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外国人労働者問題と「出入国管理法改正」について考える~その①島原・加津佐での実例

 外国人労働者の受け入れを拡大するための「出入国管理法・改正案」の国会審議が始まった。
 外国人の人権保護や共生社会のあり方など重要な課題が多い。
 だけど、改正案には省令で定めるとされる事項が多い。外国人の在留資格として新たに設ける「特定技能」でも、受け入れる業種・分野はもちろん、「上限5年」とする在留期間も正式には省令で定めるという。
 これでは、日本のまともな将来像を議論することはできない。

 この問題は、2~3回に分けてレポートしたい。
 まず、長崎県内での「中国人実習生」問題について、報告しておきたい。この問題では、久保田達郎氏(連合長崎アドバイザー)の中心的役割とご苦労抜きに語れない。同氏が機関誌「ながさき自治研」(長崎県地方自治研究センター発行)のNo.47号に詳細なレポートより抜粋してみる。

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   (久保田達郎氏・連合長崎アドバイザー)

――2007年7月から8月末にかけ、南島原市加津佐町の縫製会社で発生した中国人実習生(女性)17人の「労働相談」に対応した。
 交渉は困難を極めた。主たる原因は、会社との交渉というより中国人実習生の説得に数倍の労力を費やさなければならなかった点にある。私の常識が、彼女らには通用しない現実を知らされた。

ここで、この種「外国人研修制度」について、若干解説しておきたい。同制度は、1993年から本格的に適用されている。本来の趣旨は、日本の進歩的な技術を途上国へ伝えるとされている。期限は3年。1年目が研修、研修期間が経過すると、簡単な技能テストを行い、合格すれば(ほぼ全員が合格する)実習生となり、最長2年間同事業所での就労が認められる。正式な労働者である。日本の労働者と同等の待遇が(法の適用)求められる。

   島原半島観光マップ-1[1]

 いま、日本で働く外国人研修・実習生は約12万人と推定されているが、その殆どが中国人である。来日する中国人は、研修ではなく「出稼ぎ」である。
 そして、受け入れている日本の企業は(例えば本件の縫製業)中国人実習生を最賃以下の安価な賃金で働かせることで、「かろうじて」生き延びている。同時に、その低額な賃金も、中国人実習生にとっては、自国で得られる賃金よりはるかに高額という現実もある。

 本件を法律違反として摘発するのは簡単である。だが、摘発した結果どうなるのか。企業は莫大な未払い賃金の清算などで、倒産する以外にあるまい。それは、経営者のみならず、そこで働く日本人労働者の失職をも意味する。
 日本の労働者、労働組合として如何にあるべきか、グローバル化した今日、避けては通れない課題である。

   労働法令違反があった技能実習生受け入れ企業の事業場数
   (朝日新聞 2018.11.9付)

 外国人労働者からの相談には二重三重の「壁」が存在する。
 一つは、言葉の壁である。幸い今回は、島鉄タクシー労組元委員長夫人Nさん(台湾出身)に通訳を引き受けていただいた。
 もう一つの「壁」は、実習生との連絡である。「指定電話」は会社の寮の電話で、午後10時以降という「時間限定」である。携帯電話はもちろん厳禁。

 何かと不自由な中に彼女らと会うには、長崎から南島原(加津佐)まで車で約3時間要する。
 到着すると、会社の寮の近くで薄暗い車中で彼女ら二人から事情を聞くこととなった。
 彼女らは、1年目が時給300円、2年目、3年目が400円。残業は「内職」という名目で時給400円程度(毎月100時間を超える)。3度の食事は寮生の自炊。必要経費は実習生の割り勘(平均月に7000円程度)、寮費3500円は給料から天引き。そんなことを語ってくれた。

