熱帯林の伐採と環境破壊を憂える

  熱帯林の伐採と輸入国・日本。ずいぶん以前から、インドネシアやアマゾンなどの実態を環境保護団体などが厳しく批判してきた。
 先日(7/8)の朝日新聞「ひと」欄で、熱帯林の保護を建材消費国で訴えるパプアニューギニア人のポール・パボロさんが載っていた。

     17.7.8朝日・熱帯林の保護を訴える
     (朝日新聞 7月8日付)

――東京五輪を控えた都心で相次ぐ高層ビル建設が、母国パプアニューギニアでの熱帯原生林の伐採につながって見えた。切り出された原木は主に合板に加工され、ビルの建設現場で使われるからだ。
――伐採が止まったのは昨年秋のこと。すでに6年で約40万本が切り出されていた。故郷の森を守っても、国全体の原木の輸出は減らない。主な輸出先は日本から中国に代わったが、加工品の大消費地は日本だ。

    カラジャス鉄鉱山
     (カラジャス鉄鉱山)
           スマトラ島1
           (スマトラ島。生物絶滅の危機)

     ベロモンテ水力発電ダム建設に反対するインディオ
     (ベロモンテ水力発電ダム建設に反対するインディオ)

 アマゾンの実態について、特定非営利活動法人「熱帯森林保護団体(RFJ)」などのレポートより引用してみる。
――アマゾンは『生物の宝庫』といわれるように、地球上の生物遺伝子資源の約半分が生息し、全体の2%しか生物種は明らかにされておらず、残りの98%は未だ眠ったままであるといわれる。

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――アマゾンの熱帯雨林は、生態系の見事なバランス――密集した樹林自体が風雨を防ぎ、土壌は微生物によって葉や枝、虫などが分解され栄養素の循環が行われる。――によって表土の流出が行われない仕組みになっているが、このような閉鎖系のシステムは一度、その鎖が壊れると、急速なスピードで表土が流され病気にかかり、死んでしまう。
 森林伐採によりいったん流れた表土は再び元の姿に戻るためには100年ほどの歳月を要する。

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――有史以前より気象変動が皆無であったアマゾンの熱帯林もここ数年、乾季に雨が降り、雨期に雨が降らない日が続き、世界的な異常気象変動の影響を受けている。
熱帯林の破壊は、世界の気候にも影響をもたらす。
森林による保水効果の減少、アルベド(反射光)の増加、森林焼却の際に空気中に放出される二酸化炭素・・・
 
――こうした現象はすべて、大気の流れや熱帯地域から遠く離れた場所の降雨量を変える結果をも生み出している。
 また、アマゾンにおいての生物種の絶滅は、これから発見されるかもしれない医薬品の可能性をも奪っている。

     森林面積変化率
     (森林面積変化率)

  こうした森林破壊の原因は、都市化に伴う開発、人口増と生活様式の変化による開発、森林火災など様々だが、やはり開発に係る企業のあり方や木材の大量消費地こそ問題にしなければならないだろう。

(※この問題については、昨年5月29日、「消える熱帯林と木材輸入大国・日本」と題して書いています。)
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諫早湾締め切りから20年~開門調査は不可欠だ。

  国の干拓事業で、諫早湾を鋼板で閉め切った〝ギロチン〟から、きょう(14日)で20年となる。

 諫早湾干拓は1952年、約1万㌶の湾全体を農地にする大干拓構想として浮上した。その後、減反政策の時代となり規模を縮小。畑地開発や高潮・洪水防止に目的を変え、1989年に着工した。(当時、金子岩三・農水相は事業全廃を提示したが農水族や官僚らに阻まれた)
 
