東芝の破たんと原発リスク

 〝名門〟東芝が破たんして上場廃止の憂き目にあっている。
東芝は、ランプで有名な東京電気と重電の芝浦製作所が1939年に合併してできた。「乾電池から原発まで」つくり、グループ20万人を超す巨大企業だった。

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     (東芝本社が入るビル)

 米ウェスティングハウス(WH)は名門の原子力メーカーで、2006年に東芝が買収した。総額5千億円を投じ、業界首位への飛躍を狙った。
 ところが2011年の福島第一原発の事故で、状況は一変した。各原発が止まり、新規受注のめども立たず、安全規制は世界的に強化された。

     原発プラントの提携関係

 東芝の2016年度の赤字は、過去最大の1兆円に達する見通しだ。WHが米国で受注した原発の建設費が大きく膨らんだ。東芝はWHを破たん処理して切り離すことにした。
 巨額の赤字を穴埋めするため、半導体事業を切り売りし、原発事業も海外からは撤退する。(台湾の鴻海精密工業など2陣営が約2兆円超の買収額を提示したらしい。)
 東芝の昨年4~12月期の決算発表が再々延期されそうだ。WHが巨額損失を小さく見せる内部統制の不備を巡る調査のためだ。

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     (GEのCEO・ジェフ・イメルト氏)

 日本には東芝の他にも、日立がゼネラルエレクトリック社(GE)と核燃料の技術開発で約650億円の損失の見通し、三菱重工は経営苦の仏アレバ社に出資などで支援。日本製鋼所は原子炉格納容器の圧倒的シェアを持ち、核燃料事業の国内3社統合交渉が進むなど、どのメーカーも逆風への対応を迫られている。世界各国が原発から撤退している中、日本企業は世界原子力産業の〝中核主体〟になっているのは、いかにも皮肉だ。

     原発輸出の現状

 英国で日立などが進める原発計画をめぐり、日英両政府は協力の覚書を交わした。
一方、ベトナムは昨年、日本製原発の導入計画を撤回した。
 日本政府や企業は、新興国を売り込み先に期待するが、福島原発の事故収束も原因究明もできないのに輸出するとはもってのほかだ。

 核燃料サイクルは破たんし、福島原発事故の責任もとらず、〝放射能ゴミ〟の処理場もまったく未定の日本は、これ以上の恥の上塗りはやめて「脱原発」の具体策を検討するべきときだ。
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〝脱原発〟に反対する連合は、労働組合の資格なし!

  17春闘は本番を迎えるが、労組・連合は賃上げよりも「原発問題」の方針転換が先ではないのか。

 民進党が「2030年原発ゼロ」の政策を巡って党内で賛否が割れており、連舫執行部は正念場を迎えている。
原発関連企業は相次いで行き詰っている。東芝は米原発事業の失敗で債務超過となり、東電は福島第一原発事故の処理もできず実質国有化から脱する見通しはありえない。
海外でも、仏のアレバは経営破綻し支援する国営電力EDF自体もコストアップに悲鳴をあげている始末だ。

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     (神津里季生・連合会長)

 ところが、民進党の支持母体である連合の神津里季生会長は「2030年原発ゼロ」政策を「相当にハードルが高く、深刻な疑問を持たざるを得ない」と改めて批判した。
 連合傘下には、電力総連や電機連合、基幹労連など自民党顔負けの〝原発推進〟労組が並ぶ。
原発事業の職場の確保という考えからだろうが、廃炉もままならず危険な状況が続く東電や企業自体が存廃の危機に立たされている東芝の現実など、見えていないのだろうか。

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 福島原発事故の教訓から何よりも国民の安全と生活を最優先すべき労組が、自分たちの職場確保や賃上げに埋没する現実は救いようがない。
 電力総連などはかねてより、核燃料サイクルやプルサーマル計画を積極的に支持し推進してきた。
しかし現実は、福島第一原発事故以来ほとんど原発稼働なしで社会は動き、太陽光や風力など再生可能エネルギーもかなり普及してきた。国民世論も「脱原発」支持が高まっている。

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     (放射線量は650シーベルト/毎時)

 次期総選挙を視野に自民・民主の元首相は口をそろえて、「原発を争点にすれば、自民党は負ける」と訴えている。地方選挙ではあったが新潟県知事選挙では、連合・新潟は自公候補を支援、民進党は「自主投票」であったにもかかわらず、〝脱原発〟候補が圧勝した。
 連合は、こうした現実をしっかり直視して「脱原発」へとかじを切る時ではないか!

650シーベルトの衝撃~「脱原発」へ転換の時だ!