 日本と中国(あるいは韓国・北朝鮮)、「近くて遠い国」と言われる。歴史認識・靖国・拉致問題など「鋭い対立」が続いている。これら歴史的事実から目をそらしてはならない。
 だが当面、「外国人研修制度」という新たな問題に向き合ってみたい。これは労働問題であり、政治問題でもある。受け入れた日本の縫製業も不況産業の典型。難題である。「火中の栗」を拾うようなものだ。だが、逃げてはなるまい。密かにそう決意した。

                       (以下、次号に続く)
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日立でも外国人実習生不正ーー中西経団連会長の理念と相反する

 朝日新聞で連載『2030.SDGsで変える』が始まり、「トップが語る①」で経団連会長の中西宏明氏(日立会長)が登場している。その要旨を紹介しておきたい。

――経団連の会員企業に順守を呼びかけている「企業行動憲章」を昨年11月、7年ぶりに改定しました。その精神の柱に据えたのが、SDGs(国連が掲げる持続可能な開発目標)です。
イノベーションを通じて持続可能な成長と社会的課題の解決を図ることを明記し、「すべての人々の人権を尊重する経営を行う」との文言を入れました。人権を無視した企業活動は長続きしません。人権を大事にすることを出発点に企業の行動原則を考えました。
 企業が社会に役立つ存在こそ、売り上げが立つ。SDGs(持続可能な開発目標)は経済界でも共有できる目標です。

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     (中西宏明・経団連会長)

―― 経団連は、SDGsと軌を一にし、AI(人工知能)やビッグデータを活用した新しい社会像「Society5・0」という考え方を打ち出している。狩猟、農耕、工業などに続く5番目の時代が来るという意味です。
 デジタル化が進み、社会のしくみはどんどん変わっています。だからこそ、SDGsを目標に据え、豊かで活力ある「5・0」の社会をめざして企業も貢献していかなければなりません。
 投資家の姿勢も変わりました。ここ数年はESG(環境・社会・企業統治)が重視されるようになりました。環境や社会問題に取り組む長期的な目標を企業経営者と共有したがっています。

―― モノづくりにおいても、いいモノをつくれば売れるという考え方ではもう成り立ちません。日立製作所はこれまで「技術」を経営の根幹に据え、優秀な人材ほど工場や開発拠点に配属してきました。今は、人材を事業の現場に配置し、顧客と対話して新しい価値をつくりだしていくという考え方に変わりました。
 日立はこのような業務を「社会イノベーション事業」と位置づけ、海水の淡水化、風力発電など再生可能エネルギーの普及にも取り組んでいます。鉄道事業においても、二酸化炭素の排出量を減らすことや、環境や高齢者にやさしいスマートシティーをつくりたいと思います。
 SDGsの達成に条件もあります。健全で平和な社会でなければならないし、国の安全も必要です。政府の財政破綻も避けなければなりません。安定的で低価格のエネルギーも不可欠です。

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     (朝日新聞 8/22付)

 なかなか立派なことを語っている。ところが、中西氏の足元である日立製作所でも「外国人技能実習生の不正な働かせ方」の疑いが明らかになっている。
 例えば、笠戸事業所では、「電気組み立て」の実習目的で来日したフィリピン人が全く別の作業ばかりだった。
 「協同組合フレンドニッポン」(本部・広島市、FN)から技能実習生を受け入れ始めたのは1999年。あるFN職員は「日立さんには約2千人受け入れていただいています」「技能実習は国際貢献の意味合いが強かったんですが、実態は労働力を補うために企業さんにご活用いただいています」。実習生の時給は「最低賃金プラス5円」との試算表を示したという。
 法務省は「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と定める技能実習適正化法に抵触するとみているという。

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 また、日立がイギリスで新設を計画する原発。その工事の中核から米建設大手ベクテルが外れるようで、着工条件である出資金集めに悪影響が出る可能性がある。
 英西部アングルシー島に原発2基を新設予定。しかし、福島事故後に強化された安全基準への対策費などで、総事業費は最大3兆円になる見通しという。
 東芝のような二の舞になりかねない。
 中西会長が語る新たな企業理念からしても、早々に原発から撤退すべきではないか。
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「働き方改革法案」を抜本的に見直せ!