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 1997年、293枚の鋼板で湾の3分の1を閉め切った。長さ7㌔の堤防の内側は干潟が陸地になり、672㌶の農地になったが、ムツゴロウやアゲマキなどの干潟の生き物の死骸が一面に広がり無残な光景であった。
 当時、「湿地ネットワーク」づくりに力を注いだ山下弘文氏は「政府や学者などは干潟の〝浄化能力〟に無知だ」と憤っていた。実際、二枚貝などの底生生物は川などから流れ込む生活用水を見事に浄化してくれる。水産庁も近年その効果を認めている。
 一方、総事業費は2530億円という巨額にのぼった。堤防には砂利を大量に使うがA商事が独占して、島原出身で大臣経験者の某代議士が深く絡んでいたものだ。

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 諫早湾が締め切られた3年後の2000年、有明海特産のノリが大凶作(23億枚、前年の3分の2)に見舞われた。この年衆議院議員となった私は、超党派の調査団の一員として現地を訪れたが、ノリ養殖業者の自殺が相次いでいたのは悲惨だった。

 干拓事業との因果関係の調査が不可欠だが、農水省は中長期の開門をしない代わりに再生事業を始めた。2002~16年度の事業費(予算ベース)は計498億円。
 堤防の調整池の水質改善には、2004~15年度に国と自治体合わせて352億円(決算ベース)を投じたが、毎夏アオコが発生して水質改善できずにいる。

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 いま問題となっているのは、干拓事業をめぐる複数の訴訟だ。干拓が漁業不振の原因と疑う漁業者らの訴訟では、2010年に福岡高裁が「開門」を命じる判決を下して確定。一方、長崎地裁は干拓農地の営農者の主張を認め、国に開門を差し止める仮処分決定を出した。
国は確定判決を履行できず、2014年6月から漁業者側に間接強制金を支払っており、総額7億6500万円に上る。
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 有明海の異変――干拓事業で、海水を浄化し生物の「ゆりかご」になっていた1550㌶もの干潟が消失。湾の閉め切りで潮流が弱まり、海をかき混ぜる力も低下した。――研究者の指摘である。
この他にも、大型開発が複合的に影響したとの主張もある。筑後川の大堰と砂利採取。熊本市沖で進む埋め立て(熊本新港、130㌶)。三池炭鉱の海底陥没(1500万㎥)。
「いずれも海と山のつながりを断ち切った開発。海の豊かさは山から栄養塩類や鉱物粒子を運ぶ水の循環なしには成り立たない」(「森里海連関学」の提唱者・田中名誉教授)。

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 私自身の体験――妻の実家が鹿島市・飯田にあり目先に干潟が広がる。結婚してしばらくの間、義父が干潟に入ってアゲマキをバケツ2杯ほど採って食卓に並べたものだ。みそ汁や酢ものなど実に美味しかった。
それがパッタリ採れなくなった。諫早湾が堤防で締め切られた97年ころからだ。やがて、韓国から稚貝を買って干潟で育ててみたけどうまくいかなかったようだ。

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 「一次産業に携わる者どうし、自然を大切にしたいという思いは同じ」との思いで、7年ほど前から漁業者と農業者の間で話し合いがもたれるようになり相互理解は進みかけたが、裁判闘争でその機運は遠のいたという。
 開門派の訴訟原告団は、「いきなり水門を開けるのではなく、状況を見極めながら徐々に開門を進める『段階的開門』」を提案している。

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 しかし、肝心の国が、有明海再生のための100億円基金案を示し、誘導するための「想定問答集」を漁業団体に示すなど、開門したくないという姿勢では話し合いもうまくいくはずがない。

 病気の治療にはまず「診察」が欠かせない。潮受け堤防を段階的に開門してみないことには、有明海を再生しようがない。

水俣・一人芝居~砂田明さんと江良潤さん

 水俣病の一人芝居、といえば砂田明さん(故人)だ。朝日新聞(2/8付)に載っていたが、俳優の江良潤さんが砂田さんの志を継いで一人芝居「天の魚」を、10日から初めて上演するらしい。作家の石牟礼道子さんの代表作「苦海浄土」を原作に、砂田さんが556回も演じたライフワークだ。

     砂田明・一人芝居
     (砂田明演じる「天の魚」)

