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電力会社の甘えが招いた原発の「テロ対策施設」建設

 いま、電力各社を悩ませているのは、原発の「テロ対策施設」の設置問題だ。
原子力規制委員会は4月24日、建設が遅れている原発のテロ対策施設について、設置期限に間に合わない原発に対し、運転停止を求める方針を確認した。

  テロ対策遅れ、原発停止へ
  (朝日新聞 2019年4月25日付)

 「テロ対策施設」はテロ攻撃の際に放射性物質が外部に広がるのを抑える施設で、福島第一原発の事故後、2013年の新規制基準で設置が義務付けられた。「特定重大事故等対処施設」(特重)と呼ばれる。
 電力各社は、当初は想定できなかったほど工事が大規模になったと釈明した。
 敷地が狭く、山を切り開いたり工事用のトンネルを掘ったりといった工事に時間を要するというのだ。
 だが規制委の更田豊志委員長は、「地盤がどういうものかは審査で彼ら(電力会社)が立証している。工事が始まったら硬かったという説明は通らない」と厳しい言葉を並べた。
 九電が関西電、四国電とそろって工事の遅れを訴えることで、「規制委が決めた設置期限に無理があった」として期限延長の「特例」を求めようとした。

  19.4.25朝日・原発テロ対策、厳格に判断 - コピー
  (朝日新聞 2019年4月25日付)

 しかし、6月12日の会合で規制委は、特重の完成が間に合わなかった原発は期限の翌日から停止させることを決めた。
 テロ対策施設は、原発の中枢機能を集めた設備をもう一つ造るようなもので、建設費は1基あたり500億~1200億円を見込む。6原発12基が審査を申請しているが、設置が終わった原発はまだない。
 設置が遅れていることについて、勝田忠広・明治大教授(原子力政策)は、「電力会社がテロ対策を本気で考えていないことが表れた」とした上で、「福島の事故前のように、国が何とかしてくれるという甘えが残っていた」と指摘する。
 九電と四電が再稼働した原発を止めれば、それぞれ1基あたり年間400億~600億円ほどの燃料費(火力発電など)余分にかかると見込む。

  19.6.29朝日・原発の新しい津波対策
  (朝日新聞 2019年6月29日付)

 政府は2030年度に総電力に占める原発の割合を20~22%にする目標を掲げるが、再稼働は9基にとどまり原発の割合は1割にも届かず、きわめて非現実的だ。
 このテロ対策とは別に、原子力規制委員会の検討チームが7月、原発の耐震対策に欠かせない計算方法の見直し案をまとめた。近く正式決定し、電力各社に指示を出すという。
 原発の行方はまさに〝袋小路〟に入り込んでいる。
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中西経団連会長の恥知らずな提言「原発運転延長」

 政府や電力会社、原発メーカーがここまで鈍感だったとはあきれる。
 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が、原発の運転期間を60年より延長すべきだと提言した。大震災後、火力依存(8割)や再生エネには限界があるのだと言う。
 
  中西宏明経団連会長
  (中西宏明経団連会長)

 21世紀になってスリーマイルやチェルノブイリなど事故の記憶が薄れたのか、各国の原発建設が息を吹き返し「原子力ルネサンス」と呼ばれた。
 日本も官民あげて原発輸出の旗を掲げ、大震災と福島第一原発事故の後も旗を振り続けた。
 しかし、国際的にも安全のための規制が強まり建設費は高騰して、輸出計画は次々と頓挫した。中西氏が会長の日立製作所による英国での計画も凍結された。3千億円の損失が、年間の利益の大部分を吹き飛ばしたのだ。

  核燃料取り出し方法
  (核燃料取り出し方法)

 ところで今月15日、福島第一原発3号機の使用済み核燃料の取り出し作業が始まった。
 放射線量が高く、500㍍ほど離れた所から遠隔操作する難しい作業だ。機器の不具合やトラブルもあって、4年以上も遅れての作業開始だ。
 メルトダウンした1~3号機には、炉心の燃料デブリのほかに建屋内の燃料プールに多数の核燃料が保管されたままだ。東電は、3号機のプールにある566体の燃料すべてを、20年度内に移し終える予定だ。

  13.7.9朝日・新規制基準
  (朝日新聞 2013.7.9付)

 こうした作業には「人手不足」の問題もある。第一原発構内では一日平均約4千人が働いている。昨年4月から今年2月まで放射線業務に従事した作業者は1万1109人。
 そこで、東電は「特定技能外国人」の受け入れを決めた。だが、突発的なトラブルなどの際に瞬時に言葉が理解できないと、大きな労災や事故になりかねない。被曝線量の管理は、海外でも問題になっているという。さらに、労災申請の方法が分かりづらいという問題もある。

