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天皇の「人権」を考える

新元号は『令和』
 新しい元号は『令和』――きょう(4月1日)政府が発表し、5月1日施行となる。平成天皇は4月末に退位して、現皇太子が新天皇として即位する。

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  (新元号「令和」を発表する菅官房長官)

 平成30年の歴史が終わった。この間、天皇の「政治的発言」の有無や「女系天皇」の是非については議論もあったが天皇の「人権」や「不自由さ」を問う議論は少なかった。

萬世一系の研究

  そうした折、「天皇『脱出の権利』改めて考える」との朝日新聞の記事(3月28日付)が興味深かった。
 〝天皇に人権はあるか〟をめぐって14年前、憲法学者の奥平康弘・東大名誉教授が、05年の著書『「萬世一系」の研究』で提起した。
――万人に適用されるべき権利保障の体系が天皇にはまともに適用されていない。すべての人に保障されているはずの権利や自由が構造的に奪われている場合には、「究極の『人権』」として、その制度の枠組みから逃れて普通の人間になる「脱出の権利」が保障されるべきだと説いた。

  16.8.9朝日・天皇の公務とは

皇室は身分制の飛び地 
長谷部恭男・早大教授(憲法学)は語っている。
――「すべての人々に平等に保障された権利としての基本権が天皇や皇族にはない」。「日本国憲法も基本的には近代国家像を反映していますが、一部に身分制秩序の『飛び地』を残しています。それが天皇制です」。
――「日本国憲法が天皇制の存在を支える仕組みはそもそも、『この制度を守っていこう』とする真摯な心がけがあることを前提にしていると考えます」。「心がけが失われてしまうリスクにどう対応するかが課題と思います。もし心がけがなくなれば、脱出の権利を認めなくても天皇制は枯死します」。

  アンガウル島に拝礼
  (アンガウル島に向かって拝礼する天皇・皇后)

「共和制」に移行し自由を
天皇の人権という難題に大胆な解決案を提示したのは、橋爪大三郎・東工大名誉教授(社会学)で、奥平名誉教授生前、その構想に関心を寄せていた。
――「本人の自由意思が認められない世襲制。職業選択も婚姻も不自由。そんな不合理に皇族を縛り付ける国は、人権と民主主義の国ではない」。
 「本当に皇室を敬うのなら象徴天皇制に幕を引き、共和制に移行すべきだ。『尊王共和制』です」。皇室には国家機関であることをやめ、無形文化財として自由にお過ごしいただけばよいと思う。

  18.11.10朝日・最後の園遊会2
  (朝日新聞2018.11.10付)

 象徴としては民間出身の大統領を置けばいい。政治に関与せず選挙で選ばれることもない大統領だ。
――(人権の議論が広がらないのは)国民が考えたくないからだ。その議論を避けている以上、日本には皇室制度への敬意も天皇個人への共感もないと私は思う。

  16.8.9朝日・天皇のお気持ち表明
  (朝日新聞2016.8.9付)

 いわゆる〝尊王派〟が激怒するだろう提言である。
 しかし、現天皇は3年前の「おことば」(8月9日)で、「身体の衰えを考慮する時、全身全霊をもって象徴の務めを果たして行くのが困難」と表明されている。
 「天皇制」自体の賛否など久しく聞かない。そうした議論よりも改元と天皇交代を契機に、橋爪名誉教授らが提言する「天皇の人権」について考えてみる好機ではないだろうか。


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防衛大で酷い〝人権侵害〟ーー支援体制をつくり勝訴へ!

エリート自衛官を養成する防衛大学校で、人権侵害行為が組織的に行われ常態化していた。俄かには信じがたい現実だ。

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    (福岡高裁・地裁)

 一昨日、福岡地裁で「防衛大学校・人権侵害裁判」の第1回公判が開かれたので、傍聴と今後の支援に関する話し合いに行ってきた。
 事件の概要は、「訴状の概要」によると以下のとおりだ。

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    (訓練の光景)

―― 原告の防衛大の元学生Aさんは、2013年4月の入校式直後より、指導という名のもとに数々の傷害、暴行を受けた。
 13年6月から14年5月にかけて、原告に暴力行為を働いた被告B(上級生)は罰金20万円、被告C(上級生)は同10万円、被告D(上級生)は同10万円の略式命令に処せられた。
 教官は、これら一連の暴力行為を認識していながら、原告を救済せず、人権侵害行為の発生を予防する対策を怠った。

―― また、同学年の被告2人からも指導という名のもとに数々の暴行を受け、上級生と同様の対応を強要された。
 さらに、別の被告E(上級生)からはロッカー内をめちゃくちゃにされるなどの執拗な「いじめ」を受けた。
 また、暴力行為だけでなく、同じ中隊の2年生・被告F及びGからは、原告の写真を無断で「遺影」に改変してLINE上に公開されて精神的ダメージを受けた。

