「安保法制違憲訴訟」第二陣の原告として意見陳述

  「安保法制違憲訴訟」第二陣の初公判は、5月30日、長崎地裁で行われた。私を含む4人の原告が意見陳述を行なった。元教員の熊江雅子さん、元自衛官の西川末則さん、牧師の大藪朝祥さん、それに私である。
 各自の持ち時間は約8分、ここでは私の住む佐世保と基地、佐世保市民の「生存権」が脅かされるという点に絞って要点を紹介しておきたい。なお、「安保法制」の問題点については弁護士が詳しく述べたので、割愛する。

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     (長崎地裁前で事前集会)

――「安保法制」と基地を擁する佐世保 について
 1991年に始まった湾岸戦争の際は、米軍佐世保基地から揚陸艦が沖縄の海兵隊をペルシャ湾まで輸送しました。また、輸送艦などが前畑弾薬庫や赤崎貯油所などから大量の弾薬・燃料を中東まで輸送し、「佐世保の弾薬敞がなければ、湾岸戦争は戦えなかった」と言われるほどでした。

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     (イラク・サマワの陸自部隊)

 アフガン戦争やイラク戦争の際も、日本はインド洋に輸送艦などを派遣しイラクやクウェートなどに施設部隊や航空部隊を派遣して米軍の後方支援を行いました。
 米軍佐世保基地からも揚陸艦が海兵隊員を中東まで輸送しました。このように、佐世保は米軍の戦争に深くかかわってきた街です。

 来年度、「水陸機動団」という部隊が創設されます。中核部隊は佐世保・相浦
駐屯地所属の精鋭で、米軍海兵隊が戦争指導に当たっており、「日本版海兵隊」
とも呼ばれています。
 これからは、安保法制に基づいて「駆けつけ警護」や「米軍の艦船防護」という新しい任務を与えられた自衛隊が、米軍の「後方支援」ではなく「戦場で共に戦う」ことになるでしょう。

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 つまり、今回の「安保法制」施行によって、まず危険に晒されるのは紛争地に派遣される自衛隊員であり、命に関わる深刻な問題です。
 憲法第九条の制約で、日本には軍法や軍事法廷がなく、軍事的な過失を問う法体系がありません。にもかかわらず、政治の都合で自衛隊を紛争地に派遣するなど、人道的見地からも許されないと思います。
 私を含めて子や孫をもつ親にとって決して他人事では済まされないことであり、心の底より憤りを覚えます。

――佐世保市民の「平和的生存権」が侵害されることについて
 米国ではトランプ氏が新大統領となり、これまでの外交・防衛政策に大きな変化が見られます。
 シリアへの一方的空爆の実施で多くのシリア市民が犠牲になり、国際法違反だとの批判が高まっています。

     北朝鮮のミサイル

 次は、北朝鮮です。核実験やミサイル発射をくり返して、国連からも制裁決議を受けています。トランプ政権は、北朝鮮に影響力をもつ中国が説得するように要請しています。もしだめなら米国は、「軍事的攻撃も選択肢の一つ」とし
て攻撃態勢を検討しています。
 米国が韓国の頭越しに北朝鮮へ軍事攻撃をするとは考えにくいのですが、仮に、米国が攻撃して北朝鮮と交戦状態になり、日本が「集団的自衛権」を行使して北朝鮮を攻撃した場合、北朝鮮は日本の米軍基地や原発をミサイルで攻撃するでしょう。
 安倍首相は、「集団的自衛権の行使で〝抑止力〟が高まる」と主張していますが、かえって日本の危険が高まるのは必定でしょう。

 とくに、朝鮮半島から至近距離にある佐世保が北朝鮮からの攻撃の標的となるのは避けられません。核弾頭や化学兵器付きのミサイルなどの攻撃で、米軍や自衛隊の基地はもとより佐世保の市街地は壊滅状態となります。
 長崎原爆による死者は約7万4千人、建物の36%が全焼及び半壊でした。今日、めざましい原水爆の開発で、佐世保市民約26万人が犠牲者となり、建物の殆どが全壊・全焼するでしょう。
 さらに、かろうじて生き残った人も原水爆による放射能障害で長期間苦しめられ、放射能で汚染された街に市民が住めなくなって〝ゴーストタウン〟と化すのは、福島原発事故を見れば明らかです。