  汚染水のタンク19.3.19
  (福島第一原発の汚染水タンク)

 こうしてみると、福島第一原発の廃炉への道のりは入り口にも立っていない。
 使用済み核燃料の保管場所をはじめ汚染水の処理は未定。核燃料再処理の前途も真っ暗。
 制御できない巨大技術と難解な処理。原発が動いている限り、福島原発事故の悪夢が再現しない保証はない。中西経団連会長が原発稼働にしがみつき、「運転再延長」を提言するとは、狂気の沙汰としか言いようがない。

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八方ふさがりの日本の原発政策

  安倍政権が「国家戦略」として進めてきた原発輸出は、すべて頓挫することになった。
 福島第一原発事故からやがて8年、原発に反対する世論は根強く、新増設はもとより再稼働も9基。事故前に54基あった原発は20基が廃炉・廃炉方針となり、34基になった。
 政府はエネルギー基本計画で、30年度までに総電力量に占める原発の割合20~22%を目標とするが、達成は見込めない。

   19.1.12朝日・八方ふさがり の原発政策
   (朝日新聞 2019.1.12付)

 TBS系TVが今月12日の報道特集で、「岐路に立つ原発輸出」と題して分かり易くまとめていた。
――日立の子会社ホライズン・ニュークリアパワーはイギリスのアングルシー島に2基建設予定だった。しかし、強化された安全基準や資材・人件費の高騰などで、当初の建設費用は1.5倍・3兆円に膨らんだ。
 事業費は完成後につくる電気を売って回収する仕組みだ。日立は英政府に、電機の高値での買い取り保障や出資金の増額を求めていたが、着工のめどが立たず来週にも中断を決めるようだ。

   英・ホライズン原発
   (TBS系報道特集 2019.1.12)

 日立の計画は、安倍政権が進めてきた原発輸出で実現の可能性が唯一残る案件だった。他の計画(三菱・トルコ、日立・リトアニア、米国、台湾、)はいずれも事実上頓挫している。
――三菱が計画していたトルコのシノップ。同国は日本と同様の地震国で、対策費用がかさみ事業費は当初の2倍以上・5兆円に膨らんで、伊藤忠は撤退し三菱も後に続くとみられる。

   トルコ・漁業
    (トルコのシノップ原発。漁業者 TBS系報道特集2019.1.12)

 日立が計画していたリトアニアのイグナリナ原発はチェルノブイリ型で、民主党の野田佳彦政権の時に契約を交わしていた。しかし、福島第一原発事故が影響して脱原発に舵を切り、2050年までに再生エネルギー80%を目指している。

   リトアニア・イグナリナ原発
   (リトアニアのイグナリナ原発。TBS系報道特集2019.1.12)

  この他、安倍政権が進める核燃料サイクル政策も実質破たんしている。
 六ケ所再処理工場(青森県)は20回以上完成が延期され、約2兆9千億円も浪費している。
 同サイクルに欠かせない高速炉計画も、「もんじゅ」の後継炉開発はフランスの計画縮小で不透明になっている。
  このように、輸出・新増設・再稼働・核燃料サイクル・高速炉などの原発政策は〝八方ふさがり〟になっている。
 安倍政権が抜本見直しをしない以上、野党が国会で徹底追及し、国民世論の力で〝脱原発〟への展望を切り開く以外にない。
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挫折した日本の原発輸出政策

  予想通りと言うべきだろう。日立製作所が英国で進める原発新設計画が頓挫した。経団連の会長でもある中西宏明・日立会長は着工の条件とする出資金集めが滞っていることを認め、来年1月にも断念を決めるという。
 英西部のアングルシー島に2基をつくる計画で、日立は現地の原子力事業会社「ホライズン・ニュークリアー・パワー」を買収して参画した。だが、世界的な原発安全基準の強化を受け、総事業費は最大3兆円程度にふくらむ見通しになった。

   18.8.17朝日・建設経験乏しい日立、苦境 - コピー
   (ホライズン・ニュークリアー・パワーの建設予定地)

  東芝は、米原発大手ウェスティングハウスの経営破綻を機に、海外での原発新設から撤退する方針に転じ、米テキサス州での原発の新設計画をとりやめることにした。
 今月には、三菱重工などが手がけるトルコの計画も断念に向けた調整に入った。三菱と伊藤忠商事が企業連合をつくって進めてきたトルコのシノップ原発計画は、原発完成後の電気を売る利益で建設費を回収する仕組みだが、料金水準が低くて採算に合わないことが判明。

   18.5.10朝日・三菱重工、トルコ原発難航 - コピー

  日本勢の原発輸出計画は、福島第一原発事故後、相次いで挫折した。安全対策費の上昇や、世界的な脱原発の世論の高まりが背景にある。かつて1基5千億円以下が相場とされた原発のコストは1基1兆円超に拡大した。
 国内メーカーは競争力を失われ、中国やロシア勢などに商機を奪われた。