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    (卒業式で訓示) 

―― 原告は、カウンセラー、教官に相談したが限界となり、14年8月から15年4月まで休学を余儀なくされ、15年3月に退学するに及んだ。

 原告の「意見陳述書」(16.5.23)によると、入校式の日に出席することなく迎えにきた家族と帰っていく学生が80人ほどもいたという。せっかく合格したのに入校式の日に大学を去るというのは、尋常ではない。
 防衛大といえば、いまも競争率の高い〝狭き門〟だ。入校すると「特別職国家公務員」の身分となり、学費と衣食住費用は国費負担で、毎月約11万円の手当と賞与約38万円を受け取れる。
毎年480人が入校し、卒業者は350~400人で、「任官拒否者」が増えているという。

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    (開校記念祭)

 原告は、「他の部屋では目も耳も覆うような出来事があり、私はその人たちの思いも込めて裁判に臨む」と述べている。
 訴状によると、本裁判では、加害学生(8人)に対する不法行為責任だけでなく、防衛大(国)の安全配慮義務違反による損害賠償(約2297万円)を求める、としている。
 また、防衛大では「学生間指導」を制度として導入しており、その運用における注意を怠ったという「組織的な責任」を根拠づけるものであることを明らかにしたいと述べている。
 
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    (「たちかぜ」裁判、東京高裁で勝訴判決。2014年)

 護衛艦「さわぎり」裁判勝訴から8年、護衛艦「たちかぜ」裁判勝訴から2年、この15年の間に自衛官の人権侵害裁判は全国各地に広がり、原告側の勝訴が相次いだ。
 防衛省・自衛隊はその都度、謝罪して「再発防止」を誓ったはずである。幹部や隊員らのメンタルヘルス教育にも力を入れてきた。
 しかし、陸・海・空自衛隊及び防衛大における「人権侵害」の根は深く、構造的な問題として浮かび上がっている。
 すでに今年3月「安保法」が施行され、参院選後、自衛隊の海外での「武力行使」に道が開かれる。これまで以上に自衛官の人権侵害が多発・深刻化しないか憂慮される。

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    (支援体制を話し合う弁護士や支援者)

 まずは、九州各県の平和フォーラムや平和運動センター、社民党などが中心になって支援する体制をしっかり作りたい。それを基点にして、すでに結成されている弁護団ネットワークや「家族会」などと連携して全国的な支援の輪を広げ、世論を喚起していきたいものだ。
 (※なお、原告は退学後別の大学で学んでおり、生活などに影響が及ばないように、名前は匿名にしています。)
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書評「帰還兵はなぜ自殺するのか」と戦闘ストレス障害

 先日、「帰還兵はなぜ自殺するのか」という書籍の書評が目にとまった。
 私が、自衛官の人権問題に取り組んでからすでに15年になる。その関係もあって、アフガン戦争やイラク戦争での死傷者数、自殺数やPTSDなどの問題を探ってきた。

   帰還兵はなぜ自殺するのか

 同書の評者・保阪正康氏によると――アフガンとイラクに派兵された米軍兵士は約200万人、そのうち50万人はPTSD(心的外傷後ストレス障害)とTBI(外傷性脳損傷)に悩まされており、毎年240人以上が自殺している。

 同書の著者はワシントンポスト紙の元記者であるデイヴィッド・フィンケル氏で、こうした戦闘ストレスに悩む元兵士たち、その家族、さらにはペンタゴン(米国防総省)の自殺防止会議の調査報告にふれながら、この悲劇の実態はどのようなものか、具体的に鮮烈に記述してその苦悩を現代社会に正確に伝えようとしている、と評している。

   死者数と戦費2

 国会図書館の刊行物「レファレンス」に、鈴木滋氏が「メンタルヘルスをめぐる米軍の現状と課題~『戦闘ストレス障害』の問題を中心に」(2009年8月)及び「防衛省・自衛隊のメンタルヘルス対策~米軍の事例紹介を交えつつ」(2015年1月)と題して詳しく論じている。
 また、昨年のNHKドキュメント現代「イラク派遣 10年の真実」でも、帰還自衛官の自殺やPTSDなどを分かり易く報道している。

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   (NHKドキュメント現代「イラク派遣 10年の真実」)

 国会では、照屋寛徳衆議院議員(社民党)が「イラク帰還自衛隊員の自殺」について質問主意書で問い質し、政府は「答弁書」(07年11月13日)で次のように答えている。――「テロ特措法」に基づき、延べ約1万900人の海自隊員を、また「イラク特措法」に基づき陸・海・空自合わせて延べ約8800人。そのうち自殺者は陸自1人、海自8人、空自1人。派遣と隊員の死亡との関係については、一概に言えない。退職後の精神疾患については把握していない。
 前述のNHK報道では、自殺者は28人に増えている。