     図5・大空襲の跡

 佐世保市民は終戦直前、米軍による大空襲で約1200人が犠牲となり、街の中
心部が廃墟となった経験をしています。現代の戦争では兵器の殺傷力も甚大で
犠牲者は大空襲の比ではなく、想像するだけでも身の毛がよだちます。

――裁判所に望むこと
 現在、安倍政権下で報道機関へ露骨な圧力が加えられているのは、ご承知のことだと思います。
 今回訴訟の対象となった「安保法制」に関しては、元内閣法制局長官や最高裁判事などが「憲法違反」だと明確に指摘している事案です。
  当裁判所におかれては、あらゆる圧力に屈することなく公平・公正な判断を示していただくように心より切にお願いして、私の陳述を終わります。

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     (丹羽宇一郎・元伊藤忠商事会長)

 なお、安保法制の問題点についてとくに次のことを強調しておいた。
 伊藤忠商事の丹羽宇一郎・前会長は「安保法の成立で政治に波風が立つことは、経済界としてもやりにくくなる。誰が見ても戦争に近づく法律で、個人的にも反対だ」と語っている。
 (※ちなみに、経済同友会・終身幹事の故・品川正治氏は、「経済人が『憲法改正』や『自衛隊の海外派遣』を主張するのは、戦争の厳しい現場を知らず、米軍需産業と癒着しているからだ」と手厳しく語っておられた。)

 すでに全国的には、「安保法制違憲訴訟」の提訴済が18地裁・22裁判所で、原告総数6126人(5/31現在)にのぼり、さらに増えていきそうな勢いだ。
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安保法制違憲訴訟の原告団に加わって

  立憲主義を踏みにじって安保法案が採決強行されてから約1年半が経過した。
 多くの国民が「憲法」とは何かを考えるきっかけとなり、「SEALs」に象徴される学生らの新たな形態の〝決起〟が象徴的であった。

     15.7.16朝日・安保採決、自公が強行
     (衆院・安保法特別委員会で採決強行)

 同法案採決後、伊藤忠商事の丹羽宇一郎・前会長は「安保法の成立で各地で違憲訴訟が続発して混乱するのではないか。政治に波風が立つことは、経済界としてもやりにくくなり喜ぶべきことではない。誰が見ても戦争に近づく法律で、個人的にも反対だ」と語っていた。
 
 実際に昨年4月、「安保法制違憲訴訟の会」が立ち上げられ、現在15地裁に提訴されて
いる。
 長崎でも、昨年の被爆者を中心とした第一陣に続き、今年3月30日に第二陣が長崎地裁
に提訴し、私も第二陣に加わった。総勢200人を超えた。

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     (長崎地裁前で)

 ここでは、提訴のための「紙上ヒアリング」に基づきその要旨を書きとどめておきたい。
――精神的被害に関わる人生体験など
 国は各種の訴訟に敗訴しても、素直にそれを認めず事案の改善を図ろうとはしない。
 その良い事例は、自衛隊員の人権侵害裁判である。私は、護衛艦「さわぎり」や同「た
ちかぜ」などいくつかの人権侵害裁判に関わり支援してきた。全国で10件以上の自衛隊員
人権侵害裁判では、その大半が原告側の勝訴であり、原告側有利の和解の結果となってい
る。

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     (「たちかぜ」裁判で勝訴。東京高裁前)

 私は、国会でもその具体的事例を示して「自衛隊員の人権侵害は組織的・構造的なもの
であり、抜本的に改善すべきだ」と強く求めた。
 しかし、国(防衛省)は率直に認めようとはせず、もっぱら金銭解決に終始してきた。