  政府・企業の主な原発輸出計画
  (朝日新聞 12/18付)

  原発を「重要なベースロード電源」と位置付けて再稼働を進めるとともに、成長戦略の柱に原発輸出政策を据えてきた安倍政権にとって、輸出総崩れが大きな打撃となることは必至だ。
 国内でも深刻な問題に直面している。会計検査院の調査によると、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」は廃炉が決まったが、研究や開発のために少なくとも1兆1313億円の経費がかかっていたことが判明。技術成果の達成度はわずか16%にすぎない。

   六ヶ所村の再処理工場
   (六ケ所村の再処理工場)

  原子力委員会はプルトニウム保有量の上限を「現在の水準」(約47㌧)と明示したことで、核燃料サイクルは大きな制限を受けることになった。
六ケ所再処理工場(青森県)の建設には2.9兆円が投じられたが、本格稼働を待たず計画が暗礁に乗り上げる可能性が出てきた。
 〝核のゴミ〟(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場も決まる見込みは全くないのが現状だ。

  安倍政権はこうした現状を直視せず、なお原発推進を図ろうとしているが、電力会社が利益率の低下し建設費用が倍増した原発にいつまで付き合うだろうか。
  もうここらで〝脱原発〟へと大きく舵を切るときではないか!

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原子力船「むつ」入港阻止闘争から40年を振り返る

 原子力船「むつ」入港阻止闘争から40年(10/16)。
 今年は米原子力空母「エンプラ」寄港阻止闘争から50年だった。
大きな節目の年である。もう記憶のあちこちに空白があるのはやむを得ない。

  IMG_20181017_082630.jpg
  (長崎新聞2018年10月17日付)

 「むつ」(約8千トン)が、青森県の沖合で放射線漏れ事故を起こしたのは1974年。この時点で廃船処理していれば何事もなかっただろう
。 

  「むつ」出力試験・臨界

 「むつ」を受け入れる港は全国のどこにもなく、結局、辻一三・佐世保市長(当時)が受け入れを表明。その見返りにSSK(現・佐世保重工業)の救済や長崎新幹線の佐世保経由などを政府に求めた。 
 久保勘一・長崎県知事(当時)は、『核封印方式』による佐世保入港を提案した。要するに、原子炉に触れることなく原子炉をコンクリートで覆うというもので、およそ「修理」にはほど遠い工事である。

  「むつ」遮蔽・改修工事

 佐世保地区労や社会党は県評と共に総評や社会党本部に働きかけて、全国的な反対闘争態勢をつくった。
  「むつ」入港に対しては、県評傘下の組合に1000円カンパを募り、船外機付きボート50隻で「海上闘争」を準備し、「むつ」を囲む闘いはマスコミから〝木っ端船団〟と呼ばれたが、全国的にも例がなかった。豪州やニュージーランドをはじめ世界でも報道されたものだった。

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  (現地闘争本部の撮影)

  「むつ」入港反対の条例制定運動も全国的に数例しかない運動だった。市内全域で条例制定のための市議会開催を求めて署名活動を展開した。
  開催に必要な署名数(有権者の50分の1)は直ちに集まった。開かれた市議会では、市庁舎の廊下を組合員や市民が座り込んで埋め尽くし、議場の傍聴席は溢れるほどだった。

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  (反「むつ」条例をつくる会提供)

  採決では条例案が否決されたものの、運動の意義はきわめて大きかった。この闘いは、長崎県内での「脱原発」運動の先駆ともなった闘いとなった。

  ところで、原子力船「むつ」を巡る政府の真の狙いは、原子力潜水艦の保有に向けた「舶用原子炉」の開発にあった。亡き高木仁三郎氏や藤田祐幸氏が詳しく指摘していた。

  「むつ」関根浜に係留

  形ばかりの「修理」が終わると、1988年「むつ」はに回航されて関根浜港(青森県)を新定係港とした。
  私は現地闘争本部の指示によりむつ市まで赴き、反対運動を続けていた青森の皆さん方と交流を深めたものだった。

  装いも新たな「むつ」

   やがて、「むつ」は廃船の運命をたどることになった。1995年に原子炉を撤去して、翌年、海洋地球観測船「みらい」に転身した。
  「むつ」の建造費用は約70億円であったが、漁業補償や廃船処理費などで総額1000億円以上を費やしたのだった。
    高速増殖炉「もんじゅ」が、1兆円以上の経費をつぎ込んだあげく「廃炉」の運命となったが、「むつ」は20年以上前にその前例を示していたのである。


         (上記4枚の写真:日本原子力研究開発機構・青森研究開発センター)
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)