 僕が地区労に勤務していた頃、2度にわたって砂田さんをお招きして「天の魚」を披露していただいた。会場は観客で立錐の余地もなかった。故・小島亨事務局長にはこうした取り組みに充分理解していただいた。

     豊田勇造
     (豊田勇造)

 その後、友人と二人で水俣を訪れて、水俣病の患者さんらと交流し、砂田さん宅に泊めていただいた。その時、たしかミュージシャンの豊田勇造さんだったと思うが、訪ねて来られた。水銀による水俣湾のすさまじい汚染、水俣病に苦しむ患者の皆さん、支援する人々・・・実際に来てみて身に染みて理解できた。

     原田正純教授

 水俣病研究の第一人者は熊本学園大学の原田正純教授だろう。長年にわたる研究と患者の治療に専念してこられた。私の長女が同大学だったので水俣病に深く関心をいだいていた。

     江良潤

 「患者は高齢化し、水俣病の公式確認から60年の昨年、砂田さんの志を後世に伝えたい」との思いで江良さんが引き継いだという。仮面劇として演じた砂田さんと異なり、仮面をつけず喜怒哀楽を表情豊かに表現したい、と江良さんは言う。
 砂田さんは93年に65歳で亡くなられたが、奥さんはご健在のようだ。公害の教訓を伝承するうえで、貴重な演劇となることを祈りたい。

消える熱帯林と木材輸入大国・日本

 今から27年ほど前、ODA援助に係る問題について少し勉強したことがある。

 たとえば日本の場合、受け入れ国の自然環境とか人々の社会生活に与える影響を充分検証せず、途上国に資金援助してその資金の流れが不明瞭だと指摘されていた。
 また、開発援助が日本企業のための利益誘導の色彩が極めて強く、影の部分で大きな役割を果たすのはコンサルタント会社と商社だという。

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    (アマゾンの熱帯雨林)

 1987年、国際的に注目を集めた事例として、ブラジルのダム建設計画があった。ブラジル政府は、世銀と輸銀(日本)の融資により、2010年までにアマゾン川流域に136もの水力発電用ダムの建設構想を立てた。
 これが実現すると、2万5994平方キロメートルもの広大な熱帯林が水没し、50万人もの人々が強制移住となる。
 
    l_ah_Rainforest2[1]

 そこで、世界各国の環境保護団体や人権保護団体は世銀に融資を行わないように圧力をかけ、ブラジル各地のインディオ部族をはじめ世界各地からも多くの人々が集まって、ダム建設に反対した。
 結局、1989年、世銀は電力部門への融資をやめて環境保護融資に切り替えたのだった。

 日本のODAなど開発援助のあり方はその後、国内外の厳しい批判に晒されて改善されたはずであった。
 ところが、「消える熱帯林、輸出先は日本」という見出しの記事(朝日新聞5/29付)が目に入った。

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    (朝日新聞 5/29付)

 ボルネオ島北部のマレーシア・サラワク州は、日本の輸入合板のほぼ半数を占める産地だという。30年ほど前まで手つかずの熱帯林が、今ではほとんど残っていない。サラワク州が輸出する合板の59%が日本向けだ。
 かつてフィリピンで乱伐された「ラワン」と同じフタバガキ科の木が「メランティ」の名で乱伐されているという。

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    (朝日新聞 5/29付)

 食料や薬草、住居など生活の多くを森林資源に頼る先住民は、伐採地の土地の権利を認めるよう求めて州政府と伐採企業を次々と提訴、その数は約300件にのぼる。
 日本にはこれまで、違法伐採された木材製品の流通を規制する制度がなかった。今月13日、流通を規制する初めての法律が国会で成立した。伊勢志摩サミットの首脳宣言にも「違法伐採の根絶」が盛り込まれた。
 しかし、「適切な合法性の確認義務を課さない日本の新法は、違法木材を排除できない」(NGO「FoEジャパン」)という。

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    16.5.29朝日・消える熱帯林5
    (朝日新聞 5/29付)