 今回の「安保法制」施行によって、まず危険に晒されるのは紛争地に派遣される自衛隊
員であり、命に関わる深刻な問題である。それにもかかわらず稲田朋美防衛相は、戦闘が
続き内戦状態にある南スーダンに「紛争はない」と言い切って自衛隊員を派遣したのだっ
た。
 私を含め子や孫をもつ親にとって決して他人事では済まされないことであり、心の底よ
り憤りを覚える。

     th[6]

――日本国憲法に対する思い
 安倍首相をはじめ改憲派の最大の論拠は「押しつけ憲法論」である。
 しかし、憲法の制定過程を検証すると、米国が一方的に押しつけたわけではない。連合国総司令部(GHQ)のマッカーサー総司令官は、「戦争能力の破棄」と「民主化」という占領目的に基づいて明治憲法の改正を日本政府に命令する。
 ところが、日本政府の憲法草案は明治憲法を微調整したに過ぎず、マ総司令官は独自の草案作成をGHQに命じて、三原則(天皇は最高位・戦争放棄・封建制度廃止)を基にわずか1週間で作成した。急いだ理由は、マ総司令官が極東委員会の設置によって憲法構想への介入(天皇の戦争責任追及)を嫌ったことにあると言われる。

     天皇とマッカーサー
     (昭和天皇とマッカーサー総司令官)

 マ総司令官は、日本の占領・統治には「天皇制」が必要だと考え、アジア諸国に対しては日本の「非武装」を宣言し、天皇の戦争責任を免れようとした。
 一方、昭和天皇自身も、「天皇制」存続のために側近らを使って対米工作を試みており、「天皇メッセージ」(沖縄・琉球諸島の永続的占領を希望する。1947年9月)を米国側に伝えていた。
 昭和天皇はもとより今上天皇や皇太子が現憲法の擁護者であるのは、至極当然のことである。
 現在、天皇の「生前退位」が内閣や与野党の間で大きな議論の対象となっているが、改憲論者らは本来なら「天皇制廃止」を主張すべきだろう。(私が議員の頃、石破茂議員らは「象徴天皇制」と「第九条」がワンセットであることを理解できていなかった)

 私は、非武装を謳う第九条は世界でも例がなく、先見の明があると確信する。それを現実のものとするには『世界連邦』が必要だと考えている。
 国連は国家の連合体であり各国が軍隊を持っているので、戦争が絶えない。それに対して、『世界連邦』だけが軍隊を持ち、各国は警察力程度にとどめることで戦争を防止できるとの考えだ。原爆投下に衝撃を受けたアインシュタインや湯川秀樹らを先頭に世界連邦運動が世界規模で広がった。

     アインシュタイン&湯川秀樹
     (世界連邦運動の先頭に立ったアインシュタインと湯川秀樹)

 新憲法を審議する帝国議会では、吉田茂首相が「国際平和団体の樹立によって、侵略戦争を防止する」と答弁。貴族院議員の高柳賢三・東大教授は「世界国家が成立すれば、各国は第九条の想定する武装なき国家となる」と解説した。
 国連改革を妨げた冷戦終結から27年、いまこそ『世界連邦』へのロードマップをつくり実践するべきだと思う。軍事費に喘ぐ開発途上国などはこぞって賛同するだろう。

――安保法制違憲訴訟の原告に加わった理由
 昨年3月、「安保法制」が施行されたことに伴い、陸上自衛隊は「駆けつけ警護」や「宿営地の共同防護」という新任務を与えられて南スーダンに派遣された。
 同国では政府軍と反政府軍との間で戦闘が続発しており、仮に陸自が「国に準じる組織」との戦闘に遭遇すれば、憲法が固く禁じる「海外での武力行使」となる。
 「安保法制」はもはや机上の議論ではなく、派遣自衛隊員の命に関わる深刻な問題となっている。
 国会の中では自・公など与党が議席三分の二を占めているが、こうした相次ぐ訴訟と国民世論の力で「安保法制」を葬ることは可能だと考える。とくに、被爆地長崎から提訴されたことの意義は大きい。

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     (訴訟第二陣に加わった西川則夫・元自衛官)