 溶けた燃料が飛び散った格納容器内の惨状に驚いた。
 放射線量は毎時650シーベルトにも達するという。投入したロボットの映像は、高い放射線のために2時間で撮影不能になったらしい。
 福島第一原発2号機の原子炉と格納容器内の「事前調査」に関わる映像である。

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 朝日新聞の竹内敬二氏(科学医療部)が今月19日の紙面で詳しく解説しているので、引用しておきたい。
――2号機の爆発が近いといわれた2011年3月15日、原子力委員会は「最悪のシナリオ」の検討を始めた。複数の原発が冷却不能になって「汚染による移転区域は東京都を含む半径250㌔以上・・・」。

 同様の例は1986年に爆発事故を起こした旧ソ連チェルノブイリ原発しかない。原子炉底部に核燃料が固まっており、昨年、その原子炉全体を包む新シェルターができた。事故後30年での完全封じ込めだ。核燃料の処理は「50年くらいたってから考える」、まさに百年作業なのだ。

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――ところが、東電は、2021年に「燃料取り出し」を始めるという。核燃料をどう管理して、どこに運ぶかさえも決まっていない。無理といわざるを得ない。
 日本の原子力政策の最大の問題は「何があっても変わらないこと」と言われる。日本はいま、ほとんど原発なしで社会が動き、再稼働への反対も強い。
 なのに、原発依存の計画を維持し、核燃料サイクルをめざすという無理な目標を掲げる。
      日立&東電

――世界をみれば、原発は建設数が低迷し、建設費や安全対策費も高騰している。仏・アレバ社や東芝のような原発関連の企業の苦境があらわになっている。
 日本をひっくり返し、世界を震撼させた福島第一原発事故から6年。650シーベルトという衝撃の数字は、私たちののど元に「忘れるな」と突きつけられた警告だ。
 原発政策の虚構を取り除き、コストと民意を重視する政策に変える。事故を起こした世代の責任だ。

季刊誌『通販生活』~反原発・憲法特集がおもしろい。

  普段気にもとめなかった、季刊誌『通販生活』。

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 いつも買い物に行くスーパー「エレナ」店で、雑誌棚を見ていたら『通販生活』が目にとまった。落合恵子と小泉純一郎・元総理の「脱原発」対談。与野党議員による「国民投票法と憲法9条」特集。アフガニスタンの子どもたちをドイツの国際平和村で治療するための寄付の呼びかけ。・・・など内容豊かで、本誌の編集方針は「脱原発」「護憲」に徹している。

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 価格はたったの180円なので、かなりの読者層がいるのだろう。今回は、落合恵子と小泉純一郎・元総理の「脱原発」対談の内容を見てみたいと思う。長くなるのをご勘弁願いたい。

――「総理のときは『安全、安い、クリーン』という原発3大スローガンを鵜のみにしていました」。(小泉氏)
小泉さんと考えが違う分野はありますが、原発ゼロの提唱には心から敬意を表します」。(落合さん)
 私は総理を辞めて、さまざまな書物を読んで「これはゼロにしなければ」と自信を持った。「過ちは改むるに憚ることなかれ」だと思ってね。(小泉氏)

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 福島原発事故から6年、「40年で廃炉」という約束もうやむやにされました。再稼働している原発は2基ですが、再稼働が許可、審査中の原発もある。再稼働の是非こそ衆議院選挙で問われるべきではありませんか。(落合さん)
 そうですね。野党がまとまり「原発ゼロ」を争点にすれば自民党は衆院選で負けますよ。柏崎刈羽原発が最大の争点となった新潟知事選では、自民・公明と連合が応援した候補が負けた。鹿児島も原発再稼働に反対した三反園さんが突然立候補して勝った。いままでの政治的常識を覆したね。(小泉氏)
 野党第一党の民進党が、はっきりと「原発反対」を打ち出せていない。(電力会社の労組への遠慮から)
 電源三法交付金を受け取る市区町村の選挙だとまだ推進派も強いかもしれないけど、そうでない選挙であれば反対派が勝つと思います。(落合さん)

―― 福島原発事故のとき、推進派の3大スローガンに疑問をもつようになった。原発導入の経緯や実態などを本や映画で勉強しました。『100,000年後の安全』(09年、フィンランドほか)という映画を観たことも、原発ゼロへの思いを強くさせたな。(小泉氏)
 小泉さんは実際に核廃棄物最終処分場「オンカロ」にも行かれています。(落合さん)

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     (フィンランドで建設中の核廃棄物処分場「オンカロ」)

 13年春に経済界の人たちから「視察に行かないか」と誘われたんです。何と、三菱重工、東芝、日立製作所の幹部が一緒に行きました。
 「オンカロ」を見て「地震や火山の多い日本で、こうした方法は無理だ」「原発は一刻も早くやめないといけない」と、確信したんです。(小泉氏)
――小泉さんは、「総理が決断すればすぐにでも原発はゼロにできる」とおっしゃっています。総理が公約として掲げた選挙に勝てば、「原発ゼロ」を実行できるということですね。(落合さん)
「そうです。与野党全てが反対だった郵政民営化に比べたら、原発ゼロの実現のほうがまだ簡単ですよ」。(小泉氏)