  通常国会で新年度の予算を巡って論戦が始まったのが1月24日。安倍首相は「働き方改革国会」だと宣言したはずだ。
 それから一か月余、満を持して提出するはずの「働き方改革関連法案」から「裁量労働制」を削除せざるを得ない事態に追い込まれた。
 さらに、野党は「高プロ」(高度プロフェショナル制度)こそ「スーパー裁量労働制」だと撤回を迫っている。

       働き方改革関連法案

 混迷の始まりは、安倍首相の答弁である。衆院予算委で「平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」と語った(1/29)。
 厚労省の双方の調査方法が違っており、結局、首相が謝罪する異例の事態となった(2/14)。

 そもそも、安倍内閣が同法案の成立を急ぐのは、経済界の強い要請があったからだ。
 産業競争力会議や規制改革会議など政権肝いりの会議が、労働政策審議会(労政審)に先立って方針を打ち出していた。
 「裁量労働制」では、実際の労働時間に関係なくあらかじめ定めた時間を働いたとみなし、その時間分の残業代しか出ない。
 「高プロ」は、専門職で高年収(1075万円以上)の人を規制の外に置く。深夜・休日の割増賃金もなく、裁量労働以上に長時間労働ぬつながる懸念が大きい。

       高プロ制度

 先日、野村不動産が裁量労働制を違法に適用し、50代の男性社員が長時間労働の末自殺して労災認定されていたことがわかった。
 東京労働局は、遺族からの労災申請をきっかけに同社の労働実態の調査を始め、異例の特別指導をしていた。
 現行制度でも過労死を招く乱用を防げていない実態が露呈した。

       17.10.4朝日・労働時間の規制

 安倍政権は、成長戦略の一環として労働の規制緩和を方針とし、経済界は国際競争力の向上のため労働規制緩和を強く求めた。
 3年前に国会に提出された法案は、「残業代ゼロ法案」との批判を浴びて廃案に追い込まれた。
 それを、残業の上限規制などと抱き合わせで実現するやり方が厳しい批判にさらされているのだ。

       パワハラの累計18.3.5

 長時間労働による過労死や精神的疾病は年々増加しており、事態はきわめて深刻だ。
 裁量労働制の対象拡大や高プロ導入など、規制を緩和する部分を「働き方改革関連法案」から切り離し、現場の実態を調べ、国民が納得できる制度を練り上げる。
 そして急ぐべきは、残業の上限規制など働き過ぎの防止策である。
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混乱、迷走する連合を叱る!

  労働組合のローカルセンター(地区労)でプロパーとして30年余務めた私にとって、昨今の労働運動の衰退に心が痛む。

 とくに、連合の混迷ぶりは目を覆うばかりだ。
 いわゆる「残業代ゼロ」を巡って、内部から異論が相次ぎ収拾がつかないあり様だ。
連合は、専門職で年収の高い人を労働時間規制からはずす「高度プロフェッショナル制度」の導入や、裁量労働制の拡大に反対してきたはずだ。

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     (朝日新聞 7月22日付)

 ところが、高プロの新設を盛り込んだ、国会に提出済みの労働基準法改正案と、働き方改革実現会議で合意した残業時間の罰則付き上限規制を盛り込む新しい労基法改正案が一本化される。――連合執行部はこうした情勢認識に基づいて、少しでも修正して「実を得たい」と判断したという。
 しかし、経団連の榊原定征会長は、「できるだけ早く(連合と)考え方をまとめていきたい」と歓迎の姿勢だ。「残業代ゼロ法案」が労働時間規制の抜け道に使われる可能性が高い。

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     (経団連会長・榊原定征氏)

 中央執行委員会では、「なぜ組織に諮らずに水面下で交渉したのか」、「政労使合意を結ぶべきではない」という厳しい意見が相次いだらしい。
こうした経緯から、神津里季生会長の後任が約束されていた逢見直人事務局長は白紙に戻ったようだ。