――裁判所に希望すること、訴えたいこと
 戦後、「長沼裁判」や「砂川事件」の例が示すように、日米安保に関わる訴訟では政権側からの圧力がすさまじく、裁判所は憲法判断を忌避してきた。
 現在、安倍政権下で報道機関へ露骨な圧力が加えられているのは、周知の事実だ。今回訴訟の対象となった「安保法制」に関しては、元内閣法制局長官や最高裁判事などが「憲法違反」だと明確に指摘している事案である。
 当裁判所におかれては、あらゆる圧力に屈することなく公平・公正な判断を示していただくように、心より切に願う。


安保法制違憲訴訟の原告団として

  「安保法制」の施行(2016年3月)からやがて1年が経つ。
  同法制は憲法違反だとする訴訟が東京など全国14か所で始まっている。
  長崎県でも被爆者らによる第一陣(6月8日、118人)、それ以外の第二陣が始まり、私も原告団に加わることにした。
  ここでは、訴訟のための「紙上ヒアリング」に記載した主な内容を紹介しておきたい。

――安保法制の制定・施行に対する思い
・ 安倍政権のもとで安保法制制定への導火線となったのは、「集団的自衛権の行使」を閣議決定するという奇策であった。
 集団的自衛権自体は個別的自衛権とともに国連憲章に定められているが、いわば例外的規定である。国際的紛争に際して国連の基本的理念は「集団安全保障」である。
  日本が他国と異なり「集団的自衛権の行使」を禁じたのは「必要最小限の実力」を超えるからという理由であった。自衛隊創設にあたって、内閣法制局は自衛権(必要最小限の実力)まで憲法は禁じていないとの解釈をした。以降、歴代政府はこの考え方を踏襲してきたのだった。

       山口繁・元最高裁長官
       (山口繁・元最高裁長官)

・ 同法案の国会審議では、自民党推薦も含む3人の参考人がいずれも「安保法案は明らかに憲法違反」と断じたのも当然であった。
  しかも、11本もの関連法案を巡って閣僚らの答弁は随所で食い違いをみせたが、安倍政権は強引に採決を強行したのだった。まさしく「立憲主義」に反し、戦後政治史に大きな汚点を残す結果となった。

     衆院特別委で強行採決
     (衆院特別委で強行採決)

――精神的被害に関わる人生体験など
・ 国は各種の訴訟に敗訴しても、素直にそれを認めず事案の改善を図ろうとはしない。
  その良い事例は、自衛隊員の人権侵害裁判である。私は、護衛艦「さわぎり」や同「たちかぜ」などいくつかの人権侵害裁判に関わり支援してきた。全国で10件以上の自衛隊員人権侵害裁判では、その大半が原告側の勝訴であり、原告側有利の和解の結果となっている。
  私は、国会でもその具体的事例を示して「自衛隊員の人権侵害は組織的・構造的なものであり、抜本的に改善すべきだ」と強く求めた。
  しかし、国(防衛省)は率直に認めようとはせず、もっぱら金銭解決に終始してきた。

     護衛艦たちかぜ・勝訴
     (護衛艦「たちかぜ」訴訟、東京高裁で勝訴)

 ・ 今回の「安保法制」施行によって、まず危険に晒されるのは紛争地に派遣される自衛隊員であり、命に関わる深刻な問題である。それにもかかわらず稲田朋美防衛相は、戦闘が続き内戦状態にある南スーダンに「紛争はない」と言い切って自衛隊員を派遣したのだった。
   私を含め子や孫をもつ親にとって決して他人事では済まされないことであり、心の底より憤りを覚える。