――「安倍総理にお会いして、『原発はやめたほうがいいよ』とおっしゃったそうですね」。(落合さん)
 (安倍総理の反応は)苦笑いするだけだった。だけど「原発への依存度を下げよう」とか言い始めた。ゼロじゃないとダメです。
 経産省が「原発のコストは安い」と言っているけど、大ウソ。交付金、廃棄物処分場など多額の税金が必要。
 もんじゅ(高速増殖炉)なんて、無駄遣いのいい例です。維持するだけで毎日5000万円ぐらいかかっている。(小泉氏)

――原発はクリーンもウソですよね。(落合さん)
 冷却水に使った海水は海に放出される。温暖化防止に貢献するなんてウソで、環境汚染産業だよ。
 経済界のある方からは「高い石油を買い、自然エネルギーなんてわずか。経済成長しなければならないから、やはり原発ゼロは無理ですよ」と言われた。(小泉氏)
 安全よりも経済優先。現実は経済的にも立ちいかないものなのですが。(落合さん)

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     (風力発電の説明を聞く小泉氏と細川氏)

 推進派は、「寒い冬、暑い夏がくれば、電力不足。国民は原発の重要性を思い知るだろう」と言いました。
 でも、事故後の12年3月から13年9月まで54基あった原発が2基しか動いていない。13年9月から15年8月までは1基も動いていない。
 「3.11」以降原発ゼロ同然。省エネ技術も発展してきて、太陽光発電によって原発10基分以上の電力を供給している。(小泉氏)

――小泉さんは16年7月に「トモダチ作戦被害者支援基金」を細川(護熙元首相)さんらと設立されましたが、きっかけは何だったのですか。(落合さん)
 16年3月に日系4世のジャーナリストが、東日本大震災で米軍が「トモダチ作戦」として被災地で救援活動をして、兵士たちが被ばくしたことを教えてくれた。
 それで5月にサンディエゴに行って元兵士たちに話を聞いたのです。400人くらいが被ばくしたらしい。(小泉氏)
 兵士は国に対して「どうにかしてほしい」と言えないんですよね。(落合さん)
 言えない。だから、彼らは東電やGE(原発メーカー)などを相手に訴訟を起こしている。(小泉氏)

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――小泉さんは原発事故で甲状腺がんになった日本の子どもたちを支援する「3.11甲状腺がん子ども基金」の呼びかけ人もなさっていますね。私もご一緒させていただいています。
「病気と放射線の因果関係が立証できていない」という批判がありますね。(落合さん)
 アメリカ海軍の医師も「放射線によるものと断定できない」と因果関係を認めない。だけど、目の前で苦しんでいる人を、見捨てるわけにはいかない。(小泉氏)
 元兵士も福島の子どもも、異常な状態なのは事実。因果関係が証明されるまで待て、と言うのか、ということですよ。(落合さん)

――私、日本の政治家の多くは、自分が人間だということを忘れておられるんじゃないかと思うんです。小泉さんは74歳になられましたけど、頼もしいです。(落合さん)
 クラーク博士は「少年よ、大志を抱け」と言ったけど、「老人でも大志を抱いていい」。私の大志は原発ゼロの実現。(小泉氏)
 国会中継などを見ていて「ふがいない!」って、腹立たしいんです。(落合さん)
 何のために政治をやってるんだと言いたいな。こんな大事な問題を。(小泉氏)


原子力3社の「統合計画」

 月日の移ろいは早いもので、明日から11月で「立冬」を迎える。
 TVでは毎日、〝小池劇場〟でいささかウンザリする。
  ところで、原子力をめぐる動きから目が離せない。小さな記事だけど、「日立の原子力事業、統合視野」というのがあった。

     東電の東原社長
     ( 日立製作所の東原敏昭社長)

 日立製作所の東原敏昭社長は今月27日の記者会見で、東芝、三菱重工業との3社で核燃料の製造事業を統合する方針に関連し、「燃料だけでなく、全体を考えるべき時期が来る」と話した。
 中核となる原子炉の設計、製造事業も将来的に統合する可能性に踏み込んだ。
東電福島第一原発の事故後、国内では原発の再稼働や新増設が進まず、各社とも原子力事業の採算が悪くなっているという。

     東芝とWH

     仏アレバ社
     (仏アレバ社のスタッフ)

 ただ、原子力事業の統合は、各社が別々の海外メーカーと手を組んでいることなどからハードルが高いとされる。
ちなみに、日立は米GEと合弁事業を組み、東芝は米WHを買収、三菱は仏アレバ社と合弁会社を設立といった具合に、世界の原子力産業の中核主体となっている。

 一方、福島第一原発の事故に伴う事故処理や賠償費用は、いまの想定より7兆円超増える見込みで、経産省は東電が負担しきれない分は「国民負担」とする魂胆のようだ。
例えば、溶けだした核燃料(デブリ)の実態すら不明で、正確な見積もりなど困難だ。

     16.10.17朝日・東電救済シナリオ

〝核のゴミ〟処分場の見通しもないまま、再稼働や運転期間延長への認可が進んでいる。
 ドイツに続き台湾も2020年までに「原発ゼロ」を決めた。日本も、核燃料サイクルを断念して「原発ゼロ」へのロードマップをつくる局面を迎えているのではないか。
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)