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     (労働戦線統一のキーマン・故山岸章氏)

 連合が結成されて今年で28年になる。長年反目し合ってきた総評と同盟が合流するのを、「水と油が〝結婚〟してうまくいくはずがない」と揶揄されたものだ。
 今の連合を見ると、会長や事務局長は旧同盟系で占められており、逢見事務局長は最大産別「UAゼンセン」のプロパー出身で、以前から組織内で批判を浴びていたようだ。
 旧総評系の影が薄い。自治労や日教組はどうしたのか。

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     (カール・マルクス)

 「残業代ゼロ法案」に関して、「天声人語」(7/23付)は今年で発刊150年となるマルクスの『資本論』を引き合いに出している。その「労働日」の章、そこに書かれている労働者の実態は現在と何ら変わらない。「労働者が死と隷従に追いやられるのを防ぐ。そのための強力な法律を」――マルクスはそんな訴えで章を終えている。
  悔しいことに少しも古びていない。

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SSK「佐世保闘争」の記憶をたどる

 朝日新聞の戦後70年シリーズ「ながさき物語」の第4回で「造船不況」が取り上げてあった。
 登場するのは、SSK(現・佐世保重工業)の山川正行さん(67歳)、労働組合・連合を結成以来私の友人でもある。

  山川正行さん
  (山川正行氏)

 入社は66年、当時は景気もよくて工員は7千人超。「嫁に出すならSSKに」と言われた頃に、山川さんも結婚して自宅を新築したらしい。

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  (SSK第3ドック)

 ところが、73年秋のオイルショックでSSKは深刻な経営危機に見舞われ、合理化の嵐が吹き荒れた。78年春の希望退職募集では、想定を上回る1681人が応募した。
 窮地にたったSSKの救済に敢えて政財界が動いたのは、原子力船「むつ」の修理受け入れや米軍基地との関係だろう。

  スト入り食堂集会80年1月
  (会社食堂でスト突入の集会)

〝奥道後のドン〟坪内寿夫(来島ドック)が社長に就任すると、徹底した合理化を断行。
賃金カットや定昇・ボーナスの停止、多くのベテラン工員が各地に出向させられた。
 SSK労愛会(現・佐世保重工労組)は、ついに5回に及ぶストライキ闘争に突入し、造船重機労連も支援に立ち上がった。
 佐世保地区労や総評系の各産別労組も側面支援したものである。

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  (これは第3ドックを巡る闘いの時、組合・管理職を前に私が講演した。96年1月)

 しかし結果は、労組側が会社の三項目合理化案を呑むことで労使合意したのだった。
 この「闘い」の真相というかいわば裏面史については、当時の労愛会・反執行部派のリーダーだった光武五郎氏(故人)の著書「労働組合は死んだ」に詳しい。(私も、2年前の6月のブログで書いている)

 私は、この「闘い」を通じて光武氏ら反執行部派の皆さんと親しくなり、地区労の支援もあって同グループの田中正純氏(故人)を市会議員(社会党)に当選させたのだった。
 ストライキ終結後、地区労事務所をお礼に訪れた国竹七郎・労愛会会長(故人)は「あんな闘争はもうコリゴリです」と神妙に語っていたのをよく覚えている。

  14.5.24朝日・SSK子会社に
  (朝日新聞 14年5月24日)

 「佐世保闘争」とも称されたSSKの労使紛争に関わる想い出は尽きない。そのSSKは昨年10月、名村造船(伊万里市)の完全子会社となり工員は約750人に激減している。
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今川正美のブログへようこそ!

生年月日 1947年8月7日
住  所 長崎県佐世保市
学  歴 佐世保北高等学校
     卒業(66年)
     佐賀大学農学部農
     学科中退(68年)
職  歴 佐世保地区労書記
       (68年)
     佐世保地区労事務
     局長(94年)
政 治 歴 衆議院議員
     (2000年・1期
      社会民主党)