――日本国憲法に対する思い
 ・ 安倍首相をはじめ改憲派の最大の論拠は「押しつけ憲法論」である。
 しかし、憲法の制定過程を検証すると、米国が一方的に押しつけたわけではない。連合国総司令部(GHQ)のマッカーサー総司令官は、「戦争能力の破棄」と「民主化」という占領目的に基づいて明治憲法の改正を日本政府に命令する。
しかし、日本政府の憲法草案は明治憲法を微調整したに過ぎず、マ総司令官は独自の草案作成をGHQに命じて、三原則(天皇は最高位・戦争放棄・封建制度廃止)を基にわずか1週間で作成した。急いだ理由は、マ総司令官が極東委員会の設置によって憲法構想への介入(天皇の戦争責任追及)を嫌ったことにあると言われる。
  マ総司令官は、日本の占領・統治には「天皇制」が必要だと考え、アジア諸国に対しては日本の「非武装」を宣言し、天皇の戦争責任を免れようとした。
  一方、昭和天皇自身も、「天皇制」存続のために側近らを使って対米工作を試みており、「天皇メッセージ」(沖縄・琉球諸島の永続的占領を希望する。1947年9月)を米国側に伝えていた。
  昭和天皇はもとより今上天皇や皇太子が現憲法の擁護者であるのは、至極当然のことである。
  現在、天皇の「生前退位」が内閣や与野党の間で大きな議論の対象となっているが、改憲論者らは本来なら「天皇制廃止」を主張すべきだろう。(私が議員の頃、石破茂議員らは「象徴天皇制」と「第九条」がワンセットであることを理解できていなかった)

     天皇とマッカーサー
     (昭和天皇とマッカーサー総司令官)

 ・ 私は、非武装を謳う第九条は世界でも例がなく、先見の明があると確信する。それを現実のものとするには『世界連邦』が必要だと考えている。
 国連は国家の連合体であり各国が軍隊を持っているので、戦争が絶えない。それに対して、『世界連邦』だけが軍隊を持ち、各国は警察力程度にとどめることで戦争を防止できるとの考えだ。原爆投下に衝撃を受けたアインシュタインや湯川秀樹らを先頭に世界連邦運動が世界規模で広がった。
   新憲法を審議する帝国議会では、吉田茂首相が「国際平和団体の樹立によって、侵略戦争を防止する」と答弁。貴族院議員の高柳賢三・東大教授は「世界国家が成立すれば、各国は第九条の想定する武装なき国家となる」と解説した。
   国連改革を妨げた冷戦終結から27年、いまこそ『世界連邦』へのロードマップをつくり実践するべきだと思う。軍事費に喘ぐ開発途上国などはこぞって賛同するだろう。

――安保法制違憲訴訟の原告に加わった理由
 ・ 昨年3月、「安保法制」が施行されたことに伴い、陸上自衛隊は「駆けつけ警護」や「宿営地の共同防護」という新任務を与えられて南スーダンに派遣された。同国では政府軍と反政府軍との間で戦闘が続発しており、仮に陸自が「国に準じる組織」との戦闘に遭遇すれば、憲法が固く禁じる「海外での武力行使」となる。
  「安保法制」はもはや机上の議論ではなく、派遣自衛隊員の命に関わる深刻な問題となっている。

     丹羽宇一郎  
     (丹羽宇一郎・元伊藤忠商事社長)

 ・ 伊藤忠商事の丹羽宇一郎・前会長は「安保法の成立で各地で違憲訴訟が続発して混乱するのではないか。政治に波風が立つことは、経済界としてもやりにくくなり喜ぶべきことではない。誰が見ても戦争に近づく法律で、個人的にも反対だ」と語っている。
  実際に昨年4月、「安保法制違憲訴訟の会」が立ち上げられ、現在14地裁に提訴されているようだ。
   国会の中では自・公など与党が議席三分の二を占めているが、こうした相次ぐ訴訟と国民世論の力で「安保法制」を葬ることは可能だと考える。とくに、被爆地長崎から提訴されたことの意義は大きい。
   訴訟に直接加入していない市民の皆さん方に訴えて、訴訟勝利の世論を広げていきたいと思う。

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       (砂川闘争、1955年頃)

――裁判所に希望すること、訴えたいこと
 ・ 戦後、「長沼裁判」や「砂川事件」の例が示すように、日米安保に関わる訴訟では政権側からの圧力がすさまじく、裁判所は憲法判断を忌避してきた。
   現在、安倍政権下で報道機関へ露骨な圧力が加えられているのは、周知の事実だ。今回訴訟の対象となった「安保法制」に関しては、元内閣法制局長官や最高裁判事などが「憲法違反」だと明確に指摘している事案である。当裁判所におかれては、あらゆる圧力に屈することなく公平・公正な判断を示していただくように、心より切に願う。

今こそ「イラク戦争の検証」をすべきだ!