   海兵隊との共同訓練

 米国では、年間約3万人の自殺者のうち帰還兵が約25%を占めているという。日本でも、安倍政権の思惑どおりに「安保法制」が成立したら、自衛隊は米軍と共に戦闘行動をすることになり、〝帰還兵の心〟の問題は自衛隊員にも降りかかってくる問題である。
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学校や自衛隊に横行する〝暴力的指導〟

 学校での「体罰」が社会問題となった頃の記事を思いだした。
慶応大の片山杜秀准教授が「軍隊での暴力的指導は日露戦争を転機としている。日本は人口も武器弾薬も工業生産力も足りない。結局、期待されたのは『精神力』だ。…戦後、自衛隊に暴力的指導の伝統は残存した」と指摘している。

 また、作家の丸谷才一さんは朝日新聞のコラム「袖のボタン」で、「半藤一利さんの話によると、日本海軍の軍艦が5隻も爆沈している。精神科医の中井久夫さんによると、その半数は制裁のひどさに対する水兵の道連れ自殺という噂が絶えない」と書いている。

   13.2.19朝日・軍隊の精神論
   (朝日)新聞13年2月19日付

 先月の朝日新聞(2月17日付)で、坂上康博・一橋大学教授が「規律重視は兵士養成のなごり」という話をされている。その要旨を紹介してみたい。
 ――日本の体育の起源は幕末にさかのぼり、明治以降は軍隊で行われた。学校教育にも体育が導入された。欧米に比べて体格が劣るので、「強兵」をつくるため男子の体格・体力の向上が必須と考えられた。
 ――戦前の学校体育の科目名は「体操科」で、集団行動や規律の訓練にもなるので、軍事的な価値を持つようになる。やがて、軍隊式の集団訓練が入ってきて「軍事教練」と呼ばれ、陸軍将校が配属される。
 体操や軍事教練に対し、スポーツや武道は遊戯という扱いだったが、共産主義思想に影響される学生が増えると、対応策としてスポーツを思想教導の手段と見なすようになる。

   坂上康博さん
   (坂上康博・一橋大学教授)

――戦後、軍事教練や武道必修は廃止されたが、兵士養成のために重視された集団性や規律は、民主的な社会形成に必要だとして生き残った。
注目すべきことは、特に部活で精神主義や暴力的な指導が目立つようになった。戦前の遺物というより、戦後になって一般的になったものだ。軍隊経験をもつ指導者が、短期間で強くするために軍隊のやり方を部活に応用した。
根性主義も戦後の産物で、60年代とりわけ東京五輪前後からだ。

   学校軍事教練

――日本人のスポーツ観が集団主義的、根性主義的だというのも一面的だ。スポーツは本来、強制されるのではなく自発的に行うべきものだ。日本では、学校を卒業して初めて本来のスポーツのあり方を楽しむようになるという特殊な状況が続いてきた。
海外ではスポーツは文化となったが、日本ではそうなっていないと言われるゆえんだ。

学校での「体罰」や自衛隊での「いじめ」が横行する現実を、あらためて深く考えさせられた思いだ。

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自衛隊員の訓練事故死は深刻だ

 東京新聞(7/6付)に「自衛隊員の訓練中の死亡事故」に関する記事が載っていた。
 照屋寛徳衆議院議員(社民党)が質問主意書で質し、政府が答弁書で明らかにした。

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 答弁書によると、04年度以降今年5月までに62件発生(陸自47・海9件・空自6件)。同時期で警察官は9件、消防士は04~12年度で10件。「事故率」を比較すると10万人当たりの死亡事故は、自衛隊員2.28件で警察官(0.32件)の7.1倍、消防士(0.69件)の3.3倍である。

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          (朝日新聞 2013年2月19日付)

 元自衛官で自衛官人権ホットラインを開設している小西誠氏は、「持久走中の脂肪事故が頻発しているのは、基本的な救命措置が十分でない。現場の指揮官に医学的な知識が不足している」「現場は根性論で、肉体の限界を度外視した訓練が行われやすい」と話している。

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          (訓練水槽を視察する阿部知子・衆院議員。ブログより)

 また、海自潜水医学実験隊(横須賀市)の男性隊員2人が5月に訓練の準備で死亡した事故を受け、訓練施設を視察した安部知子衆議院議員(無所属・比例南関東)は、「訓練中の事故は仕方ないというのは命を軽んじている」「部隊内の調査は第三者性が極めて薄い。自衛隊の自浄作用と第三者のチェックが必要では」と主張している。

 先日の閉会中審査(衆・参予算委)で、「集団的自衛権の行使」容認により想定される自衛隊員の「死亡」について野党から問い質された安倍首相は「そういう事態は想定していない」と素っ気なかった。自衛隊の深刻な現場を顧みることもなく、海外での武力行使を振りかざす政権はこの上なく危うい。解散・総選挙で国民の信を問うべきであろう。
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)