた。私たち調査団との会見に気さくに応じてくれた日系二世のクニオ・ナカムラ大統領は「わが国に軍隊はなく、非核・平和こそ尊い」と率直に語った。(※翌94年10月、米国と「自由連合協定」を結んで独立する)

        ペリリュウ島の戦車
         (ペリリュー島に放置された旧日本軍の戦車)

 コバルトブルーに輝く美しい海に魅せられて、多くの日本人観光客が訪れるミクロネシア。そこは、敗戦までの30年間、「南洋群島」と呼ばれ、日本の植民地支配を受けた地域でもあった。ペリリュー島には、錆びついた戦車や高射砲の残がいが散在し、激戦の傷痕をしのばせていた。

 これら諸島は、戦後補償の対象から外された。今日、日本の観光資本による開発、遠洋漁船による乱獲、ODA援助などによって、伝統的な文化・慣習が壊され、経済的自立を妨げられてさえいる。

          キッタレンの人たちと交流団
           (キッタレンの人々と交流視察団)

 ヤシの木が生い茂るトタン屋根の下で、交流したキッタレンのメンバーは全員女性で、男性は缶ビールを飲みながら交流の様子を周りで覗っている。女性優位の社会は、なんとなく落ち着きと平穏を感じて、楽しいひと時だったことをしみじみ思い出す。
 戦前・戦後の女性解放運動の指導者だった平塚らいてうの「原始、女性は太陽であった」という有名な言葉が重なる。

          平塚らいてう
            (平塚らいてう)

 頑なに「非核憲法」を守り抜くベラウの人々とは対照的に、憲法九条を無きものにしてアジア太平洋に新たな野心を抱く❛大国ニッポン❜の姿と、70年前の暗い歴史が重なって見える気がしてならない。
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)