  米国が主導したイラク戦争(2003年)から13年、日本でも遅まきながら同戦争の検証が始まった。

 今年5月末、市民グループ「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」主催の「イラク戦争公聴会」が開かれた。元防衛官僚の柳沢協二氏が証言した。

     「対テロ戦争」の死者

 戦争の犠牲は大きかった。国際NGOの推計では、米英軍の侵攻後に亡くなった民間人は16万人を超す。
 なぜ開戦の根拠がない戦争をおこしたのか。(以下、朝日新聞7/7付より抜粋)
米国は、04年「独立調査委員会」を発足させ翌年3月の報告書では、専ら情報機関の不備を指摘し、政権側の情報操作などについては明らかにならなかった。

オランダの独立調査委員会は10年、「イラク戦争は国際法違反だった」との報告書を出した。
豪州は、04年7月の報告書で「(大量破壊兵器情報は)あいまいで不完全だった」と結論付けたが、政府による情報操作の疑いは否定した。

     イラク戦争と各国の検証

英国では04年、二つの独立調査委員会(「ハットン委員会」「バトラー委員会」)が報告書を出したが、肝心のイラク戦争に踏み切った理由や、その後の占領政策に疑問をもつ世論に応えるものではなかった。
そこで09年、「チルコット委員会」では、開戦前から撤退までの8年間を検証対象として、ブレア元首相ら120人以上を喚問した。今月6日に260万語に及ぶ膨大な報告書を公表した。

     ルコッジョン・チルコット委員長
     (英国・チルコット委員長)

 ――開戦当時のブレア首相が、米ブッシュ政権の対イラク強硬策に根拠なく追従した経緯を詳細に描写した。従来の「封じ込め」から「フセイン政権打倒」に変質した時期は02年4月の米英首脳会談。
 ブレア政権内で、開戦前の重要な計画や準備について閣僚全体で明確に監視していなかった、と指摘。
 「米英関係」について、「国益や判断が異なる部分で無条件の支持を必要とするものではない」、とブレア政権の姿勢を批判した。

――また、復興政策や駐留の準備が欠けたままイラク占領を続けた英政府の「戦後」の姿勢も厳しく批判している。「イラクで軍事行動をとれば、アルカイダなどテロ組織の脅威が高まり、イラクの兵器がテロリストの手に渡る可能性がある」、と情報機関がブレア氏に対して03年2月に示した警告を掲載している。ISのテロが続く世界の姿を予期したような筆致だ。(在英アラブ紙「ライ・ヨウム」は「米英のイラク侵攻でイラクが失敗国家にならなければ、ISは組織されていなかったはず。ブレア氏とブッシュ氏には、混乱の種をまいた直接の責任がある」と批判した。)
 キャメロン英首相は6日、報告書発表を受け、下院で「最も大事なことは、将来に向けた教訓を得ることだ」と述べた。

     イラク復興支援活動行動史2
     (「イラク復興支援活動行動史」)

 さて、日本政府の場合はどうか。
 自衛隊のイラク活動終了後、09年に報告書を国会に提出したが、「戦争支持の是非などを一切省いたおざなりの内容」(柳沢協二・内閣官房副長官補)だったが、特段の議論もなかった。
 民主党政権下の12年、外務省が「検証結果」を発表したが、わずか4ページで聴取した対象者名も伏せた。

 では何故検証しないのか。
 「英国で検証が可能なのは、検証を個人攻撃や政局の道具に使わない暗黙のルールがあるから」(細谷雄一・慶応大教授)。
 「日本では国家は間違わないという神話が根強く、官僚も政府の過ちを認めない」(中野晃一・上智大学教授)。
 