 国際的に合意された違法伐採の定義はなく、実態もつかみにくい。また、現地の汚職や腐敗がからむこともある。
 しかし、放置するわけにもいくまい。CO2や地球温暖化が国際的に大きな問題となっており、その防止の観点からも「森林保護」は喫緊の課題ではないか。

COP21合意ーー何か胡散臭い

  いまや国際社会で温暖化の〝悪玉〟のようにいわれるCO2。――COP21(国連気候変動会議)では14日、196の国と地域が全会一致で『パリ協定』を採択した。
 しかし、温室効果ガス排出の「実質ゼロ」を目指す新枠組みの前途は、決して明るくない。

  私は、ずいぶん以前から「地球温暖化問題」に何か胡散臭いものを感じていた。
ある時、原発問題に詳しい広瀬隆氏の著書「国際石油戦争」を読んでいて、赤祖父俊一という人物の著書「正しく知る地球温暖化」(誠文堂新光社)を知った。
  さっそく読んでみて、まさに〝目から鱗〟であった。赤祖父俊一氏はアラスカ大教授を経て同大国際北極圏研究センター所長(00年~07年)を歴任した、北極圏研究の世界的権威である。
 以下、赤祖父氏の著書をもとにその主張の要旨を示してみる。

    15.12.15朝日・COP21パリ協定
    (朝日新聞 09.12.15付)

――現在進行中の温暖化の大部分は地球の自然変動であり、人類活動により放出された炭酸ガスの温室効果によるのはわずか約六分の一程度である可能性が高い。温暖化の六分の五は「小氷河期」という比較的寒かった期間(1400~1800年)から地球が回復中のためである。
――現在の温暖化は炭酸ガスが急激に増加し始めた1946年に始まったものではない。温暖化は1800年前後から現在まで連続的に進行しているのである。IPCC(国際気候変動パネル)は彼らの政治目的のため、小氷河期を軽視または無視した。
――IPCCは自然変動を充分研究せず、最初から炭酸ガス排出による温暖化を地球上の重大問題にすることを政治目的にしているため、気候学という学問が歪められてしまっている。
――IPCCの初代委員長は「2020年にはロンドンもニューヨークも水没し、北極圏のツンドラ帯は牧場になる」と予言していた。いわゆる炭素交渉は炭酸ガスが本当に減るわけではないので、狐と狸の化かし合いではないか。

    スティック曲線
    (赤祖父氏著書「正しく知る地球温暖化」より)

――政官民一体となって、「地球温暖化問題」について騒ぎ立てているのは日本だけではないかと思われる。日本の現在の状態は「米国前大統領アル・ゴアを救世主として温暖化狂騒曲で踊っており、報道はその調子を鼓舞して太鼓を叩いている」。
 「日本の将来にとって最も重要な問題は日本のエネルギーと食糧の確保」と指摘して、この後も続くが、省略する。

   2009.12.15北海道新聞(夕刊)
    (北海道新聞。夕刊 09.12.15付)

  この本の第4刷が出た直後の2009年11月、赤祖父氏の指摘を裏付ける重要な事件が発覚した。地球温暖化の根拠とされた「ホッケー・スティック曲線」など肝心のデータが歪曲・改ざんされていた証拠が見つかったのだ。IPCCの中心的な研究機関である英国・イーストアングリア大気候研究所(CRU)での出来事である。

    2009.12.15北海道新聞(夕刊)2
    (北海道新聞。夕刊 09.12.15付)

  この重大な事件は、米国の大統領盗聴事件「ウォーターゲート事件」になぞらえ、「クライメートゲート事件」と呼ばれた。
 赤祖父氏は言う。「CO2原因説も一つの仮定として認める。IPCCが温暖化の原因はCO2などの温室効果ガスと決めつけ、他の理論を排斥したり、発表を阻止したりしようとすることが問題なのだ」。

  もう一つ、本書の中では、温暖化=CO2を出さない原発推進という理屈には国際的な「原発カルテル」があるのではないかと疑ってしまう、との鋭い指摘があったことも付け加えておきたい。
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)