 昨年7月、国会で「安保法制」を審議中に野党の追及で防衛省は陸自の報告書「イラク復興支援活動行動史」を提出した。その内容は、「イラク特措法」の範囲を超えた活動となっていたことが判明した。
 その後、「安保法制」が成立して、海外で自衛隊が米軍などと緊密に連携して行動する可能性が大きくなった。過去の政策の検証を欠いたまま同盟路線をひた走るのは危険が大きすぎる。

     15.6.13朝日・大物OBも反対表明
     (記者会見で「安保法制」に反対表明する山崎拓氏)

 当時、小泉首相に開戦を支持するよう進言した山崎拓幹事長も、「ISの製造責任は、イラク開戦に賛成した日本にもある。その意味では検証は必要だ」と語る。
 米国と最も絆の太い英国ですら、米政権の暴走をいさめることができず、戦争に引きずり込まれてしまった。日本にとっては重い教訓を含んでいる。
 秋の臨時国会ではまず、政府から独立した調査委員会を設けて「イラク戦争の検証」を行うべきだ。

「安保法」~自衛官OBに聞く

  先日、友人の飯島慈明氏(名古屋学院大学教授)から「安保法に関する著書を近々出版する。そこでぜひNGOや自衛官OBらの生の声を取材したい」と電話があった。
 私はピンと思いついた。「安保法制」強行採決の頃、TVで反対表明していた自衛官OBを。名前は「西川末則」、佐世保市小佐々町の人だった。

    P1180004.jpg
    (西川末則さん)

 18日の午前、西川さんの店「西川ラジコン」に出向いた。
 とても気さくな人柄だった。彼は開口一番こう言った。――昨年テレビで「安保法が成立すると、現職の後輩たちが命を落とすことになるので反対だ」と、率直な気持ちを語った。すると、東京のTV各局や海外局までがうちの店に殺到して面食らった、と照れ笑いしながら、まんざらでもなかった。

 以下、飯島教授や私とのやりとりを少し紹介してみる。
――敢えて安保法に反対表明されたのはなぜですか?
――私は、自衛隊に入隊以来37年間、無事に退職できたのは憲法九条のおかげだと思っています。もちろん、どこかの国が攻めてくれば、国や国民を守るため命を張って戦う覚悟はありました。ところが、この安保法は米国や多国籍軍のために命を捧げろという。これには反対です。

――現職の自衛官やご家族はどう思われていますか?
――そりゃ、不安で心配ですよ。そんなつもりで自衛隊に入った訳ではないですからね。訓練はたしかにきつい。だけど実際に戦争するような状況はありませんから。なんではるか海外で米軍の後方支援などしなければならないのか?
 海自はまだいい。陸自は〝敵地〟に上陸して戦うんだから、相手を殺したりこちらがやられたり、大変ですよ。

    08festa_snap30_420[1]

――他のOBたちはなぜ、貴方のように声を上げないのですか?
――自衛官の再就職は、自衛隊関連の企業などが殆どなんです。そこで「安保法反対」なんて声に出したらアウトですよ。私は自分の店を持てたから、なんとか声が出せるだけのことです。

――他にも言いたいことは、たくさんありそうですね。
――例えば、いまメディアなどが嫌韓・反中などと煽るけど、やり過ぎですよね。ここに飾っているドローン(中国製)の技術は全て日本製ですよ。日本がやるべきことは、争っている国の間に入って仲裁することではありませんか?各国が、戦争しない〝九条の国〟を尊敬しているのだから。

――僕は自営業で遠慮はしないで、反対の声を上げ続ける。現職とOBの皆さん、あえて声を上げなくてもいいよ。その代り、こんどの参議院選挙では、必ず「野党」に投票して欲しい。それが〝平和の一票〟となるのですよ!

    USMC-09096[1]

 いやあ~、なんとも嬉しい取材の旅となった。小佐々町は市町村合併でいまは佐世保市の一員だ。高速道路だと佐世保駅から約15分。
 北松浦郡(略称:北松)では就職の場がなくて海自隊員になる若者たちが多い。その素直な気持ちを活かすことのできる自衛隊組織のあり方を根本から見直す時期にきていると、つくづく思うのである。

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プロフィール

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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)